金はなぜ投資対象なのか?金の特徴から歴史的背景までわかりやすく解説

投資をする際にまず考えるのが「何に投資するか」ですよね。株式、投資信託、債券と投資対象は多種多様ですが、「金(ゴールド)」にも投資が可能なのはご存知でしょうか?

「安全資産としての金」、「インフレ対策の純金積立」といった言葉を聞いたことがあるかたは多いでしょう。しかし、なぜ貴金属のなかでも「金」が投資対象として有名なのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。

金に限ったことではありませんが、金融資産の知識を増やすことは、投資の幅を広げることにもつながります。

そこで今回は、なぜ金は投資対象になっているのか、有事の際に金が買われるのはなぜなのか、分かりやすく解説していきたいと思います。

「金」はなぜ投資対象になっているのか

数ある貴金属の中でなぜ「金」が投資対象として有名なのでしょうか。

まず、金が投資対象である理由として、以下の3つが挙げられます。

  • 歴史的背景
  • 希少性
  • インフレ耐性

金が価値を持つようになった歴史的背景

金は、その希少性や装飾品としての価値の高さから、通貨として使われていた歴史があります。そして、金を貨幣価値の裏付けとして利用する「金本位制」の歴史のことを指します。

ご存知の通り、日本でも金は「大判/小判」や「金貨」という形で貨幣の役割を担っていました。日本だけでなく、ヨーロッパを始めとした世界各国で「価値のあるもの」として扱われてきました。つまり、「金」は世界中で共通する価値を今に至るまで持ち続けてきたということです。

金本位制のはじまり

1800年代にイギリスでおきた「産業革命」を皮切りに、イギリスは各国との貿易で得る通貨の価値を安定させるため、自国通貨「ポンド」を金と連動させました。そして、取引相手の国々は、自国の通貨価値をそのポンドに連動させるという方式を取りました。これが「金本位制」とよばれる、貨幣価値を金で裏付けするという制度の始まりになります。

つまり、お互いに通貨の価値を信用できなかったために、金を担保にしたのです。

この金本位制は、第二次世界大戦後にアメリカが、米ドルと金を等価交換する通貨制度を廃止するまで続きました。これが「ニクソンショック」と呼ばれる出来事です。この金本位制の続いた約150年は、人々に「金は価値のあるものだ」と認識させることとなりました。

このようり、「金」は昔から現在に至るまで「貴重で価値のあるもの」として扱われ、人々の生活に必要不可欠なものであるため投資対象になっているのです。また同時に、価値保存の役割も果たしているといえます。

金の希少性

市場において、需要があり、なお且つ貴重なものの価値は高くなる傾向にあります。金の採掘量はとても少なく、人類が誕生してから現在までの採掘量は合計約18万トンしかありません。これは、競技用プール約4杯分しか採掘されていないことになります。

また、地中に残された金の埋蔵量も5万トンほどしかないとされています。しかし、この埋蔵量は、現在の技術かつ採算の取れる方法で採掘した場合なので、地球上に存在する金の総量ではありません。

とはいえ、長い人類の歴史で採掘を続けてきても金の採掘量はプール4杯分にしか満たないことからも、金の希少性が分かります。

現代技術では金の採掘量に限界があるため、希少性が高く、価値も普遍的なものになっているというわけです。

そのため、価値が無くならず、装飾品やスマートフォンなどの電子機器の基盤など、あらゆるところで需要がある「金」は投資対象として適しているというわけです。

ちなみに、採掘コストは金の価格を決める重要な要素のひとつですので、金に投資する際は参考指標としてみましょう。

金はなぜインフレでもデフレでも高い資産価値を維持できるか?

金は、価値保存としての役割があるとしましたが「インフレにもデフレにも強い」ためです。まず、インフレに強い理由について解説していきます。

そもそもインフレとは、「物価の上昇」です。そして、モノの価値が上がるということは、実物資産である金の価値もインフレ率に応じて上がります。

このように、インフレに伴って金の価値も上昇するため、インフレ時には資産を守るための金融資産として注目が集まります。

また、デフレにも金は強みをもっています。

金には、株式や通貨とは異なり、信用リスクが小さく、価値が0にならないという要因があります。株式や通貨は、発行体である企業や国の信用がなくなると価値は暴落もしくは0になってしまうリスクがあります。

しかし、希少性や装飾品として世界中で価値が認められている金の価値が0になることは考えづらいでしょう。

そして、株式に投資を行うことに抵抗があるような、いわゆる投資家でない人であっても、金であれば抵抗がないことも金の特性ではないでしょうか。

◇金先物(1998年~2020年)

金先物の1998年から2020年8月までのチャートです。

世界経済が発展しインフレが進んでいくなか、金の価値も右肩上がりで上昇していることがわかります。

また、もう一点注目したいのが金価格の底硬さです。この約20年の間に「同時多発テロ」「リーマン・ショック」「米中貿易摩擦」「コロナショック」など金融市場の混乱は何度も発生しました。しかし、金の価値が著しく下がる場面はほとんど見受けられませんでした。

むしろ、先行きの見えないリーマン・ショックやコロナショックの後からは安全資産としての金が多く買われ、金の価値は上昇を続けました。

こうした、底値が硬くインフレにも強いという性質も金が投資対象になる大きな理由のひとつです。

金は有事の際になぜ買われるのか?実例とともに解説

「安全資産としての金」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

以下のチャートは「コロナショック」から2020年9月までの金先物の価格を表しています。

先行きが見えない不安定な状況においては、リスクオフといって株式などのリスク資産から、債券や金といった安全資産に資金が流入することがセオリーとなっています。

その結果、金に多くの資金が流入し、価格が高騰するというロジックがあります。

ショック相場により投資家心理が悪化したり、株価の変動が大きい(ボラリティが大きい)ときは、金などの安全資産に資金が流入することが多いのです。

金に投資する方法5選

最後に、金に投資する方法を5つ紹介します。金に投資する方法は以下の通りです。

方法販売店
金貨・金地金宝飾店、地金商、金属メーカーなど
純金積立地金商、金属メーカー、証券会社、商品先物業者など
投資信託証券会社、銀行、投資信託運用会社など
金ETF証券会社
金先物・CFD証券会社、商品先物業者

アクセサリーや実用品としても使いたいという方は、「現物保有の金貨・金地金」、手軽に金に投資をしたいという方は「投資信託」や「金ETF」にコツコツ投資してみるといいかもしれません。

投資対象としての「金」まとめ

今回は、投資対象としての「金」について紹介してきました。米国株と同様に、歴史的に上昇し続けているため、買い続けていれば損失を出していない金融商品のひとつです。金だけでなく様々な金融商品に詳しくなることで、その時の状況に応じた投資の選択ができるようになります。

投資における、価格下落リスクのひとつとして、金へ資産を非難させる、そして育てることで、より利益を挙げられるようになるのではないでしょうか。

最新情報をチェックしよう!