【アノマリー検証】セルインメイとは?5月に米国株は下がるのか

「セルインメイ」という言葉を聞いたことはないでしょうか?直訳すると「5月に株を売れ」ということですが、一体なぜ?と思う方も多いでしょう。
しっかりとした根拠があればいいのですが、こういったアノマリーは過去の市場観測からの経験則なので、理由がはっきりとしていません。

しかし「セルインメイ」のようなとても有名な格言には、何か投資のヒントが隠されているかもしれません。では、実際に過去の価格データから検証していきます。

セルインメイ(Sell in May)とは

セルインメイ(Sell in May)は、5月に株を売ると良い、または売らなければならないと感じさせる言葉です。

「5月に株が下落し易い」とよく勘違いされがちですが、「Sell in May」の言葉には続きがあります。「Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day.」というのが正式な相場格言です。

これは「5月に株を売ったら、9月のセント・レジャーデー(9月第2土曜日)まで戻ってくるな」という意味です。

つまり、株が下がると言われているのは、夏場の6-8月にかけてということになります。”夏の下がりやすい期間に備えて、5月中に株を売っておいた方が良い”という相場格言なのですが、本当にそうすることで得られるリターンは高くなるのでしょうか。検証していきましょう。

<パフォーマンス検証方法>
主要株価指数の過去36年間のデータで、6月の月間リターンがマイナスの年の確率を求めます。そして、1~5月までの投資リターン平均を取得し6月の相場に関連があるかどうか確認していきます。

セルインメイ検証結果

主要株価指数を見ると、6月は1年の平均値と比べてパフォーマンスが落ちやすい傾向にあります。ただし、過去36年のデータでは、NYダウ以外のナスダックとS&P500の月間投資リターンはプラスでした。ナスダック、NYダウ、S&P500の3指数の平均をみてみると、1~5月の月間リターンは1.18%で、6月のリターンは僅かに0.3%。明らかに6月は市況環境が悪くなっています。

▼6月の下落確率

ナスダック:44%
NYダウ:53%
S&P500:42%

6月の月間リターンがマイナスの年はナスダックは36年中16年と約44%の割合で、S&P500は36年中15年と42%程度です。一方、NYダウは36年中19年と53%程度の割合となりました()。

次に、6月の月間リターンがマイナスの場合、その年の市況環境の前後を確認していきます。
6月の月間リターンがマイナス、かつ1~5月までの投資リターンがプラスという2つの条件を満たす年である割合()と、6月の月間リターンがマイナス、かつ直近の4-5月の月間リターンがその年以上のパフォーマンスの年である割合を計算します()。

①:6月の投資リターンがマイナスの年②:6月マイナスの年の割合③:①のうち1-5月の月間リターン平均がプラスの年④:③➗① (%)⑤:①のうち4-5月の月間リターンが年平均以上⑥:⑤➗① (%)
ナスダック1644.4%956.3%1275.0%
NYダウ1952.8%1263.2%1368.4%
S&P5001644.4%1062.5%1168.8%
Nikkei1541.7%853.3%1066.7%
※期間は1985年~2020年の36年間

新興株であるナスダックにおいて、6月の月間リターンがマイナスになる時に、直近の4月から5月にかけて一時的にパフォーマンスの高い兆候があったという結果になりました。そこそこ値上がったら、反動は起きやすくなるということが想像に難くないでしょう。

また、6月から9月までの4ケ月の平均リターンをみてみると、どの指数でも年平均よりもかなりパフォーマンスが落ちていることが分かります。

以上から、直近相場が上昇している場合は、6月に下がる可能性が高くなることが分かります、そのため株は5月中に売り抜けて、9月から相場チャンスを伺うという「セルインメイ」の傾向は理に適っているのではないでしょうか。

米国株のアノマリー「セルインメイ」検証データのサマリー

  • 米国株3指数の6月に下がる年の割合は46%
  • 4-5月に比較的高リターンである場合、70%程度の確率で6月のパフォーマンスは悪くなる
  • 米国株3指数中でNYダウは、6月の月間リターンがマイナス

米国株のアノマリーまとめ

有名な「セルインメイ」について、月間リターンの視点だけでなく直近の値動きに着目して検証していきました。仮説として他にもいろいろな視点からデータをみると、また違った発見があるかもしれません。

様々なな視点からみたときに、以前に出てきた説や考察を練り直す必要が出てきたりすることで、どんどん自分なりのアノマリーを発見し、利益に繋がるかもしれません。

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