ARK社のETF「PRNT」とは?運用戦略と構成銘柄【米国株投資】

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「PRNT」(3D Printing ETF)とは?

「PRNT(3D Printing ETF)」はARK社が提供するETFのひとつで3Dプリンティングおよび3Dプリンティング関連事業に直接関連する銘柄で構成される均等加重指数をトラックしています。

3Dプリントに特化した市場初のETFです。対象となる証券には、米国、非米国先進国市場、台湾に拠点を置く株式が含まれます。基礎となるインデックスは、3Dプリンティングに関連する5つの異なるビジネスラインに焦点を当てています。各ビジネスラインは、それぞれ50%、30%、13%、5%、2%のウェイトをかけています。各事業分野内では、選択された有価証券に均等にウェイトされています。PRNTは四半期ごとに組み替えられ、リバランスされます。

2020年年初来の運用成績パフォーマンス(~2020年12月24日)

出所:yahoo.co./financeより

「PRNT」の運用戦略と課題

ARK社(アーク・インベストメント)は、3Dプリンティングが設計から生産までの時間を短縮し、コストを削減し、効率性を高めることで、製造業に変革をもたらすと主張しています。コスト構造が下降線をたどる中、3Dプリンティング市場は従来の製造業を支配することになるでしょう。複数のアナリストは、この業界の成長を強気で予測しています。McKinseyは、3Dプリント市場が2014年の40億ドルから2025年までに1800億ドルから4900億ドルに成長すると予測しています。Gartner Researchは、2016年から2019年の間に3Dプリンターの出荷台数が2倍以上になると予想しています。最も重要なことは、このスペースはまだ初期段階にあるため、アップサイドの余地があるということです。

PRNTは、3Dプリンティングの総合指数を対象としています。このインデックスは、3Dプリンティング関連事業を行う米国、非米国先進国市場、台湾の取引所上場企業の株式および預託証券で構成されています。上位3銘柄は、SLM Solutions Group AG(7.29%)、Arcam AB(6.59%)、ExOne(NASDAQ:XONE)(5.80%)となっています。3Dプリンティング・ハードウェア部門がポートフォリオの半分を占めており、次いでCAD&シミュレーション・ソフトウェア部門(30%)、サービスセンター部門(13%)となっています。小型株が約65%を占め小型株に傾いています。セクター別に見ると、ITが全体の約52.9%を占めており、工業製品(32%)とヘルスケア(11.3%)が続いています。

資産残高は日本円換算約138億円と小さく、日々の流動性(1日平均の取引額)も日本円換算2.7億円と非常に低い状態です。小型株の組み入れ比率が高いことから、大口の設定が入ったときには値段が大きく変動する可能性があります。3Dプリントという非常に有望な投資テーマですが、このETFは小さすぎて、流動性もないため急遽上場廃止となるリスクがあるため投資するのは危険かもしれません。ただし、ARK社(アーク・インベストメント)の他のファンドの残高が大きく経営が安定しているので、赤字ファンドであっても存続させるでしょう。ARK社(アーク・インベストメント)の買収に関する話が進んでくると、一番最初に上場廃止(繰り上げ償還)の対象となるかもしれません。

出所:etf.comより20/12/24時点
※為替レートは、12/25引けの103.653を使っています。

「PRNT」上位10構成銘柄

出所:etf.comより(2020/12/24時点)

「PRNT」の株式構成銘柄

3Dシステムズ(DDD)

三次元印刷(3Dプリンティング)の総合ソリューションを提供する会社です。3Dプリンタ、材料、ソフトウェア、オンデマンド製造サービス、デジタルデザインツールなどを提供しています。1986年にCharles W. Hullによって設立され、SC州ロックヒルに本社を置いています。

SLMソリューションズ(AM3D)

三次元印刷で一般的に使用されている金属ベースのアディティブ・マニュファクチャリング技術のサービスを応用した事業を行っているドイツの会社です。機械事業とアフターセールス事業の2つのセグメントで事業を展開しています。機械事業は、選択的レーザー溶融用の機械及び周辺機器の開発・製造・販売を行っております。アフターセールス事業は、機械関連サービス、交換部品・付属品の販売、機械とは独立した商品・消耗品・サービスの販売を行っています。2011年11月9日にヘナー・シェーンボルン氏とハンス・ヨアヒム・アイデ氏によって設立され、ドイツのルーベックに本社を置いています。

ストラタシス(SSYS)

航空宇宙、自動車、ヘルスケア、消費者製品、教育などの産業向けに、アディティブテクノロジーを応用したソリューションを提供しています。同社のシステムには、アイデアや設計開発のためのデスクトップ型3Dプリンタ、ラピッドプロトタイピングのための各種システム、および直接デジタル製造のための大規模生産システムが含まれています。また、同社のシステムで使用する材料の開発、製造、販売も行っており、顧客に関連するサービスを提供しています。ストラタシス社は1998年3月3日に設立され、ミネソタ州エデンプレーリーに本社を置いています。

HPインク(HPQ)

パソコンおよびその他のアクセス・デバイス、イメージングおよびプリンティング製品、ならびに関連する技術、ソリューションおよびサービスの提供を行っています。パーソナルシステム事業、プリンティング事業、コーポレートインベストメンツ事業の3つの事業セグメントで事業を展開しています。パーソナルシステム事業は、業務用および民生用のデスクトップおよびノートブック型パーソナルコンピュータ、ワークステーション、シンクライアント、業務用タブレット、モバイル機器、小売店向けPOSシステム、ディスプレイ、その他関連アクセサリ、ソフトウェア、サポート、サービスを業務用および民生用市場向けに提供しています。プリンティング事業は、コンシューマーおよび業務用プリンタのハードウェア、消耗品、ソリューションおよびサービス、スキャニングデバイスを提供しています。企業投資セグメントには、HPラボと特定のビジネスインキュベーションプロジェクトが含まれています。同社は1939年にWilliam R. HewlettとDavid Packardによって設立され、カリフォルニア州パロアルトに本社を置いています。

PTCインク(PTC)

ソフトウェアによる製品管理・開発ソリューションの開発・提供を行っています。ソフトウェア製品およびプロフェッショナル・サービス。ソフトウェア製品セグメントには、製品のライセンス収入、サブスクリプション収入および関連サポート収入が含まれています。プロフェッショナル・サービス・セグメントは、コンサルティング、実装、トレーニング・サービスで構成されています。同社は1985年に設立され、マサチューセッツ州ボストンに本社を置いています。

ARK社が運用・設定するETFの種類

ARK社(アーク・インベストメント)が運用・設定する米国ETFの各銘柄について紹介していきます。ARK社(アーク・インベストメント)が運用する上場ETFは以下の7銘柄です。

ARKK(ARK Innovation ETF) 

産業イノベーション、ゲノミクス、Web x.0の3つの分野で、破壊的イノベーションの恩恵を受けることができる企業を対象としたアクティブ運用型ETF(上場投資信託)です。ARKKには、テスラモーターズ、インテュイティブ・サージカル、アリババのように、ヘッドラインによく出る最先端の企業がたくさん入っています。

ARKG(ARK Genomic Revolution ETF)

ゲノミクス関連業界のイノベーションから利益を得られるとアドバイザーが考えている企業を対象に、複数のセクターや地域にまたがってアプローチしています。ゲノムやバイオ銘柄をテーマとしたETFとなります。

ARKW(ARK Next Generation Internet ETF)

「モノのインターネット」「クラウド・コンピューティング」「デジタル通貨」「ウェアラブル・テクノロジー」などの大きな流行語に焦点を当て、インターネットの進化の次世代と見なす企業に投資をする非常に幅広いマンデートを持つアクティブ運用ETFです。

ARKF(ARK Fintech Innovation ETF)

トランザクション・イノベーション、ブロックチェーン技術などの金融セクターの仕組みを変える可能性のある技術的に有効な新商品やサービスを保有する企業に投資する「金融技術の革新」をテーマにしたアクティブ運用型ETFです。

ARKQ(ARK Autonomous Technology & Robotics ETF)

自動化やその他のテクノロジーの進歩から利益を得ているとマネージャーが判断した企業に投資するというテーマ型アクティブ運用型ETFです。

PRNT(3D Printing ETF)

3Dプリンティングおよび3Dプリンティング関連事業に直接関連する株式銘柄で構成され、3Dプリントに特化した市場初のETFです。対象となる証券には、米国、非米国先進国市場、台湾に拠点を置く企業が多く含まれるETFです。

IZRL(ARK Israel Innovative Technology ETF)

ゲノミクス、ヘルスケア、バイオテクノロジー、産業、製造、インターネット、情報技術などの分野で破壊的イノベーションを主な事業とするイスラエル企業を対象としたETFです。

ARKX(ARK Space Exploration ETF)

ARKの最新ファンドであるアーク・スペース・エクスプロレーション(ARKX)は、米国や世界の宇宙探査やイノベーションに関わる企業に焦点を当てることになります。

ARKX(ARK Space Exploration ETF)を詳しく見る

ARK社のETFを購入できる日本の証券会社はどこ?

ARK社のETFはどこの証券会社で日本国内証券会社で買えるのか?結論は日本の証券会社でETFとして直接購入することはできません。日興アセットマネジメントがARK社と日本国内で販売契約を独占的に結び「投資信託」を設定。それを多くの日本の金融機関が「投資信託」として販売しているからです。

日本の投資信託は販売手数料が、3%以上取られることもあり、運用・信託報酬は、毎年1.6~1.9%かかってしまい非常に損です。

ただひとつ直接ETFで購入する方法はあります。日本国内の外資系証券会社のIG証券でARK社(アーク・インベストメント)が運用する米国のETFの買い付けをCFDを通じて行うことができます。

現物のETFを買うことができなくても、CFDで購入すればいいのです(*CFDでETFを現物ETFと同じ金額でレバレッジ1倍で購入)。

CFDの場合、特定口座が作れないとか制約がありますが、IG証券(日本国内の外資系証券)で取引することも一考する価値があるでしょう。運用報酬にあたる費用率は毎年1%程度違います(安い)。長期間投資した場合のコストは非常に大きくなるのでIG証券のCFDを通じ当該ETFを購入すれば、取引コスト、資金効率的な運用ができます。

出所:各証券会社のホームページより

銘柄SBI証券マネックス
証券
楽天証券IG証券
ARKKなしなしなしなし
ARKGなしなしなしCFD
ARKWなしなしなしCFD
ARKFなしなしなしCFD
ARKQなしなしなしCFD
PRNTなしなしなしCFD
IZRLなしなしなしなし

※2021年2月15日時点。IG証券CFDのARK社ETFはマーケット状況により取引できなくなる可能性がありますのでご注意ください。

ARK社のETFの購入を検討すべき理由

ARK社(アーク・インベストメント)の運用するETFは2020年において最も注目され、かつ高いリターンを上げたETFシリーズです。投資している銘柄を分析するだけでも、参考になるETFだと思います。高いリターンは今年に限ったわけではありません。新しいスター・ファンド・マネージャーの誕生を見たという気分です。実際に、アーク・ウォッチャーまで現れています。この機会に、ARK社の運用するアメリカ籍ETFで投資を始めてみませんか?

ARK社のETFは証券会社で直接購入できないなどの高いハードルはありますが、多くの銘柄でCFD取引が可能です。残高がまだ小さいETFでも興味深いテーマのETFがありますので、上記のようなCFDで参加するのも一つの投資戦略だと思います。

このレポートが皆さんの役に立つことを祈っています。投資は自己責任ですので、投資の判断は投資家の方がよく吟味して自己責任でお願いします。ARK社(アーク・インベストメント)の運用するETFは今年これだけ上がったので、下がるときもあります。リスクがあることはご承知おきください。

最後に2020年はコロナショックにより想定外と誰しもが思うことが起こりました。100年に一度の危機と言われますが、2008年のリーマン・ショックの際にも100年に一度と言われました。ただし、株価の調整がこれまで以上に早くなり、底からの戻りもこれまで見たことのないような速度で株価が上昇しました。おすすめの米国ETFについてもレポートしていますので参考にしてみてください。

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