株式市場の歴史の中では、株価が急激に上昇するバブル相場もあれば、株価が大暴落してしまった局面もあります。その大暴落でもよく知られているのが「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)ではないでしょうか。
今回は、この「ブラックマンデー」の内容から大暴落が起きた原因までわかりやすく解説していきます。
投資家にとって避けては通れない大暴落。そのときに何が起きていたのか、どうすればよかったのか考えておくと、今後起きるかもしれない大暴落にもうまく対処できるかもしれません。
ブラックマンデー(暗黒の月曜日)とは?
ブラックマンデーとは、1987年10月19日(月)ニューヨーク株式市場で起きた株価の大暴落のことを指します。この大暴落が月曜日に起こったことから「ブラックマンデー」という呼び名がつけられました。
このブラックマンデーの大暴落によって、米国の主要株価指数であるダウ工業株30種平均は、終値で先週末比「508ドル」の下落を記録しました。
当時のダウ平均は2250ドル前後だったので、値下がり率はなんと「22.6%」にまでなりました。1日にして主要指数が20%超も下落してしまったのです。そして、ニューヨーク株式市場の大暴落は、全世界へと波及していき日本も含め世界的な株安を招く結果となりました。
その後、ダウ平均が暴落前の水準に戻ったのは、約1年3ヶ月後の1989年1月24日です。このことからも下げ幅とインパクトの大きさが伺えます。しかし、ブラックマンデーから約2年後の1989年8月にはダウ平均は完全に回復します。
サーキットブレーカーの導入
ブラックマンデーの大暴落がきっかけで、ニューヨーク株式市場には「サーキットブレーカー制度」が導入されました。これは、一定の値幅を超える大暴落が起きた際、一時的に取引を停止させる制度です。
しかし、これはNYダウ平均やS&P500などの指数のみ。米国の個別銘柄には値幅制限も、サーキットブレーカー制度もありません。
ブラックマンデー株価大暴落の原因は?
それでは、なぜこれほどの大暴落が1日で起きてしまったのでしょうか。ここからは、ブラックマンデー大暴落の原因について説明してゆきます。まず前提として、1つの事柄のみが原因で大暴落が起きることはほとんどありません。
このブラックマンデーも、複数の要因が重なり、投資家心理が悪化したために発生したとされています。
【ブラックマンデーの発生要因】
1980年代初期:米国の「双子の赤字*」
1987年9月:西ドイツの利上げ
1987年9月:ルーブル合意の協調政策の破綻への懸念
ブラックマンデー当日:自動売買システムによる売りの連鎖
*双子の赤字とは「財政」と「貿易」の両方が赤字の状態を意味します
しかし、実は「これが絶対にブラックマンデーの引き金になった!」というものは、現在も分かっておらず、「そもそも米国財政の赤字が原因だった」とする人もいれば、「ルーブル合意の協調政策が西ドイツの利上げをきっかけに破綻したからだ」という人もいます。
こうした世界情勢の原因以外にも、現在はさらに身近な存在になりつつある「自動売買システム」が暴落を受け「売り」の判断をし、まさに売りが売りを呼ぶ状態に陥ったからという考えもあります。
しかし、ブラックマンデーの原因とされている要因には共通点があります。それは「今後どれだけ悪化するのか出口が見えない」という先行きの不透明さです。
この不透明さは、投資家にとって1番の脅威とも言えます。そして、「これ以上損しないうちに現金化しておこう。金に資産を移動させよう。」といったリスクオフの動きが加速すると「暴落」という結果が生まれてしまいます。
ブラックマンデーの日本株式市場への影響は?
ブラックマンデーの影響は、日本株式市場にも及びました。
ブラックマンデーの翌日である1987年10月20日、日経平均は3836円、前日比で14.9%も急落しました。多くの個別銘柄がストップ安を記録し、大損をしてしまった投資家も少なくないでしょう。
しかし、その翌日の10月21日の日経平均は安値から「2037円高」と急反発しました。その後も調整で下落局面はあったものの、半年後には暴落前の水準まで値を戻しました。
この背景には、日本の金融緩和政策と、1987年から1989年12月末まで続いていたバブル相場が関係しているとされています。ブラックマンデーのショックよりも、バブルの上昇トレンドの方が強かったということですね。
リーマンショックの際は、「上場企業が50社が倒産した」と言われていますが、このブラックマンデーの暴落が原因で倒産した上場企業は0社となっています。比較的、日本経済への打撃は小さかったことが伺えます。
まとめ
今回は、歴史的大暴落の1つである「ブラックマンデー」について説明してきました。投資を長くしていく上で、避けては通れないのがこうした株価の大暴落です。コロナショックがまだ記憶に新しい今だからこそ、こうした過去の暴落やバブルについて勉強しておくと、いざ自分が直面した際に冷静な判断が下せるはずです。
ブラックマンデー以外の金融史に残る出来事は以下でも紹介しているので、興味がある方はこちらも合わせて読んでみてください。
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