ARK社のETF「ARKG」とは?運用戦略と構成銘柄【米国株投資】

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「ARKG」(ARK Genomic Revolution ETF)の運用戦略

「ARKG(ARK Genomic Revolution ETF)」は、ARK社(アーク・インベストメント)が提供するETFのひとつで、ゲノミクス関連業界のイノベーションから利益を得られるとアドバイザーが考えている企業を対象に、複数のセクターや地域にまたがってアプローチしています。ゲノムやバイオ銘柄をテーマとしたETFとなります。

例えば、標的治療薬、バイオインフォマティクス、幹細胞、分子診断薬などの開発、製造、またはそれを可能にする可能性のある企業が対象となります。実際には、ほとんどすべての投資対象は米国の医療関連企業であり、当然ながらバイオテックが上位を占めています。このファンドはニッチファンドであり、独自のアクティブ運用戦略のために高額な手数料を徴収しています。バイオテックのベンチマークとはあまり類似していないので、投資家はこのファンドがどこにベットしているのかをよく見極める必要があります。興味深いコンセプトであり、パフォーマンスの可能性は十分にあります。流動性は低く、スプレッドは広いことが多いです。流動性が不足しているため、興味のある大口の機関投資家(ブロックトレーダー)は発行体と協力しなければならない可能性が高いでしょう。

2020年年初来の運用成績パフォーマンス(~2020年12月24日)

出所:yahoo.co./financeより

ARKはゲノム革命に投資する理由を詳細に説明したホワイトペーパーを発表しました。ヒトゲノムの配列決定にかかるコストがここ数年で指数関数的に減少し、ゲノム研究における大きなコストの壁が解消されたというものです。これにより、遺伝性疾患の原因となる遺伝子の間違いを編集して修正できるCRISPRや、体の自然免疫システムを利用して癌と戦う生きた治療法など、遺伝子に基づく治療法の大きな発見につながっています。既存の治療法は、開発に時間と費用がかかります。また、効果もそれほど高くありません。例えば、多くの慢性的な癌の治療法は症状を治療するだけで、根本的な原因を治療するものではありません。化学療法は、癌細胞を死滅させようとするものですが、重篤な副作用があり、成功が保証されているわけではありません。悪性腫瘍を摘出するための根治的手術は侵襲性が高く、特定の人口層では不可能です。

対照的に、遺伝子を利用したリビングセラピーは、一回限りの投与で患者の寿命を大幅に延ばすことができるため、既存の治療法と比較して治療の価値が非常に高くなっています。市場に出回っている例としては、ノバルティス(NYSE:NVS)のKymriahがあります。このKymriahは、アークの研究によると、血液がん患者の寿命を慢性がん治療に比べて最大3倍延ばすことができます。

最後に、現在の出来事に関連する例として、主要なワクチン候補の一つであり、第3相試験中であるCOVID-19に対するモデナ社(MRNA)のmRNAベースのワクチンがあります。製品固有の要件を持つ従来のワクチンよりもはるかに迅速かつ効率的に製造できる技術です。これは、従来の生きたウイルスを使用するのではなく、抗原免疫応答を生成するためにウイルスゲノムを模倣することに依存する新しいワクチン接種方法です。第3相試験に合格したことで、モデルナ社のワクチンが承認されたことは記憶に新しいところです。

「ARKG」の投資方針~ゲノム医療の分野

同じARK社(アーク・インベストメント)のETFのなかでも、テクノロジー系のARKKやARKWよりも2020年のパフォーマンスは高かったのが、ARKGでした。新型コロナ・ワクチンの配布が始まったことで、その効果が期待されていますが、今回のコロナ禍において、最もテクノロジーの進歩を認識できたのは、ゲノム医療の分野です。クラウドやインターネット、グリーン・エコノミーの方が、一般の人にとってはとっつきやすく直接個別銘柄の判断も可能です。しかしながら、先進医療分野は、専門的過ぎて一般の投資家には理解が難しいことも事実です。そうした分野だからこそ、専門家に任せた方がいいのではないでしょうか。ARK社(アーク・インベストメント)には、先進医療に詳しいアナリスト・チームがいます。資産残高も日本円換算約2兆円と非常に大きく、日々の流動性(1日平均の取引額)も日本円換算390億円と非常に高いです。

出所:etf.comより(2020/12/24時点)
※為替レートは、12/25引けの103.653を使っています。

保有上位10銘柄

出所:etf.comより(2020/12/24時点)

「ARKG」の構成銘柄

パシフィック・バイオサイエンシズ・オブ・カリフォルニア(PACB)

遺伝子解析向け統合プラットフォームの開発、製造、マーケティングを行っています。同社の単一分子、リアルタイム(SMRT)技術は、生物学的プロセスの単一分子、リアルタイム検出を可能にします。SMRT細胞、PhospholinkedヌクレオチドおよびPacBio RS IIおよびSequel装置を提供しています。SMRT技術はデオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼによって作動されるDNA複製の自然なプロセスを利用することによってリアルタイムで起こるDNA合成の観察を可能にします。

CRISPRセラピューティクス(CRSP)

画期的なゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパー/キャスナイン)」の基礎的ライセンスを保有する3社のうちの1社です。2020年のノーベル化学賞には、従来の技術と比べて、大幅に短期間かつ低コストで遺伝子を効率的に改変するゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」の主要な開発者とされる2名が選ばれました。非常に注目されているゲノム医療銘柄の一つです。

アークトゥルス・セラピューティクス・ホールディングス(ARCT)

臨床段階のメッセンジャーリボ核酸(mRNA)医薬品とワクチン会社です。LUNAR脂質媒介デリバリー、STARR mRNAテクノロジー、mRNA原薬、及び医薬品の製造が含まれます。

ツイスト・バイオサイエンス(TWST)

デオキシリボ核酸(DNA)合成プラットフォームを開発しています。半導体DNAライティングプラットフォームは、シリコン半導体上に遺伝子の合成をすることができます。

インビティ(NVTA)

デオキシリボ核酸(DNA)含有試料を処理し、患者固有の遺伝子変異に関する情報を分析し、臨床医およびその患者向けの試験報告書を生成するための、実験室プロセス、ソフトウェアツールおよび情報科学を提供する企業です。ヘルスケア分野における検査やサービスへの需要は高まっています。遺伝子データの用途は急速に拡大しており、データを提供する企業には大きな需要があると予想されます。

テラドック・ヘルス(TDOC)

インターネットやモバイル端末などを通じて、認定専門医に24時間いつでもアクセスでき、診断、療法助言、および投薬の処方などのサービスを提供する大手医療サービス会社です。コロナで有名になったジョンン・ホプキンス研究所と提携し、遠隔医療サービスを提供しています。2020年9月末時点で契約者は5150万人で急成長しています。11月に糖尿業患者のヘルスケア・サービスを行っているリボンゴ社を買収しました。

パーソナリス(PSNL)

癌のゲノミクス会社です。各患者のがんと免疫反応に関する分子データの提供により、治療法の開発に注力しています。

ケアDx(CDNA)

移植用診断薬の開発・開発・販売を行う移植用診断薬会社です。同社の製品には、AlloMap、AlloSure、Laboratory製品が含まれます。同社は1998年12月21日に設立され、カリフォルニア州ブリスベンに本社を置いています。

イノビオ・ファーマシューティカルズ

がんDNAや感染症DNAワクチンなどDNA医薬品の開発を手掛けるバイオ製薬企業です 。大手製薬企業や研究機関、政府機関など、多様な機関と協力し、医薬品の開発に取り組んでいます。新型コロナ・ワクチン開発の「ワープ・スピード作戦」にも参加していました。他には、イルミナ(ILMN)はゲノム関連では、注目されている銘柄です。

イルミナ(ILMN)

ゲノム解析装置(次世代シーケンサー)市場で圧倒的な地位を誇る企業です。新型コロナウイルスの遺伝子と分子構造の解析でも、同社などが提供する次世代シーケンサーが必要不可欠とのことでも注目されました。今後、ゲノム解析の市場は、個別個人用医療の発展が予想され急拡大が予想されます。

ARK社が運用・設定するETFの種類

ARK社(アーク・インベストメント)が運用・設定する米国ETFの各銘柄について紹介していきます。ARK社(アーク・インベストメント)が運用する上場ETFは以下の7銘柄です。

ARKK(ARK Innovation ETF) 

産業イノベーション、ゲノミクス、Web x.0の3つの分野で、破壊的イノベーションの恩恵を受けることができる企業を対象としたアクティブ運用型ETF(上場投資信託)です。ARKKには、テスラモーターズ、インテュイティブ・サージカル、アリババのように、ヘッドラインによく出る最先端の企業がたくさん入っています。

ARKG(ARK Genomic Revolution ETF)

ゲノミクス関連業界のイノベーションから利益を得られるとアドバイザーが考えている企業を対象に、複数のセクターや地域にまたがってアプローチしています。ゲノムやバイオ銘柄をテーマとしたETFとなります。

ARKW(ARK Next Generation Internet ETF)

「モノのインターネット」「クラウド・コンピューティング」「デジタル通貨」「ウェアラブル・テクノロジー」などの大きな流行語に焦点を当て、インターネットの進化の次世代と見なす企業に投資をする非常に幅広いマンデートを持つアクティブ運用ETFです。

ARKF(ARK Fintech Innovation ETF)

トランザクション・イノベーション、ブロックチェーン技術などの金融セクターの仕組みを変える可能性のある技術的に有効な新商品やサービスを保有する企業に投資する「金融技術の革新」をテーマにしたアクティブ運用型ETFです。

ARKQ(ARK Autonomous Technology & Robotics ETF)

自動化やその他のテクノロジーの進歩から利益を得ているとマネージャーが判断した企業に投資するというテーマ型アクティブ運用型ETFです。

PRNT(3D Printing ETF)

3Dプリンティングおよび3Dプリンティング関連事業に直接関連する株式銘柄で構成され、3Dプリントに特化した市場初のETFです。対象となる証券には、米国、非米国先進国市場、台湾に拠点を置く企業が多く含まれるETFです。

IZRL(ARK Israel Innovative Technology ETF)

ゲノミクス、ヘルスケア、バイオテクノロジー、産業、製造、インターネット、情報技術などの分野で破壊的イノベーションを主な事業とするイスラエル企業を対象としたETFです。

ARKX(ARK Space Exploration ETF)

ARKの最新ファンドであるアーク・スペース・エクスプロレーション(ARKX)は、米国や世界の宇宙探査やイノベーションに関わる企業に焦点を当てることになります。

ARKX(ARK Space Exploration ETF)を詳しく見る

ARK社のETFを購入できる日本の証券会社はどこ?

ARK社のETFはどこの証券会社で日本国内証券会社で買えるのか?結論は日本の証券会社でETFとして直接購入することはできません。日興アセットマネジメントがARK社と日本国内で販売契約を独占的に結び「投資信託」を設定。それを多くの日本の金融機関が「投資信託」として販売しているからです。

日本の投資信託は販売手数料が、3%以上取られることもあり、運用・信託報酬は、毎年1.6~1.9%かかってしまい非常に損です。

ただひとつ直接ETFで購入する方法はあります。日本国内の外資系証券会社のIG証券でARK社(アーク・インベストメント)が運用する米国のETFの買い付けをCFDを通じて行うことができます。

現物のETFを買うことができなくても、CFDで購入すればいいのです(*CFDでETFを現物ETFと同じ金額でレバレッジ1倍で購入)。

CFDの場合、特定口座が作れないとか制約がありますが、IG証券(日本国内の外資系証券)で取引することも一考する価値があるでしょう。運用報酬にあたる費用率は毎年1%程度違います(安い)。長期間投資した場合のコストは非常に大きくなるのでIG証券のCFDを通じ当該ETFを購入すれば、取引コスト、資金効率的な運用ができます。

出所:各証券会社のホームページより

銘柄SBI証券マネックス
証券
楽天証券IG証券
ARKKなしなしなしなし
ARKGなしなしなしCFD
ARKWなしなしなしCFD
ARKFなしなしなしCFD
ARKQなしなしなしCFD
PRNTなしなしなしCFD
IZRLなしなしなしなし

※2021年2月15日時点。IG証券CFDのARK社ETFはマーケット状況により取引できなくなる可能性がありますのでご注意ください。

ARK社のETFを検討すべき理由

ARK社(アーク・インベストメント)の運用するETFは2020年において最も注目され、かつ高いリターンを上げたETFシリーズです。投資している銘柄を分析するだけでも、参考になるETFだと思います。高いリターンは今年に限ったわけではありません。新しいスター・ファンド・マネージャーの誕生を見たという気分です。実際に、アーク・ウォッチャーまで現れています。この機会に、ARK社の運用するアメリカ籍ETFで投資を始めてみませんか?

ARK社のETFは証券会社で直接購入できないなどの高いハードルはありますが、多くの銘柄でCFD取引が可能です。残高がまだ小さいETFでも興味深いテーマのETFがありますので、上記のようなCFDで参加するのも一つの投資戦略だと思います。

このレポートが皆さんの役に立つことを祈っています。投資は自己責任ですので、投資の判断は投資家の方がよく吟味して自己責任でお願いします。ARK社(アーク・インベストメント)の運用するETFは今年これだけ上がったので、下がるときもあります。リスクがあることはご承知おきください。

最後に2020年はコロナショックにより想定外と誰しもが思うことが起こりました。100年に一度の危機と言われますが、2008年のリーマン・ショックの際にも100年に一度と言われました。ただし、株価の調整がこれまで以上に早くなり、底からの戻りもこれまで見たことのないような速度で株価が上昇しました。おすすめの米国ETFについてもレポートしていますので参考にしてみてください。

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