金融危機や一時的な不景気があったとしても、長期的に高い成長を続けている国は米国です。しかし、やはり相場には波があり日本株の方が上昇する時もあれば、世界中の株が下落する時もあります。また、主要国の為替動向や商品市況によって相場が変動する場合もあります。
今回は、世界の金融市場の動き、平たく言えば”世の中のお金の流れ”から株価動向を読む方法をお伝えします。
米国を中心とした主要国の株価変動テーマを知る
株価は基本的に、世界一の経済大国である米国が主導しています。前日の米国株が上昇すれば、日本や欧州の株価指数も上昇する傾向にあります。
通常であれば、米国が世界の株式市場をリードしているといっても過言ではありません。
米国株と日本株の関係を知る
しかし、株式市場は時に様々なリスクや突発的な材料が出てくるため、穏やかな上昇相場がずっと続くということはあまりありません。
金融政策で動くときもあれば、景気回復の時もあったり、時には原油が株価の変動要因となる時もあるのです。
金融相場と業績相場のサイクルを知ることで株式投資をより有利に
つまり、その時々のテーマを知り、今投資マネーがどこに集まっているのかを知ることが、株式市場の波に乗るためのヒントといえます。
株価の変動材料
- 景気の劇的な回復
- インフレの進行
- 金融政策の開始・終了
- 金融当局者や政治家の発言
- 国際的な政治要因
- 天災などの地政学的リスク
- 選挙での政権交代
- 原油価格の変動
具体的な例をあげていきましょう。
アベノミクスなどの政権交代、景気回復期待
2012年11月に、日本で解散総選挙が行われることになりました。その結果、民主党から自民党に政権交代が行われ、大規模な金融緩和と財政出動の期待から株価は急上昇しました。
日本で劇的な変化が発生したため、株価の先行きは明るく、世界中から投資マネーが殺到することとなったのです。同時に、円安になったことも日本の輸出業や観光業、日経平均株価にも好影響を与えることとなりました。
この結果、同時期の日経平均株価はS&P500のパフォーマンスを 上回ることとなったのです。
◆S&P500と日経平均株価
その国の政権交代は、株価にとってインパクトを与えることが大きいのです。特に政治的要因は、予想が難しく相場が100%織り込むということはなかなかありません。また、政権交代はそう頻繁に起きることはないため、相場の継続性も高くなります。
特に、国のトップを決める選挙の場合は、結果が出た直後から就任までは期待感が高まりやすいため、その国の株価が大きく上昇しやすい時期と言えます。
バーナンキ・ショックのような要人発言や金融政策の終了
2013年5月と6月に当時のFRB議長であるベン・バーナンキ氏が金融緩和の終了を予想させる発言をしました。このことから、金融相場から業績相場への移行を不安視した市場に大きな激震が走り、株価が急落しました。
しかし、この時には米国株よりもフラジャイル・ファイブ(脆弱な5ヵ国)と呼ばれるインドやトルコなどの株式市場はさらに大きく値下がりしました。
金融引き締めのタイミングは相場が不安定になりやすいのですが、新興国の株価や為替が下落しやすいということを覚えておきたいですね。
こういったリスクを割けるためには、要人発言の日時を抑えておく他にも、インフレ動向や消費者動向などの経済指標を把握しておくことで、そろそろ次のステージに移る発言をするかもしれないという予想を立てることができます。
原油価格動向
プラスチック製品やアスファルト、輸送に電気まで、世の中の多くのモノが原油関連でつくられています。原油無くして、今の世の中は成り立たないといって良いでしょう。
原油は金融商品としても活発に取引される一方で、実需としても非常に大きいのです。
原油に投資する方法は?投資対象としての原油の特徴や投資する際の注意点を解説
そんな原油価格は、米ドルと反比例の関係にあります。
原油や金、小麦などの商品はドルで取引されます。そのため、ドルの価値が上がれば商品価格は相対的に下がるわけです。したがって、米国にどんどんお金が集まりドルの価値がが上がっていくなら、商品価格は下がっていく傾向にあります。
例えば、リーマン・ショックの後に原油価格は空前の高騰を演じました。これには、ドルが安くなった影響で相対的に原油の価格が高くなったといえます。
過去の原油価格の大暴落(逆オイルショック)の要因と株式相場への影響
◆WTI原油とドルインデックスの推移
もちろん、原油は産油国の動向にも影響しますが、今や世界一の産油国である米国であり国際的な取引通貨であるドルの影響を受けるということを抑えておきましょう。
石油関連企業へ投資をしている際には、原油価格はもちろん、ドルインデックスも参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
株式市場は、その時々のテーマによって動きが変わったり、主要市場または新興市場が強含んだりと様々です。時にそれは、海外の株式市場が相場の中心になる場合があります。
世界最大の株式市場を持つ米国ですが、主要国の劇的な景気回復や政権交代などがあれば、そちらに注目が集まる場合もあるのです。
特に米国との経済のかかわりも深く人口が少ないカナダは、経済のブレが激しく、先に景気が悪くなったり経済政策を行ったりする場合があります。
そういった国の動向を見定めることで、米国株の先行きを掴むためのヒントとなるのではないでしょうか。