原油に投資する方法は?投資対象としての原油の特徴や投資する際の注意点を解説

コロナショック後に、原油先物の価格がマイナス圏に突入したことで、一気に注目度が上がった原油。

しかし、価格がマイナスになったというインパクトだけが残り、投資先としての原油の特徴や価格変動の要因などは知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、原油に投資する方法から投資商品としての原油の特徴をわかりやすく解説していきます。

投資先としての原油

原油とはどのような投資商品なのか確認していきましょう。

原油とは、地下から採取した未加工・未精製の石油のことをいいます。つまり、この原油は私たちが使うガソリンや灯油などの原材料ということです。原油はもともと黒く少し粘り気のある液体ですが、精製過程を経て私たちの知っている透明なガソリンなどになっています。

そのほかにも原油は、工業用のエネルギーや、合成繊維やプラスチックなどの化学製品にも使われる、私たちの生活と密接な関係にある商品です。

そんな原油の特徴としては、世界経済が好景気であったり、産出量が減ると価格が上がり、逆に不景気や供給過多になると価格は下落します。つまり、景気や産出量に対して価格が敏感に反応する投資商品だといえますね。

そのため、原油に投資をする際は、今後の原油の需給関係や世界の景気、原油産出国の動向などをチェックする必要があります。

原油価格の変動要因は?

原油価格を決める主な要因はどんなものがあるのでしょうか。

基本的に、原油価格決める要因は以下の通りです。

【原油価格上昇要因】
OPEC(石油輸出国機構)による原油の減産世界の景気拡大中東情勢の不安が高まる世界的な原油在庫が減少する
【原油価格下落要因】
OPEC(石油輸出国機構)による原油の増産世界の景気後退中東情勢の不安が解消される世界的な原油在庫が増加する

基本的に、原油も世界全体での需要と供給によって価格がきまります。そのため、世界の原油産出量のおよそ4割を占めているOPEC(石油輸出国機構)の減産・増産の決定や、世界の景気動向に大きく価格が左右されます。ただし、OPECでの話し合いが一度でまとまることは皆無です。

なぜ、好景気では原油価格が上がり、不景気で下がるかというと、景気が良ければ工業も活発になり、自動車の利用度も上がるため需要が増え、不景気では逆に需要が減るからです。新型コロナの影響で飛行機が飛ばなくなり、原油の在庫がダブついたという話は有名です。

そのほかにも、原油産出国の多い中東情勢や、エネルギー産出国としても有名な米国の在庫状況などによっても価格が変動します。

ちなみに米国の原油在庫は、米国エネルギー情報局(EIA)が毎週水曜日に発表する原油在庫量で確認することができます。原油に投資を考えている方は、重要な指標として覚えておきましょう。

原油の価格変動要因全てに共通しているのは、当たり前ですが需要が供給を上回る状況になる、もしくはなりそうだと判断されると原油価格は上昇するということです。このロジックは投資全般の基本になるため押さえておきましょう。

ちなみに、投資では「WTI原油先物」の価格が原油価格の指針として扱われることがほとんどです。このWTIとは、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI(West Texas Intermediate)というアメリカの代表的な原油の先物商品を意味します。

原油に投資する方法は?

原油の特徴や価格変動要因がおさえられたところで、本節では実際に原油に投資する方法を紹介していきます。

原油に投資と聞くと「原油先物で大金が必要」というイメージがあるかもしれません。しかし、実際はもっと手軽に投資をすることができます。

・原油ETF
(1671:WTI原油価格連動型上場投信、1690:WisdomTree WTI 原油上場投資信託、1699:NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信など)
・原油CFD(差金決済取引)
・原油先物取引

原油CFDや原油先物取引に関しては、狙える利益が大きい分リスクも大きいため、原油投資をしたい投資初心者の方にはあまりおすすめできません。

しかし、原油ETFは5000円以下という低コストで投資が可能になっています。そのため手軽に原油投資にチャレンジしたい人におすすめです。注意点として、原油ETFの値動きは、かならず原油価格を即座に反映するわけではないという点を覚えておきましょう。

なぜ、原油価格と原油ETFとの価格にギャップが生じるかというと、運用会社はWTI原油先物という商品を裏付け資産として購入してETFを組成していますが、このWTI原油先物は5月限や9月限といったかたちで「特定の月の原油価格の先物取引」になっており、価格が下がったりすると、価格の有利な時期の原油先物に組み替えるため、現在の価格とのギャップができてしまうのです。

このカラクリを知らないと原油先物の価格が暴落したから買いだ!と思って原油ETFを買ってもすでに、すでにETFを構成している原油先物が組み替え済みで、思うように利益が出なかったり、逆に損してしまうこともあるので注意しましょう。

そのため原油ETFは長期投資ではなく1年以下の短中期投資がおすすめです。

まとめ

今回は、投資商品としての「原油」について紹介してきましたがいかがでしたか?原油は日々の生活にも深く関わりのある投資商品の1つですから、自分で原油ETFなどを組み込んだポートフォリオを考えてみたりしてみても面白いかもしれませんね。

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