米国株か新興国の株に投資をするかという比較は、海外株式へ投資をする場合に悩む選択肢でしょう。
安定的な成長の米国か、急成長が見込める新興国とでは、夢のある新興国へ投資をしたいという人も多いのではないでしょうか。
2020年の投資信託販売ランキングでは、eMAXIS Slim 新興国インデックスが5番目にランクインするほど人気の投資先となっています。
果たして、新興国への投資は高い利益をもたらすのでしょうか?
米国株と新興国のパフォーマンスの比較を行い、新興国の株式に投資をするメリットとデメリットを理解し、どちらに投資をすべきかまとめていきます。
米国株と新興国株の株価推移
まずは、過去の株価の推移を見ていきましょう。
新興国として、地域別にインド、トルコ、ブラジル、南アフリカ、フィリピンの5カ国を選定しました。
米国株(S&P500)と新興国株の推移
過去15年ほどを見ると、インドが一番の上昇しており、その他は変わらないほどの上昇率となっています。
それでは、インドへの投資が一番成功したということでしょうか。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。それは、為替リスクです。
ドルインデックスと5カ国の為替動向をご覧ください。
ドルインデックスと新興国の為替動向
フィリピンペソ以外の新興国通貨が長期的に右肩下がりであることが分かります。
株価の上昇率がトップだったインドの通貨ルピーは、同じ期間で40%以上も下落しています。
そのため、為替動向を合わせると、米国株の上昇率が一番高いことになります。
新興国投資のメリットとデメリット
新興国といえば、経済成長を支える人口増加率が高く、人口ピラミッドも良いカタチとなっており、成長性が高いイメージがあります。
実際に、株高となっていたインドも人口増加が経済成長を後押ししていることは世界中が知るところでしょう。
人口増加と先進国かが急速に進む成長力が新興国の魅力といえます。
しかし、国によっては発展しているように見えても、欧米の巨大企業の資本によって開発が進んでいることが主となっており、自国では新たなイノベーションを生み出せていない場合が多いとも言われています。
また、上で説明したとおりに為替リスクは一番ともいえる大きなリスクです。特に新興国通貨は流動性不足に陥っていることも多く、外貨準備を使いながら価格を維持するケースもあります。
そして、先進国のように金融市場の整備されておらず、ガバナンスが不十分であったりモラルハザードが広がっている場合もあります。また政治が不安定であることも多く、そうなると株価は不安定になりやすいといえます。
こういったことから、結果的に新興国よりも米国株の方がパフォーマンスが高い状態にあります。
2011年から2020年の10年間では、米国株は年率13.5%(配当込み)に対して先進国株指数のMSCIワールドインデックスは年率5%ほどの上昇率に甘んじているのです。
もし新興国の株式に投資をする場合は、通貨が安定しているかどうかを見極めが重要となります。
新興国の株式投資のまとめ
- 人口増加率は大きなメリット
- 政権の安定性の確認が必要
- 株価の騰落率とともに為替の動向が重要
- ドル高が進む際は通貨安で厳しい可能性がある
もし、為替も政治も安定しており、人口が安定的に増加し、先進国化が進む新興国があれば、米国株よりも高いパフォーマンスを挙げる可能性があります。
基本的には安定感のある米国株に投資しながら、そういった新興国を探すことも良さそうですね。