EV(電気自動車)株関連銘柄に株式投資をしよう[最新]

なぜ今EV(電気自動車)に注目が集まっているのか?

米国(米国(アメリカ))で、バイデン大統領に政権交代し、ブルーウェイブの風が吹いているなか、グリーン・エコノミーへの投資拡大が期待されています。そのなかで、注目されている投資分野ですが、クリーン・エネルギーとEV(電気自動車)中心としたモビリティーのグリーン化が特に注目されています。

クリーン・エネルギーのなかで、二酸化炭素排出を削減する過程において重要な地位となるのが、EV(電気自動車)の大々的な導入です。米国(アメリカ)の二酸化炭素の排出量でモビリティー(運輸)関連が最も大きな割合を占めています。

出所:United States Environmental Protection Agency
https://cfpub.epa.gov/ghgdata/inventoryexplorer/#allsectors/allgas/econsect/all

米国・日本・欧州の二酸化炭素の排出量の最新動向

因みに、日本では発電セクターが最も二酸化炭素の排出量が大きくなっています。運輸に関しては、米国(アメリカ)ほど大きな割合ではありません。

出所:国立環境研究所より
https://www.nies.go.jp/gio/aboutghg/index.html

出所:European Environment Agency (EEA)
https://www.eea.europa.eu/data-and-maps/daviz/ghg-emissions-by-aggregated-sector-5#tab-dashboard-02

こうしてみると、米国(アメリカ)はまず運輸セクターで、いかに二酸化炭素の排出量を削減していかないといけないのかが、分かると思います。次に発電セクターというところでしょうか。日本やEUの場合は、まず発電セクターで、次に運輸のところに注力しないといけないでしょう。

世界的なグリーン・エコノミーへの取り組み

先進国の二酸化炭素の排出削減に向けた動き(運輸分野のみ)

出所:環境庁「環境白書」令和2年6月、「各国の長期戦略の概要について」
https://www.env.go.jp/policy/200630_R02hakusho_gaiyou.pdf
https://www.env.go.jp/press/y0618-20/mat01.pdf

地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」採択から5年を記念した国連のオンライン会合が20年12月12日、開かれ、日本の菅義偉首相は「2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにすることを目指す」と宣言しました。

中国の習主席は、国内総生産(GDP)当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに05年比で65%以上削減すると表明し、削減目標を引き上げました。パリ協定の目標達成には、2050年までに世界の温暖化ガス排出を実質ゼロにする必要があります。トランプ政権下の米国は11月に協定から正式に離脱しましたが、バイデン大統領になったことから再度参加を表明しています。

対策を主導する構えの欧州連合(EU)は19年に、2050年までに域内の排出実質ゼロを目指すといち早く決めました。CO2排出量が国別で最多の中国は20年9月、60年までのCO2排出実質ゼロを宣言。20年10月には日本と韓国が50年温暖化ガス排出実質ゼロを表明しています。

日本経済新聞より

EV(電気自動車)関連銘柄の上昇が米国株式をけん引

米国(アメリカ)株式市場において、2020年秋以降、特にとEV(電気自動車)関連の株が上昇しているというところも、投資家が見ているのが、電気自動車関連というセクターになります。それぞれのセクターについて、注目すべき投資のポイントをまとめてみます。

アメリカのEV(電気自動車)関連銘柄の本命を探る!米国株投資

EV(電気自動車)関連銘柄への投資のポイント

電気自動車関連に関しては1月にARK社が発表した投資のポイントが、的を得ているプレゼン内容であったので紹介します。

EV(電気自動車)販売は大幅に加速

電気自動車は、ガソリン車と同程度の価格に近づきつつあるようです。電気自動車市場のリーダーは、革新的な技術を開発しています。

  • アークでは、EVの販売台数が2020年の約20倍の220万台から2025年には4,000万台になると予測している。
  • ライトの法則に基づき、アークは電気自動車の販売台数を2020年の220万台から2025年には4,000万台へと約20倍に増加させると予測している。
  • 最大のデメリットは、従来の自動車メーカーが電気自動車や自律走行車への移行を成功させることができるかどうか、という点だと考えている。

EV(電気自動車)の販売は、良い時も悪い時もシェアを獲得

最近のCOVID-19パンデミックでは、ガス自動車の販売が減少したが、EVの販売は世界的に増加を続けている。

出所:ARK社プレゼンテーション

“Global Auto Sales Forecasts: Hopes Pinned On China.” Global Auto Sales Forecasts: Hopes Pinned On China

 “Global Auto Sales Expected to Gain Momentum Next Year; 83.4 Million Light Vehicles to Be Sold In 2021, According to IHS Markit.”

Business Wire, 17 Dec. 2020,
www.businesswire.com/news/home/20201217005798/en/Global-Auto-Sales-Expected-to-Gain-Momentum-Next-Year-83.4-Million-Light-Vehicles-to-Be-Sold-In-2021-According-to-IHS-Markit;

Bekker, Henk. “2019 (Full Year) International: Worldwide Car Sales.” Car Sales Statistics, 16 Jan. 2020,
https://www.best-selling-cars.com/international/2019-full-year-international-worldwide-car-sales/

ライトの法則はバッテリーコストの低下をうまくモデル化している

ライトの法則によると、生産台数が累積で2倍になるごとに、バッテリーセルのコストは28%低下します。電気自動車の最大のコストは電池であり、このコストの低下は、ガス自動車との価格平価を達成するために非常に重要である。

*A MWh is 1,000 kWh.

※予測は本質的に限定されたものであり、頼りにすることはできません。

出所:ARK Investment Management LLC, 2020, based on data sourced from: Avicenne Energy, International Energy Agency (IEA), and Bloomberg New Energy Finance (BNEF).

EV(電気自動車)はガス自動車と同程度の価格に近づきつつある

同等のEVの総所有コストは、2019年にはトヨタのカムリを下回った。間もなく、ステッカー価格も同じように低下する可能性が高い。

*MSRPはメーカー希望小売価格の略。

注:総所有コストには、ガス代、維持費、保険料、再販価格などの節約分が含まれています。

予測は本質的に限定されたものであり、信頼することはできません。情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

出所:アーク・インベストメント・マネジメントLLC アーク・インベストメント・マネジメントLLC, 2020

EV(電気自動車)はコストだけでなく、航続距離と性能も競い合っている

自動車市場は、電気自動車と自律走行車へのシフトが進んでいます。アークは、従来の自動車メーカーには、成功に必要なソフトウェアと電気工学の人材が不足していると考えています。

出所:ARK社プレゼンテーション

Kierstein, Alex. “Polestar 2 Recalled Again, This Time for EV Component Issue.” MotorTrend, MotorTrend, 3 Nov. 2020, www.motortrend.com/news/polestar-2-recall-inverter;

O’Kane, Sean. “VW’s First Mass-Market EV Suffers Delay Thanks to Software Struggles.” ThEVerge, ThEVerge, 11 June 2020,

www.thEVerge.com/2020/6/11/21288572/volkswagen-id3-EV-delay-softwarEVw-herbert-diess

“Hyundai to Expand Kona EV Recall to North America, Europe over Battery Fire Risk – Yonhap.” Reuters, Thomson Reuters, 12 Oct. 2020,

 www.reuters.com/article/hyundai-motor-EV-battery/hyundai-to-expand-kona-EV-recall-to-northamerica-europe-over-battery-fire-risk-yonhap-idUSKBN26X0GP

現在のバッテリー価格では、車載用のセル・ツー・ビークル技術により、より長い距離を走るEVを低価格で実現

  • セル・ツー・ビークルの設計では、モジュールやパックに組み込まれた電池セルと比較して、電池の体積密度を50%増加させることができます。
  • 大量市場セグメントでは、セルツービークル技術により、EVメーカーはエネルギー密度とコストの低いセルを実現し、より多くのキロワット時を生産して自動車の航続距離を伸ばすことができるようになるはずです。
  • 一定の電池パックサイズであれば、セル・ツー・ベビークル技術により、低価格で航続距離の長い自動車を実現することが可能になるはずである。

出所:ARK社プレゼンテーション

参照:Lima, Pedro. “BYD Blade Prismatic Battery Cell Specs and Possibilities (Update).”

PushEVs, 13 June 2020,
pushEVs.com/2020/05/26/byd-blade-prismatic-battery-cell-specs-possibilities/

THRON,
tesla-share.thron.com/content/?id=96ea71cf-8fda-4648-a62c-753af436c3b6

従来の自動車メーカーが障害を克服すれば、世界のEV販売台数は2020年の約220万台から2025年までに4,000万台へと20倍以上に拡大する可能性がある

  • アークは、より小型で安価な「近隣電気自動車」の販売が、EV総販売台数に占める割合として飛躍的に増加すると予想している。

予想は本質的に限定されたものであり、信頼することはできません。情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

出所:ARK社プレゼンテーション
参照:EV-volumes.com

EV(電気自動車)は自律走行型の乗り物が中心となる可能性も

自律型乗り合いタクシーが都市交通を支配する可能性が高い 

  • 私たちは、自律型乗合タクシーが物理的移動のコストを現在のタクシーの平均コストの10分の1にまで削減し、普及に拍車をかけると信じています。
  • ARKの調査によると、自律型乗り合いサービス・プラットフォームは、2030年までに年間1兆ドル以上の利益を生み出すことになるという。さらに、自動車メーカーは2,500億ドル、車両所有者は700億ドルの利益を享受できる可能性があるという。

自律走行型タクシーは手頃な価格になる可能性が高い

インフレ率を調整しても、自家用車の所有・運用コストは、最初の組み立てラインから転がり落ちたフォードのモデルTの頃から変わっていない。アークの予測によると、自律走行型タクシーのコストは1マイルあたり0.25ドルとなり、普及に拍車がかかるという。

予測は本質的に限定されたものであり、信頼できるものではありません。

注)アークは以前、自律走行型タクシーの価格は1マイルあたり0.35ドルと予測していました。しかし、今回の予測を修正し、自律走行型タクシーの価格は1マイルあたりわずか0.25ドルと、さらに安くなる可能性があると考えています。

出所:ARK社プレゼンテーション

参照:Morton Salt Company Records, American Automobile Association (AAA)

自動運転タクシーが乗り合い市場を拡大

  • ARKの調査によると、現在の乗り合い市場は世界で約1,500億ドルの収益を上げており、利用率は10~30%、利益率は高い都市では50%になる。
  • 同様に、自律型乗り合いは50%の利益率を生み出す可能性があるが、その低価格化により、市場全体が1500億ドルの収益(乗車率60%まで)から、2030年までに6~7兆ドルにまで拡大すると考えられる。

注:上記の自律型乗り合い配車サービスの価格は、商用化の初期段階のものです。ARKは、市場が拡大するにつれ、価格は1マイルあたり0.25ドルまで下がると予想している。

予想は本質的に限定されたものであり、信頼することはできません。情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

出所:アーク・インベストメント・マネジメントLLC ARK Investment Management LLC、2020年はARKの予測とUber、Lyft、Didiの入手可能な財務情報に基づいています。

3つの自律的な戦略が進化している

  • テスラのアプローチはカメラベース

LiDARよりも精度の低いセンサーを搭載しているため、完全自律への道のりがより困難な問題となっているが、カメラはHD地図に頼らず、はるかに大規模なサービスを可能にするはずだ。テスラのものは、全国的に規模を拡大する最初の自律型タクシーネットワークになるかもしれない。

  • アルファベットのWaymoはLiDARとHD地図を利用

Waymoはアリゾナ州で自律型ネットワークを立ち上げたが、おそらく全国的に規模を拡大するには時間と多大なリソースが必要になるだろう。

  • BaiduのApolloを含む多くの中国のプレイヤーは、車が道路標識や交通量を識別するのに役立つインフラセンサーを構築

大規模なインフラ投資を必要とするこの自律型乗り合い自動車・エコシステムのアプローチは、3つの中で最も厳格で拡張性が低いと思われる。

予測は本質的に限定的であり、信頼できません。

情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

出所:アーク・インベストメント・マネジメントLLC ARK Investment Management LLC、2020年のデータに基づく出典:Tesla、Alphabet、Baidu

規模の拡張性が自律型タクシーの採用ペースを決定する

テスラが2022年に自律型自動車の配車サービスを成功させれば、2025年には20%の普及率に近づく可能性があるとARKは予測している。ただし、WaymoやGMが成功した場合、今後5年間の普及率は1%にとどまるだろう。

注:アークは、Teslaが自律型自動車の配車サービスを成功させる確率を30%としている。

本資料に記載されている情報は、あくまでも情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の銘柄の売買・保有を推奨するものではありません。 また、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

出所:アーク・インベストメント・マネジメントLLC アーク・インベストメント・マネジメントLLC, 2020

先進国よりも発展途上国で需要が高くなる可能性がある

  • 自律走行型ライドハイリングは、人力によるライドハイリングのコストを米国では約90%、中国では約50%削減できると考えています。
  • その結果、安価な自律移動に対する需要反応は、先進国の方が発展途上国よりも高くなる可能性があります。
  • プラットフォーム・プロバイダーや自律走行技術スタックを保有する企業が、自律走行型ライド・ハイリングの利益の大部分を獲得することになる。

予測は本質的に限定されたものであり、信頼することはできません。情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスや特定の証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。

出所:アーク・インベストメント・マネジメントLLC

参照:“Didi Chuxing Still a Ride-Hailing Giant despite 2018 Safety Setbacks.” South China Morning Post, 22 Jan. 2019, earth,Feng, Linyan.

 “Beyond DiDi’s Safety Report: DiDi Posts 21 Million Rides Per Day in Q1.” EqualOcean, 2 July 2019,

equalocean.com/auto/20190703-didi-posts-21-million-rides-per-day-in-q1 Helling, Brett, et al.

“How Much Does Uber Cost? – A Comprehensive Guide.” Ridester.com, 14 Aug. 2020, www.ridester.com/uber-rates-cost/

自律型乗り合いタクシー・プラットフォームが2030年までに年間1兆ドルを超える営業利益を生み出す可能性があると考える

  • 電気自動車プラットフォームで成功した自動車メーカー、自律走行技術をもった企業と提携することで、2030年までに年間約2,500億ドルの収益を生み出す可能性がある。
  • 自律走行型乗り合い可能な自動車を所有、収容、維持している車両所有者は、2030年までに年間約700億ドルの収益を生み出す可能性がある。
  • 自律走行型乗り合いサービス・プラットフォーム事業者の企業価値は、2025年までに3.8兆ドルに拡大する可能性がある。

予測は本質的に限定されたものであり、信頼することはできません。| 本資料は情報提供のみを目的としており、投資アドバイスや特定の証券の売買・保有を推奨するものではありません。

出所:アーク・インベストメント・マネジメントLLC アーク・インベストメント・マネジメントLLC、2020年

欧州でEV、PHEVの販売が爆発的に増えている

因みに、ヨーロッパの自動車販売傾向ですが、昨年秋以降は、ガソリン車やディーゼル車の販売シェアは急激に落ち込んできています。政府が新型コロナに対する経済対策で、大規模なインセンティブを行っていることが背景ですが、無視できないほどの地殻変動が起こっています。

2021年2月のドイツでの、自動車販売のシェアは、EV9.4%、PHEV11.3%、ハイブリッド27.1%、ガソリン37.7%、ディーゼル25.4%でした。20年12月の欧州22か国全体でみても、EVとPHEVの販売シェアは24%と欧州全体でEVは一般的になりつつあります。

車種別でみると、2モデルの電気自動車が欧州のモデル別販売台数ランキングのトップ3に入っています。 フォルクスワーゲンID.3は、人気の高いフォルクスワーゲン・ゴルフに次いで、当月約28,000台を販売し、欧州で2番目に販売台数の多いモデルとなりました。これは、総合ランキングをリードしたオランダ、スウェーデン、オーストリアでの好成績によるものです。ID.3はドイツで3番目に売れたモデルで、イギリスでは4番目、デンマーク、ノルウェー、ルクセンブルクでは2番目に売れたモデルでした。

12月の総合ランキングでは、テスラ モデル3がその後に続きました。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「ヨーロッパでは今、電気自動車革命が起きようとしている。当月の結果は、電気自動車が適切な価格で販売されれば、人気のあるガソリン車やディーゼル車から消費者を引き寄せることができることを明確に示しているのだ」と述べています。

出所:JATO Dynamics Limited

2020年欧州で販売されたEV車種別ランキング

出所:JATO
EV registrations in Europe more than doubled in 2020

昨年欧州では、テスラ以上にドイツ、フランス、韓国のEVが販売を急激に増やしています。日産は10年前からEVを進めてきましたが、今では完全に後塵を拝しています。トヨタなど日産を除く日本車は全くランキングに入っていません。

欧州のEV電池生産企業の銘柄に注目

欧州のEV電池生産、25年に15倍超 パナソニック、VWやPSAも参入

欧州で電気自動車(EV)の中核部品、電池セルの生産が一気に立ち上がる。各社の計画を合わせると生産能力は2025年までに300ギガ(ギガは10億)ワット時を超える。19年の15倍以上だ。

東欧で韓国勢が先行し独フォルクスワーゲン(VW)や仏グループPSAなどの自動車大手も参入を決めた。また、パナソニックはノルウェーのエネルギー大手エクイノールなどと組み、欧州で電池工場の新設を検討するとした。中国・長城汽車の電池部門が独立したSボルト・エナジー・テクノロジーが独西部ザールラント州に20億ユーロ(約2500億円)を投じ年産能力24ギガワット時のセル工場を建設すると発表。

これまでに13社が公表した欧州での生産能力を集計したところ25年までに約315ギガワット時にのぼり、日産自動車のEV「リーフ」の電池(長距離モデル、62キロワット時)に換算すると約500万台分に相当する。

出所:日本経済新聞 2020年12月6日より

18年以降、サムスンSDIなど3社が東欧で生産を開始。LG化学はポーランドで22年までに65ギガワット時に生産能力を拡大、VWなどへの供給に備える。

次に中国メーカーが来た。世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は独中部チューリンゲン州で22年から生産を始め、独BMWなどに供給、ファラシス・エナジーも独東部ザクセン・アンハルト州への進出を決め、独ダイムラーは同社への出資を発表した。

欧州勢も体制を整える。VWやBMWが出資するスウェーデンのスタートアップ、ノースボルトは21年からスウェーデンで水力発電の電力を使った温暖化ガス排出の少ない電池を量産するほか、独北部ザルツギッターではVWとの合弁工場も立ち上げている。自動車大手ではPSAも石油大手仏トタルの子会社の電池メーカー、仏サフトとの合弁でオートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)を設立、フランスとドイツにそれぞれ24ギガワット時の工場を建設する。

ノースボルトやPSAのプロジェクトはEUの欧州委員会や独仏の政府などが支援する。17年に欧州委が打ち出した産業育成政策「欧州バッテリーアライアンス」が結実した。欧州委のシェフチョビッチ副委員長は11月24日、「EUの自動車業界が25年までに必要な量を生産できる」と自信を示した。輸出にも振り向けられるという。

17年当時、欧州には電池セルを量産する企業はほとんどなかった。欧州委はEVの中核部品をアジア勢に依存することへの危機感を抱き、欧州投資銀行などを通じた産業育成の枠組みとしてバッテリーアライアンスを発進させた。

サプライチェーンも育ってきた。化学大手の独BASFやユミコア(ベルギー)は正極材の工場新設を決め、フィンランドではコバルト材料を生産する。東レも主要部材のセパレーター(絶縁材)を欧州で生産するために投資する。下流ではユミコアが廃棄電池からコバルトやニッケルなどを精製するリサイクル技術を実用化し、ノースボルトも自動車大手と取り組む。

アルトマイヤー独経済相は電池セルについて「20年代に2万人の新規雇用と、世界シェア3割を目指す」と強調し、雇用の受け皿の役割も期待した。 

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が立ち上げたファンド、ブレイクスルー・エナジーのアン・メトラー欧州ダイレクターは「バッテリーアライアンスは欧州を世界の舞台に押し上げた。バリューチェーンをつくるという手法は非常にすばらしい」と称賛し、温暖化ガスを排出しない燃料電池車(FCV)に必要な水素の生産でも同様の仕組みをつくろうと呼びかける。

出所:日本経済新聞 2020年12月6日より

欧州ではEV(電気自動車)シフトが加速 テスラどころではない

欧州では、本格的なEVシフトが、昨年より始まっています。。独フォルクスワーゲン(VW)は3月15日、2030年までに電気自動車(EV)用の電池工場を6カ所、欧州に建設すると発表しました。電池メーカーとの合弁で年間240ギガワット時を生産する。単純計算でEV約500万台分に相当する。投資額は明らかにしていないが、1兆円を超える可能性もある。 

VWは19年に電池の一部を自社生産する計画を公表、現在ドイツとスウェーデンで合計約40ギガワット時の生産能力を持つ設備を立ち上げ中だ。VWは30年に世界の新車販売の6割をEVにする方針で、電池需要も従来見通しから大幅に高まるとみて自社の生産能力を一気に6倍に増やす。

VWは電気自動車(EV)「ID.3」の部品の取引先とCO2の排出実質ゼロを義務付ける契約を結ぶ。独ダイムラーも高級車「メルセデス・ベンツ」で取引先に39年までの脱炭素を求める。すでに約2千のサプライヤーのうち75%が将来、部品製造のCO2を実質ゼロにすると合意した。

欧州連合(EU)は24年7月からEV用バッテリーなどを対象に製造工程を含むライフサイクルでの排出量の申告をメーカーに義務付ける。その後は排出の上限を設け、守らないと販売できなくなる見通しだ。

新興電池メーカー、ノースボルト(スウェーデン)に追加投資するほか、ドイツにあるノースボルトとの合弁工場も拡張し、生産能力を倍増する。26年にスペインかフランス、ポルトガルに1カ所、27年に東欧に1カ所、巨大な電池工場を稼働させ、30年までにさらに2カ所追加する。必要な電池の大半を自社生産でまかなう考えだ。

自社生産を通じてEVの基幹部品となる電池の性能を高め、コストを抑える。生産する電池は原則、同一の規格を採用、大量調達・大量生産で原材料費を下げる。車体への組み付けも簡易化する。電池システムのコストを1キロワット時あたり100ユーロ(約1万3千円)より大幅に安くする。100ユーロを下回ればEVの完成車コストがエンジン車を下回るとされる。

VWは25年までの5年間で350億ユーロをEVに投資する方針。このうちの多くが電池生産に向けられるとみられる。

全世界でEV用バッテリーの需要予測

出所:ブルームバーグ
https://www.ttnews.com/articles/electric-vehicles-are-starting-buoy-global-metals-market

2030年には、2,000ギガワット時が必要とされます。2030年には、年間4,000万台のEVが生産されるようになるとの予測です。

EV(電気自動車)シフトで影響を受ける金属にも注目

EVシフトにより、今までのガソリン自動車から大きく使用量が変化する貴金属の一覧表を見ると、電池材料である、ニッケルやリチウムに限らずアルミニウム、銅、コバルトなども使用量が大きくなります。モーター材料としてみても、磁石の材料であるレアメタルやコイルの使う銅なども使用量は多くなります。

EVシフトで素材別バッテリー材料の使用量(単位:倍)

出所:ブルームバーグ

世界のEV(電気自動車)をめぐる動向と注目の関連銘柄まとめ

2021年1月26日に発表されたARK社の2021年の投資アイデアのなかから、電気自動車と自動運転に係るところだけをピックアップしてみました。ARK社はテスラ(TSLA)を単なる自動車会社とは見ておらず、次世代電池の会社であり、将来の都市における自動運転タクシー・サービスの会社ととらえています。AIを使った効率の高い人々の移動が近い将来にも始まりそうな未来を見ています。

環境対応ということで、ひと昔もてはやされた、電気トラム(都市内路面電車)などは全く想定していないようです。ARK社が考える未来は、軌道を走る電気自動車ではなく、道路上を自由に走行可能な乗合自動車・バス・タクシーが走り回る世界のようです。

こうしてみると、グリーン・エコノミーにおけるモビリティーという分野においては、鉄道というよりも、電気自動車に大きく進んでいきそうな雰囲気です。日本は、鉄道システムを海外に売り込もうとしていましたが、テスラを中心とした電気自動車・バスによる自動運転テクノロジーを利用した新しいモビリティー・システムに負けそうです。

バイデン大統領は、自身も鉄道を使ってワシントンへ通っていたことで有名ですが、物流同様ラスト・ワン・マイルのことを考えると、テスラ、グーグルなどを中心とした自動運転電気自動車連合がこの先10~20年後のモビリティーを牛耳るようになっているのかもしれません。

米国(アメリカ)で話題となっているテスラを中心としたEVですが、ヨーロッパで始まったEVシフトは日本ではあまり報道されていません。日本の自動車メーカーは既に周回遅れとなっています。フォルクスワーゲン(VW)の株価が先週急上昇して話題となりましたが、他の欧州の自動車株も注目したいところです。

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