ビットコインETFは米国SECから承認されるのか?

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キャシー・ウッドのARKインベストがビットコインETFの立ち上げに協力

ARK Investment Managementは、21Shares US LLCという会社と組んで、ビットコイン(BTC-USD)のETFを作ることになりました。21Shares社はSECにARK 21Shares Bitcoin ETFの作成を申請し、有名な金融業者であるCathie Wood氏のARKからマーケティングの支援を受けています。他にも8つのビットコインETFの計画が規制当局に提出されているとCNBCは報じています。キャシー・ウッド氏はビットコインの超々強気派で、50万ドルまでの上昇を予測したことで有名です。

※SECへのファイリングは以下のリンクで閲覧できます。
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001869699/000119312521201955/d165184ds1.htm

彼女は先週ビットコインが大きく売られた局面で、ビットコインの代替投資商品を買い集めました。ARKはARK FinTech Innovation ETF(NYSEARCA:ARKF)で、Grayscale Bitcoin Trust(OTC:GBTC)を、フラッグシップETFのARK Innovation ETF(NYSEARCA:ARKK)で、Coinbase(NASDAQ:COIN)を追加で購入したようです。

ビットコインは、最近30,000ドルを下回った後、急上昇しています。

ビットコインETFの米国証券取引委員会への申請状況

現状、ビットコインETFについては数多く申請がなされています。どのETFが最初に承認さえるか、暗号資産界隈だけでなくETF業界も注目しています。最初のビットコイン(BTC-USD)ETF承認獲得レースは、Cathie Wood氏のARK Investと21Sharesの提携により、レースに名前を投じたことでさらに加熱しています。物理的な裏付けのあるビットコインETFは、まだ米国(アメリカ)の地を踏んでいません。しかし、カナダやブラジルなどの国には、暗号資産の上場投資信託(ETF)があります。

ARK Invest社が米国証券取引委員会にビットコインETFの書類を提出したというニュースが流れたことで、承認待ちの12社の中にARK Invest社が入ることになりました。以下は、物理的な裏付けのあるビットコインETFまたは伝統的なファンドの正式な目論見書をSECに提出した13の発行者の概要です。

ETF銘柄名発行会社状況
1Kryptoin Bitcoin ETFKryptoin Invest Advisors承認待ち
2Bitcoin Commodity TrustWilshire Phoenix承認待ち
3VanEck Bitcoin FundVanEck承認待ち
4Valkyrrie Bitcoin FundValkyrrie Investments承認待ち
5NYDIG Bitcoin ETFStone Ridge/NYDIG承認待ち
6Wisdom Tree Bitcoin TrustWisdom Tree承認待ち
7First Trust SkyBridge Bitcoin ETF TrustFirst Trust SkyBridge承認待ち
8Wise Origin Bitcoin TrustFidelity承認待ち
9Galaxy Bitcoin ETFGalaxy Digital承認待ち
10Volt ETF TrustVolt Equity承認待ち
11Invesco Exchange-Traded Fund TrustInvesco承認待ち
12VanEck FundVanEck承認待ち
13ARK 21Shares Bitcoin ETFArkInvestments/21 Shares承認待ち

米国(アメリカ)には伝統的な暗号資産担保型ETFはありませんが、投資家が規制当局を回避してETFのラッパーの中でビットコインやその他の暗号資産へのエクスポージャーを得る方法はいくつかあります。

Grayscale Bitcoin Trust(OTC:GBTC)は、投資家がビットコインの価格変動へのエクスポージャーを得ることを可能にするもので、いくつかのETFが保有しています。

ARK Next Generation Internet ETF(NYSEARCA:ARKW)は、ポートフォリオのなかで4.16%をGBTCを保有しています。

アクティブ運用のETFであるAmplify Transformational Data Sharing ETF (NYSEARCA:BLOK)は、ポートフォリオの1.63%をGBTCに配分しています。

VanEck Inflation Allocation ETF (NYSEARCA:RAAX)もアクティブ運用のファンドで、GBTCを2%保有しています。

ARKW、BLOK、RAAX以外でも、投資家は、暗号開発、デジタル資産の採掘、デジタル資産取引所、決済、サービス、ストレージに関わる組織への間接的なエクスポージャーを提供する上場ファンドの活用を検討することができます。この説明に当てはまることができるETFは2つあります。

VanEck Vectors Digital Transformation ETF (NASDAQ:DAPP)とBitwise Crypto Industry Innovators ETF (NYSEARCA:BITQ)です。

ARK Investment Managementは、ビットコインETFの作成を検討している最新のグループとして、21Shares US LLCという会社と手を組んでいます。参入表明のタイミングにテクニカル上の重要な30,000ドル割れのタイミングと重なったのは、キャシー・ウッド氏の戦略だったのかもしれません。

ビットコインETFは米国SECから承認されるのか?

正直、SECがビットコインETFを承認するかどうかは、米国(アメリカ)当局者だけでなく、FRBだけでなく、議員などの政治も絡んでくることからよく分かりません。先進国の金融当局者や超大手銀行はビットコインなど暗号資産をあまり好ましく思っていないようです。ただ、儲かることは何でもやる投資銀行は、隙あらばと、参入しようと虎視眈々と様子をうかがっています。

もし、承認されなければ、いろいろを大変なことになりそうです。オランダのチューリップ投機バブル崩壊並みに歴史に記されるかもしれません。動向は注意深く見守り続ける必要があります。

個人的には、ビットコインの価値は、国際送金手数料がかからない点だと認識しているので、大手銀行が送金手数料を株式の手数料同様限りなくゼロにすれば、必要なくなると思います。いずれにしろ、暗号資産も含めたフィンテック関連はいろいろな点で価格破壊を推進していく原動力になるでしょう。

グレースケール・ビットコイン・トラストGrayscale Bitcoin Trust(OTC:GBTC)とは?

GBTCはETFではありません。認定投資家向けに定期的に私募を行う準クローズドエンド型ファンドです。また、米国の取引所で取引される商品でもありません(店頭で取引され、OTCQXで引用されています)。日本のネット系証券会社では、取り扱いはありません。

しかし、GBTCは機関投資家に評価されている方法でビットコインへのエクスポージャーを提供する商品であり、暗号通貨が盛り上がっている時期でもあるのでいくつかの機関投資家やETFが投資保有しています。

GBTCは2%の年間手数料を徴収しており、これを360億ドルの運用資産に当てはめると、なんと7億5600万ドルの収益に相当します。これは、米国の上場ETFで最大の収益を上げているインベスコQQQトラスト(QQQ)の運用報酬手数料の収入の2倍以上にあたります。また、QQQとSPDR S&P 500 ETF Trust (SPY)の収益を合わせた6億5,060万ドルよりも多くなっています。100億ドル規模のグレースケール・イーサリアム・トラスト(ETHE)を加えると、グレースケールはたった2つの商品から年間推定10億ドルの収益を上げていることになります。他にももっと小さな商品が12種類あります。Grayscaleがたった2つの商品から10億ドル近い収益を上げていることは、Vanguard社が設定する82のETFすべてから得ている額に相当しますが、実に素晴らしいことです。ちなみに、米国の上場ETF業界全体では、約2,500本のファンドで120億ドル弱の収益を上げており、そのうち56%はブラックロック、ステート・ストリート、バンガードが占めています。

因みに、Ark Investmentsの収益もETF業界のなかでは、巨人です。ARKKは244億ドルの運用資産から年間約1億8300万ドルの手数料を得ています。これは、第2位と第3位のETFの合計額よりも多きい報酬額です。iシェアーズ・コアS&P 500 ETF(IVV)とバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)は、合わせて5,185億ドルの運用資産がありますが、運用会社(発行会社)の収益は1億5,560万ドルです。収益は、運用資産総額に経費率を乗じたものです。さらに言えば、ARKの8本のETFは506億ドルのAUMで年間3億8,050万ドルの収益を上げているのに対し、ステート・ストリートの132本のETFは15億ドルの収益を上げています。

言い換えれば、ARKは資産総額がたった5%であるにもかかわらず、State Streetの26%の収益を上げていることになります(506億ドル対1.5兆ドル)。ちなみに、ETFの発行者としては、ステート・ストリートが資産額で第3位であるのに対し、ARKは第10位です。

GBTCは常に現在のような注目を浴びる投資商品ではありませんでした。1年前までは、GBTCの運用資産が35億ドルを超えたことはありませんでした。1年前に遡ると、GBTCは現在のような金額を稼いでいませんでした。35億ドルに2%の手数料をかけると7,000万ドルになりますが、スゴイことではありません。

その意味では、ARKKと似ています。どちらも長年にわたってゆっくりと安定した成長を遂げ、立派なミドルサイズの地位を築いていましたが、あるとき爆発的に上昇しました。GBTCの場合は、過去1年間にビットコイン価格が約9,000ドルから60,000ドルへと見事に上昇したことがマッチしました。その結果、GBTCの資産は10倍以上に増加しました。GBTCは最適な時期に最適な商品だったのです。どのようにしてここまで来たのでしょうか?

グレースケールの「Golden Goose」は、ARKのように、ユニークな商品を提供しています。GBTCは長年にわたり、投資家が伝統的な証券口座を通じてビットコインに簡単にアクセスできるようにするという点で、唯一の投資商品でした。

GBTCは、2013年にデビューし、2015年に上場しましたが、当時はまだ多くの人がビットコインを知らなかった時代でした。また、暗号資産の分野では、セキュリティ(またはその欠如)が現実的な問題となっていた頃です。当時の世界最大の暗号取引所であるMt.Goxは、2014年に壊滅的なハッキングに直面し、暗号化された取引所やカストディアンへの信頼が失われました。

そのような環境の中で、ビットコインを身近な形で入手できるGBTCは、まさに貴重な存在でした。株式やETFと同じように、通常の証券口座からビットコインを購入するだけで、ビットコインの取得や保管などの面倒な手続きはすべてグレースケールが行ってくれます。GBTCでは、ビットコインが240ドルしかなかった2015年5月の時点で、このようなことが可能でした。

確かに、GBTCは完璧な商品ではありませんでした。しかし、GBTCは取引が容易で、投資家は暗号に特化した別のプラットフォームを使用せずに、混乱した暗号の世界に足を踏み入れることができます。SECが米国上場のビットコインETFの承認を今のところ拒否しているため、多くの投資家にとってGBTCは次善の策だったのです。そして今でも、SECが承認するまでは、その状況は変わっていません。米国日本でビットコインETFはいつから始まるのか?時期なども分析

米国日本でビットコインETFはいつから始まるのか?時期なども分析

今回SECが現物ビットコインにトラックするETFの申請を却下しました。理由は暗号資産を取引する私設取引所に対する管理・監督・登録制度がまだ米国内で完備されていない点を疑問視しています。カストディに関しても同じ問題が出てきます。しばらくの間、現物ビットコインだけでなく現物暗号資産を投資対象としたETFはしばらく承認されないでしょう。

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