米国株価総崩れの危機!?米財務省、FRB緊急融資プログラム延長せず?

連邦準備理事会(FRB)の緊急融資プログラムの一部、12月31日に終了へ?

ムニューシン米財務長官は19日、新型コロナウイルス危機を受けて導入した連邦準備理事会(FRB)の緊急融資プログラムの一部について、期限を延長せず12月31日に終了する考えを示した。コロナ危機が続く中でFRBはプログラムの延長を求めており、政権交代を前に現政権とFRBの意見対立が鮮明になっている

3月の新型コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づき、財務省には4550億ドルが割り当てられ、その大半はFRBの企業や非営利団体、地方政府向け緊急融資資金に確保された。

ムニューシン長官はパウエルFRB議長への書簡で、これらの資金の未使用分を財務省に返却するよう要請。返却された資金を議会が景気対策に回せるようにすべきとした

なお、緊急プログラムが「万が一」再び必要になった場合には、FRBは財務省に資金を要請できると説明。短期社債市場など主要な金融市場向けの一連の資金供給プログラムについては90日間の延長を認めた

新型コロナの感染拡大が続き、失業者も増える中、FRB当局者は米経済がまだ危機を脱していないとして、緊急融資プログラムは延長すべきとの考えを示していた。

FRBは財務長官の発表を受け、19日の声明で「いまなお厳しい状況にある米経済を保護する重要な役割を果たすため、コロナ禍で構築された緊急ファシリティーがそのまま継続されることを望む」と表明。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁も19日、ブルームバーグTVのインタビューで、緊急融資プログラムの一部を12月31日で終了する財務省の決定に「やや驚いた」と述べた上で「経済の状況や、依然として不透明感が非常に強いことを踏まえると、人々が困難に陥った際に利用できるよう、これらのプログラムをオープンにしておくことが賢明だ」と語った。

FRBの中小企業向け「メインストリート融資制度(MSLP)」などの緊急融資プログラムはあまり使われていないが、FRB当局者はこのプログラムが存在することで、コロナ下でも企業や地方政府などへの与信が引き続き可能だと金融市場と投資家に安心感を与えると考えている。

FRBの一部プログラムの終了により、米経済は来年1月20日に発足するバイデン次期政権への移行期に一段と厳しい状況に陥る可能性がある。

米商工会議所のニール・ブラッドリー最高政策責任者(CPO)は「(プログラムの)終了は不意打ちで、早々かつ不必要に次期政権の手を縛り、企業が最も必要とする局面に流動性に関する重要な選択肢の扉を閉ざすものだ」と批判した。

JPモルガンのアナリスト、マイケル・フェローリ氏は、年末でのプログラム終了により、来年1月のバイデン新政権発足までの3週間はこれまで存在していた緊急プログラムなしに市場が運営されることになると指摘した。

ムニューシン長官の発表を受け、市場には動揺が広がった。米10年債利回りは2ベーシスポイント(bp)低下し、0.83%と10日ぶりの低水準を記録。S&P500種Eミニ先物は0.7%安。

共和党のパット・トゥーミー上院議員は、財務省の決定を歓迎すると表明。「これらのファシリティーは意図された目的をうまく達成した」とし、「流動性が改善したことを踏まえ、議会が意図した通り、また法で求められる通り、2020年12月31日で終了すべきだ」と述べた。同議員は共和党が上院多数派を維持した場合、FRBを監督する上院銀行委員会の委員長に就任するとみられている。

下院の民主党議員を中心に構成される新型コロナウイルス危機特別小委員会のクライバーン委員長は、コロナ危機のさなかにFRBの緊急融資プログラムを打ち切ることは「とても正当化できない」とムニューシン長官を非難し、決定を撤回するよう求めた。

また、コンパス・ポイント・リサーチ・アンド・トレーディングの政策調査担当責任者、アイザック・ボルタンスキー氏は「FRBはワシントンで唯一の安定性の源の1つとなってきた。不安定な回復を支援するFRBの裁量を取り除くことは、全くばかげている」と指摘。

「むやみに市場に不透明感や不安定性をもたらす悩ましい展開だ。この危機への対応で米政府はいったい何度つまづくのか」と続けた。

2020年11月20日7:59 午前 ロイター

米国株式市場とクレジット市場への影響を考える

今朝のニュースですが、これは深刻な事態を引き起こしかねないと思います。これまでのアメリカの株式市場は、3月以降、政府の財政支出とFRBの金融緩和(利下げ+公社債買い入れによる量的緩和)で、上昇を続けてきました。

9月から10月にかけて株式市場がもみ合ったのも、議会での追加経済対策の交渉が膠着したことが原因で、軟調な展開でした。大統領選挙が終わったことでいったん政治的リスクが消えたことで、株式市場とクレジット市場は若干センチメントは上がっていました。コロナ・ワクチンに関する報道もセンチメントを押し上げる効果はあったと思いますが、最も資本市場が期待しているのは、早く議会で追加経済対策をまとめてほしいことです。

たとえ支出金額が大きくなったとしても、国債の増発で対応し、その時長期金利が上昇したとしても、それはFRBが国債の購入額を増やすことで対応できます。パウエル議長も、ことあるたびに、追加の経済対策の必要性をほのめかしてきました。FRBからすれば、財政支出をこうしてくれとは政治的に言えません。

FRBにできることは限られているからです。クレジット市場でも特に、ハイ・イールドやレバレッジド・ローンが戻ってきたのも、全てまだ使っていないかもしれませんが今ムニューシンが引き上げようとしているこのプログラムがあったからです。今この資金を引き上げたら12月に期末が迫っている米銀行は、クレジットの売却かヘッジをしないといけません。今晩のクレジット市場も心配です。

ムニューシン財務長官が、このタイミングこのような発言をしたことは、ある意味確信犯なのかもしれません。議会での話し合いが進まず、業を煮やしてFRBから返してもらった予算も使って、議会において民主党と交渉しようとしているのか、もしくは、株価を調整させて議員が焦ったところで、経済対策を早急にまとめようとしているのかもしれません。真意がどうであれ、ムニューシン財務長官の行動は、株式市場にとっても非常に危険です。来週にかけて、5~10%下げても不思議ではないと思います。株価指数の先物市場とリスクの最も高いクレジット市場(ETFなら、BDCSとBIZD)には要注目です。

今回のムニューシン爆弾の投下により、米議会が早急に経済対策パッケージをまとめてくれることを祈るばかりです。

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