投資において、とても難しいのが利益確定のタイミングです。
損切りは、5%下落したらとか、予想より悪い決算が出たらなど、資金やシナリオに対して設定することができます。
しかし、利益確定は違います。価格の下方向はゼロまでですが、上方向は天井知らずです。
どこで利益確定を行うのが正解なのかは、プロでも難しいと言われています。
またウォーレン・バフェット氏のように、良いと思った銘柄は永遠に保有し続ける利益確定を行わないという投資家もいます。
そんな難しい利益確定ですが、一般的な出口戦略や基本的な利益確定方法があります。
【利益確定のセオリー】
- 目標株価に到達した時に売る
- 価格が上昇すると損切価格を引き上げる
- 決算発表の前に売る
- 悪材料が出るまで保有し続ける
これら4つの出口戦略に関して説明していきます。
目標株価に到達した時に売る
一番一般的な利益確定方法は、事前に決めた目標株価に株価が到達したときに売却を行う方法です。
株式を購入する前に、あらかじめこの価格になったら売却すると定める基準の事です。
株式の保有期間が短期であっても長期であっても、どちらの場合であっても使える出口戦略となります。
この利益確定の良いところは、株式を保有する前の冷静な状態で目標価格を決められていることです。
例えば、700円の株価が1000円になった時に利益確定を行うとしましょう。株価は順調に上昇し950円を越えてきました。もう少しで利益確定です。さて、こうなった時の投資家心理はどうなるでしょうか。
多くの投資家が、「もっと上昇するはずだ!」と考えるでしょう。そして、目標を1200円などに上方修正します。もちろん、思惑通りに価格が目標株価を越えてくれば嬉しい限りです。
ところが、株価が修正した目標株価の手前で失速するとどうでしょうか?
ここまで順調に上昇したから問題ない、もう少し待てば目標株価まで上昇すると思うことにするでしょう。
これは投資初心者が投資で陥りやすい失敗のひとつです。
その後に1000円を割り込んでしまえば、確実に利益を確定せねばなりません。
しかし、一度最大の利益を見た投資家は含み益があるにもかかわらず大きく損をした気分になり、利益を確定できなくなるという状況に陥るのです。
こういったことを避ける為に、最初に定めた目標株価を変えないという事も重要です。
当初の利益確定までの分析は正しかったのですから、目標に達すると「利益確定の分析も正しい」として売却すべきなのです。
価格が上昇すると損切価格を引き上げる
もちろん、目標株価に到達してからも株価が上がり続けるケースもあります。
この場合は、可能な限り頂点で売るようにすべきですが、やはりそれは困難です。そのため、ある一定の価格上昇の度に売却価格を引き上げるという方法があります。
これは、価格がいくらになったら売却するという目標を決める戦略ではなく、ここまで下落したら売却するという撤退を基本として出口戦略です。
【売買の例】
目標価格:1000円
1000円突破後:100円上昇するごとに損切り価格を100円引き上げる。
1100円を突破した場合、1000円に引き上げ。1500円を突破した場合、1400円に引き上げる。
いわゆるトレール注文の方法ですが、機械的に売却価格を引き上げられるため、難しくなく、急騰相場では効果的です。
決算発表の前に売る
株価は決算発表前になると、様々な思惑から値動きが激しくなる場合があります。
期待度の高い銘柄であれば、決算の数日前から上昇し始め、決算当日には10%を超える急騰となることも珍しくありません。好決算を織り込みに行っているのです。
このような場合、前期や前年よりも良い決算が出たとしても、市場の期待以下だとして株価が急落してしまう場合があります。
また本業以外の損失を出す場合もあり、決算というのは何が起きるか分からないものです。
そのため、決算発表前に保有する株式を売却もしくは一部売却を行うという方法は一般的です。
特に第3四半期や本決算前に株式を売却する投資家は多いとされています。
悪材料が出るまで保有し続ける
ウォーレン・バフェット氏のように、優良銘柄であり続ける限り株式を保有し続けるという方法があります。
優良銘柄は成長し続けていくため、安いところで購入していれば保有し続けると大きな利益を得られることができます。
何故なら、1000円の株が1100円に上昇すれば10%の上昇ですが、200円の時に購入できていれば含み益は50%も増加することになります。同じ上昇率でも、利益増加率は大きく違うのです。
この売却する材料は、投資スタンスによって大きく変わりますが、以下のようなものがあります。
- 赤字決算や成長率の低下
- 月次推移の悪化
- 不祥事
- 新商品の販売不調
- 競合他社の台頭
- 主要株価指数の大幅な下落
- PERの高騰
中長期的な保有の場合が対象になりますが、これらは保有している銘柄や投資家層によって大きく変わってくるでしょう。また、新作ゲームが○○ダウンロードまで伸びるはずだったが予想の7割程度だったなど、そもそも購入した理由が無くなってしまった場合は、即座に売却する方が良いでしょう。
難しいのは、企業の不祥事です。
株価は売られることが多いですが、特定の社員の横領やパワハラ等の問題であれば、次の決算に大きく影響しないことが多いでしょう。その場合、安値を買ってくる投資家が出てくることも考えられることから、保有価格によっては売却を待ってみても良いでしょう。
まとめ~投資の出口戦略
テールリスクという予想外の出来事がしばしば発生する株式市場において、投資家心理に打ち勝つために売買ルールを事前に決めておくことが重要です。
値上がりすると思って買った優良株であっても、金融ショックなどで業績が悪くなくても半値にまでも値下がりしたりする場合があります。
そういった場合に利益の減少を押さえて資金管理を粉うために、上記に挙げた出口戦略を参考にしてみてはいかがでしょうか。