ハイテクETF TQQQとは?どこの証券会社で買えるの?

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注目のハイテクETF 「TQQQ」と「QQQ」とは?

ハイテク株中心のNASDAQ指数に連動するETFは非常に人気を博しています。インベスコ社のQQQ(正式名称:インベスコQQQ信託シリーズ1)はその代表的なETFですが、そのNASDAQ指数に3倍のレバレッジをかけた「TQQQ」(正式名称:プロシェアーズウルトラプロQQQ)は、昨年の強気相場で、トレード好きの人たちの間で特に特に人気となっているETFです。

どちらのETFも資産残高は大きく、日々の取引量も多くて流動性は十分あります。TQQQをそのままトレーディングに使ってもいいですが、長期保有した場合はどうなのかという視点で分析を行いました。

なおNASDAQ(ナスダック)とは、米国の新興企業向けの市場で、ナスダック総合指数とは、ナスダックに上場している全ての企業の時価総額を「加重平均」で算出した指数です。組入れ銘柄にはアップルやアマゾン、Google、ファイスブックなど「GAFAM」とよばれる大型ハイテク企業や、サブスクサービスで一躍有名企業となった「ネットフリックス」、そして世界最大手自動車会社である「テスラ」など世界的に注目されている新興企業が名を連ねています。

なおTQQQはQQQにレバレッジをかけて取引するハイリスク・ハイリターンの商品になるので通常のネット証券であるマネックス証券、SBI証券、楽天証券、いずれも取り扱いがありません。 日本の証券会社で買おうとするのであれば、唯一CFD専門の国内ネット証券会社であるIG証券でのみ取引ができます。

NASDAQ(ナスダック)とは?米国の新興企業が上場する市場について解説

QQQとTQQQのパフォーマンスを比較

昨年2月から3月にはかけての調整局面で、50%以上下落していました。しかし、その後の上昇で150%程度上昇しています。

TQQQのパフォーマンス推移

 1か月3か月年初来1年間3年間5年間10年間
TQQQ10.73%63.13%10.73%105.53%55.10%70.63%50.02%
TQQQ(NAV)20.08%48.74%14.69%99.36%56.85%71.91%50.28%
NASDAQ-1006.86%15.37%5.27%46.57%27.36%27.98%20.63%

QQQのパフォーマンス推移

 1か月3か月年初来1年間3年間5年間10年間
QQQ4.03%19.05%4.03%47.81%26.63%27.39%20.30%
QQQ(NAV)6.84%15.30%5.25%46.30%27.11%27.70%20.37%
NASDAQ-1006.86%15.37%5.27%46.57%27.36%27.98%20.63%

TQQQとQQQの主要データを比較

 TQQQQQQ
設定日2010年2月9日1999年3月10日
費用率0.95%0.20%
総資産額107.5億ドル1556.61億ドル
1日平均取引額29.4億ドル83.9億ドル
平均取引スプレッド0.01%0.00%
平均スプレッド$0.02$0.02
保有銘柄数103103

QQQの組入れ株式銘柄と保有比率

QQQHolding保有比率
AAPLApple Inc.12.05%
MSFTMicrosoft Corporation9.44%
AMZNAmazon.com, Inc.8.62%
TSLATesla Inc5.14%
GOOGAlphabet Inc. Class C3.51%
FBFacebook, Inc. Class A3.31%
GOOGLAlphabet Inc. Class A3.19%
NVDANVIDIA Corporation2.66%
PYPLPayPal Holdings Inc2.49%
NFLXNetflix, Inc.1.92%
INTCIntel Corporation1.89%
ADBEAdobe Inc.1.84%
CMCSAComcast Corporation Class A1.84%
CSCOCisco Systems, Inc.1.57%
PEPPepsiCo, Inc.1.52%

QQQをTQQQとして取引するメリット

  • QQQ (NASDAQ-100指数)の3倍のレバレッジETFであるTQQQは、大きなリスクで大きなリターンが期待できます。
  • バックテストでは、TQQQは長期保有(1年)が可能であり、QQQをアウトパフォームすることができますが、長期保有ではパフォーマンスを著しく悪化させる可能性があります。
  • TQQQ を長期保有すると、ポートフォリオ全体をほぼ一掃するような長引く弱気市場に遭遇することがほぼ確実です。
  • デッド・クロスで弱気相場は非難することで、QQQよりも大きくアウトパフォームが可能

NASDAQ指数は過去S&P500株価指数やダウ工業株指数など代表的なアメリカの株価指数を大きくアウトパフォームしてきました。NASDAQ株価指数のなかでも、先物も上場しているNASDAQ100指数を原資産としたETF 「QQQ」(正式名称:インベスコQQQ信託シリーズ1)は、非常に人気です。また、昨年来のNASDAQ市場の上昇を受けて、QQQにレバレッジをかけたETF「TQQQ」(正式名称:プロシェアーズウルトラプロQQQ)も人気を博しています。

TQQQは、NASDAQ-100株価指数をトラックする Invesco QQQ ETF (QQQ) の 3 倍のレバレッジ ETF です。QQQとTQQQは、ビッグテックの出現とそのパフォーマンス、COVID-19パンデミックの間にも彼らの収益力により、過去10年間人気が高まっています。一方、2000年のハイテクバブルは、TQQQのようなレバレッジETFを研究する上で非常に興味深く重要な期間を示しています。

TQQQをETFで買える証券会社は?

TQQQはQQQにレバレッジをかけて取引するハイリスク・ハイリターンの商品になるので日本の証券会社では取り扱いはありません。通常のネット証券であるマネックス証券、SBI証券、楽天証券、いずれも現在は取り扱いがありません。

日本の証券会社で買おうとするのであれば、唯一CFD専門の国内ネット証券会社であるIG証券でのみ取引ができます。

TQQQのパフォーマンスを検証してみた

1年のフォワード・リターン(期間収益率)だけを見るのではなく、5年という長いホールド期間を分析してみました。QQQ のデータは 1999 年3月までさかのぼれます。これはテックバブルが形成され始めた時期であり、ここから分析を開始しています。TQQQが誕生したのは2011年で、大規模な長引く弱気相場の後でしたので、TQQQリターンをシミュレーションするためにQQQの価格データから計算して比較対象としました。

計算は以下の通りのモデルで行いました。

取引日の終値を前日の終値で割った値を取ることで、毎日のリターンを計算しています。
3か月間のフォワード・リターンは、次の64取引日(3か月間の平均取引日数)のリターンを合成しました。
1年間のフォワード・リターンは、次の253取引日(1年間の平均取引日数)のリターンを合成しました。
各データポイントは、投資家がQQQまたはTQQQに投資を開始した日であり、関連するリターンは3か月後、1年後のリターンです。(3か月間は年率換算していません)
比較単純化のため、配当金や手数料は考慮していません。

3か月間の保有期間リターン

1年間の保有期間

3倍レバレッジは、投資家のタイミングにもよりますが、TQQQが一般的にQQQをアウトパフォームしています。TQQQ の投資家が QQQ をアウトパフォームする最良の機会は、大規模な市場の暴落(2002 年と 2009 年)後の大規模なブル相場の開始時です。しかし、投資家が正確にタイミングを逃したとしても、2003年から2007年、2010年以降の世俗的な強気相場の間は、TQQQはQQQをアウトパフォームしています。

投資家が TQQQ への投資を開始した絶対的なベストタイミングは、1999 年のテックバブルの大暴騰前でした。投資家はTQQQで1年間に4倍以上のリターンを経験できています。QQQでは2倍程度しかリターンを獲得できていませんでした。しかし、これは投資家が市場のタイミングを完璧に合わせ、2000年のテックバブルが崩壊する前に投資を中止した場合にのみ効果があったでしょう。

2000 年から 2002 年にかけてのハイテク株の長期的な弱気相場の間、QQQ の投資家は毎年約 50%の損失を出していました。3か月間という短期間であっても、TQQQの場合は100%損失もこうむることが起こったということです。TQQQの投資家は3年連続でポートフォリオのほぼ100%以上を失っていました。同様に2007年後半から2008年にかけても、TQQQの投資家はほぼ100%以上のポートフォリオを失っていました。

ほとんどの投資家が苦労している市場のタイミングを見るのではなく、TQQQと QQQのパフォーマンスデルタの分布を見ると、TQQQは約 3 分の 2 をアウトパフォームしていることがわかります(3か月間で68%、1年間では78%)。平均のリターンは3か月間で8.7%、1年間で32%でした。1倍だと、3か月間2.9%、1年間では10.7%でした。分布は非常に長いテールを持っており、投資家がタイミングに特に運が良ければ、かなりアウトパフォームが可能であることを意味しています。

しかし、これは投資家にとって大きなリスクがないわけではありません。分布のアンダーパフォーマンスの部分を見ると、最も一般的な結果は40%から50%のアンダーパフォームです。このアンダーパフォーマンスは通常、QQQが大幅に下落している間にすでに発生しているため、基本的には40%から50%を追加で失うことは、あなたのポートフォリオがほぼ完全に一掃されることを意味します。

レバレッジをかけていないETFや株式については、ほとんどの投資家が、「投資をして長期的に堅実なポジションを維持することが、市場の変動を乗り切り、富を生み出す方法である」という格言を守っています。これはTQQQのようなレバレッジETFでも同じように考えられるかもしれません。しかし、利益よりも損失の方が大きくなるという非対称効果のため、TQQQを長期保有すると実際には悲惨な結果になる可能性があります。

株式相場の大幅な調整がいつ起こるのか?今の相場はバブルなのか?といった命題は相場には常に付きまといます。

特にTQQQ のようなレバレッジのかかったETFは取り戻せないほどのダメージを受けることになります。

2009年以降は、強気相場が長期化したため、TQQQが引き続き好まれています。投資家がCOVIDの暴落のちょうど1年前に購入した場合でも、TQQQはQQQをアウトパフォームしました。これは、テックバブルや金融危機での長引く弱気相場とは対照的に、COVID クラッシュでは価格が急速に回復したことで説明できます。

うまくレバレッジと付き合う方法

1999年3月からQQQを保有し、今日まで保有していた場合、長引く弱気相場にもかかわらず、初期投資額の6倍を保有することになります。代わりに TQQQ を保有していた場合、20 年前に保有していたものと比べてわずか 27%しか増えませんでした。この原因のほとんどは、テックバブルの暴落によって、あなたのポートフォリオがほぼ全滅したことにあります。つまり、TQQQ は長期保有には向いていないと言えます。

反対に、金融危機のクラッシュ直後のようなより良いエントリーポイントで投資を始めていたら、状況は大きく変わっていたでしょう。2009年3月に投資を開始し、今日まで保有していた投資家は、QQQでは11倍のリターンがありますが、TQQQでは250倍のリターンがあります。しかし、投資のタイミングは非常に難しいので、リスク・リターンの観点から見た方が良いでしょう。

QQQとTQQQを入れ替えながら投資する上手な取引手法

テクニカル分析でよく利用されるゴールデン・クロスとデッド・クロスを利用してTQQQとQQQを入れ替えながら投資を継続する方法を検証してみました。

ゴールデン・クロスを形成し強気相場入りした時点で、3倍のレバレッジがかかったTQQQを購入し、デッド・クロスを形成し弱気相場入りした時点でレバレッジを1倍に下げて、引き続きNASDAQのエキスポ―ジャーを取り続けるというコンセプトです。

ゴールデン・クロスは比較的短期の移動平均が長期の移動平均を上回っている強気のシグナルであるチャートパターンです。 ゴールデン・クロスは、証券の短期移動平均(15日移動平均など)が長期移動平均(50日移動平均など)または抵抗を上回ったクロスオーバーから形成された強気のブレイクアウトパターンです。強気相場を示し、取引量が増えていることによって強化されます。デッド・クロスは逆に短期の移動平均が長期の移動平均を下回っている弱気のシグナルであるチャートパターンです。

この分析では、基本ゴールデン・クロスが起これば、TQQQを保有し、デッド・クロスが出現した時点でQQQに入れ替えてレバレッジを落とすという戦略を分析してみました。

S&P500指数やダウ平均などの分析では、50日と200日といった長い日数がよく使われますが、NASDAQの場合は調整がある場合、動きが速いので、もっと短い日数の移動平均を見てみました。(15日・50日の移動平均でシミュレーションした場合)

2018年9月28日より運用を開始した場合

2008年1月2日より運用を開始した場合

1999年5月19日より運用した場合

それぞれの戦略の場合の試算額倍率(単位:倍)

15日と50日の移動平均を使った場合

開始日ゴールデンクロス戦略NASDAQ(QQQ)
1999/5/1940.295.73
2008/1/239.685.70
2018/9/283.021.69

ゴールデンクロス戦略をとると、NASDAQ指数以上に収益が上がったという結果になりました。これまで言ってきた、TQQQを持ち続けると、大きな相場の下落に直面するとそのすべてを失う可能性もあります。機械的にレバレッジ比率を調整することで、大きな超過収益を獲得し、資産形成に役立つのではないでしょうか?

参考までに、他の日数を使ったシミュレーションも行いました。筆者が計算したなかでは、15日と50日の移動平均を使って、ゴールデンクロスとデッドクロスを見極める戦略が最もうまくいきました。

20日と50日の移動平均を使った場合

開始日ゴールデンクロス戦略NASDAQ(QQQ)
1999/5/1923.365.73
2008/1/221.335.94
2018/9/282.641.69

25日と50日の移動平均を使った場合

開始日ゴールデンクロス戦略NASDAQ(QQQ)
1999/5/1912.825.73
2008/1/225.815.94
2018/9/282.641.69

注目のハイテクETF 「TQQQ」と「QQQ」~まとめ

TQQQはレバレッジ型ETFとして長期的に保有することもできますが、タイミングが非常に大切です。TQQQを長期的に保有していると、それまでの数年分の利益をすべて吹き飛ばすような大規模で長期化した弱気相場に突入することがほぼ確実になります。しかし、2000年から2003年にかけてのITバブル崩壊の局面と2008年から2009年にかけてのリーマン・ショックによる金融危機といった大規模な長引く弱気相場を避けることができれば、TQQQはQQQ(NASDAQ100指数)を大幅にアウトパフォームすることができます。

TQQQや他のレバレッジETFは、リスク許容度が非常に高く、市場のタイミングに優れた投資家のみが長期的に保有すべきものです。いまのような強気相場がいつまで続くのか、また、いつまたテックバブルや金融危機のような暴落が起こるのかは不明ですが、ほとんどの投資家にとっては、レバレッジをかけていないETFを保有することがおすすめです。

テクニカル指標を使って、ある程度機動的にレバレッジ比率を変える(調整・入替する)ことで、長期投資にも利用可能な投資手段ではないでしょうか。

TQQQはオプション市場でも盛んに取引されています。オプション取引に詳しい人であれば、様々なオプション戦略を使って取引やトレーディングすることも可能です。しかし、金融機関でオプション取引の経験豊富なプロにしかお勧めしません。


当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的とし作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当方の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。特にレバレッジ比率が高い金融商品はその投資額全てを失う可能性があります。投資に関する決定は、ご自身で判断なさるようお願いいたします。

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