米国ブルーウェイブで上昇する米国ETFを探る

ETF

ブルーウェイブ(大統領、上院、下院すべて民主党)で上昇するセクターETF

火曜日のジョージア州上院選の結果を受けて、米国議会で民主党が上院と下院で過半を占める「ブルーウェーブ(青い波)」が現実となりました。

水曜日の取引で、市場は税制変更や企業監督、医療や環境に至るまで、今後起こりうる多くの変化に早速反応しはじめています。

セクター別に見ると、水曜日(2021年1月6日)に昨年末比で最もパフォーマンスが高かったセクターは金融、クリーンエネルギー、ヘルスケア、材料でした。セレクトセクターSPDRで各セクターのパフォーマンスを見ました。銀行セレクトセクターSPDRファンド(KRE)は、8.7%上昇し、金融セレクトセクターSPDRファンド(XLF)も3.5%上昇し、エネルギーセレクトセクターSPDRファンド(XLE)は7.8%上昇し、材料セレクトセクターSPDRファンド(XLB)は5.4%上昇しました。また、SPDR S&P 500 ETF 信託 (SPY) は -0.1%と下落しました。

木曜日(1月7日)では、昨年末比で、銀行セレクトセクターSPDRファンド(KRE)は、9.3上昇し、金融セレクトセクターSPDRファンド(XLF)も5.0%上昇し、エネルギーセレクトセクターSPDRファンド(XLE)は9.4%上昇し、材料セレクトセクターSPDRファンド(XLB)は6.2%上昇しました。また、SPDR S&P 500 ETF 信託 (SPY) は 1.4%上昇しました。(後半の添付のセクター別ETFのパフォーマンス一覧表をご参照ください)

S&P500株価指数の推移(2020年1月3日~2021年1月7日)

出所:Yahoo.com/Financeより

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ブルーウェイブによる株価と金利の推移・要因

ブルーウェイブになったことで、増税が予想されることから長期金利は上昇し、イールドカーブが立ったことで金融セクター、特に銀行セクターは上昇しています。また大規模なインフラ投資が予想されることから、素材セクターも堅調でした。また、経済の再開に連動して、いわゆるリフレーション取引(これまで悪かった旅行・航空・リテールなどの業績回復への希望)についても議論されています。エネルギー関連はもっと複雑な話で、しばらくの間、バリュー投資(割安銘柄のピックアップ)がこのセクターを支えてきましたが、サウジアラビアの石油減産のニュースによってこのセクターは上昇しました。

しかし、エネルギー関連の真の勝者は、XLEのほんの一部です。選挙運動中、ジョー・バイデン次期大統領は在任期間中にクリーンエネルギーへの投資額を2兆ドルに拡大すると発言し、インベスコ・ソーラーETF(TAN)などのETFは12%以上、iシェアーズ・グローバル・クリーンエネルギーETF(ICLN)は11%以上の上昇となりました。これらのETFをはじめ、このセグメントの他のETFは、秋の大統領討論会でクリーンエネルギーへの大規模な投資の話が最初に出てきたときから、上昇傾向を示していましたが、火曜日の上院議会選の結果はその上昇の勢いに新たな勢いを吹き込みました。そして、すべてを合わせて、ブルーウェイブのニュースは、すべての銘柄を下支えし、エネルギーのトレンドを上昇させました。

逆に反応したのは、テクノロジー・セクターでした。民主党政権が大手テクノロジー企業に対してより厳しく、より高圧的な態度をとるようになるのではないかという懸念が再燃しており、この分野に重圧をかけていました。これは、独占禁止法違反から将来のメガテック企業の合併を阻止することや、最大手テクノロジー企業を対象としたその他の規制措置に展開する可能性があります。ここ数年長年の勝者であるテクノロジー・セクターは、何らかの調整の準備ができていたかもしれませんが、選挙の結果は間違いなく、少なくとも当初はテクノロジー・セクターに影を落としています。テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLK)は水曜日に2.7%下落しました。

最後に、ヘルスケアですが、政治環境に最も敏感に反応したセクターの一つでした。ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド(XLV)は1.7%わずかに上昇しました。市場では、民主党が議会とホワイトハウスを支配しているため、医療業界に意味のある変化は起こらないとの見方が主流のようですが、過去に見てきたように、リーダーシップの変化は、このセクターに影響を与える政策の変化につながることが多いため、次に何が起こるのかは見守る必要があります。

セクター以外では、選挙の影響で上昇した興味深いセグメントはマリファナ(大麻)ETFでした。10億ドル近い運用資産を持つ最大のETFMGオルタナティブハーベストETF(MJ)は、15.1%上昇しました。アクティブ運用のETFであるAdvisorShares Pure Cannabis ETF(YOLO)は12.1%上昇しました。大麻の栽培銘柄がもっとも熱い株式でした。大麻は規制物質であるため、大麻の販売や栽培に従事する企業は、連邦政府の銀行システムを使用することができないため、業界にとって大きな障害となっています。クレジットカードやFDIC保険に加入している銀行での取引ができないことは、投資の妨げになるだけでなく、業界にとっても制限となっています。民主党はこの業界に友好的になることが期待されており、おそらく連邦レベルでの非犯罪化への扉を開き、市場の非常に成長性の高い部分と考えられているものへの投資アクセスのための扉を開くことになるとの推測が出ています。

参照資料:セクター別ETFのパフォーマンス(2021年1月6日引け値:対2020年12月31日比%)


参照資料:セクター別ETFのパフォーマンス(2021年1月7日引け値:対2020年12月31日比%)

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