米国株の長期的な上昇要因

2013年からNYダウが2倍になるまで、わずか7年でした。日経平均もアベノミクスの影響で同じように上昇しましたが、新興企業の多いナスダックにいたっては2017年4月から3年4カ月で2倍になっています。しかし、日本の新興市場の指数であるマザーズは横ばいで推移しています。

なぜこれほどまで差が出ているのでしょうか。これまで、米国株の魅力に関して説明してきましたが、米国株が長期的に上昇する要因に関して、もう少し詳しく説明していきます。

たくさんある米国株の上昇要因

「米国株と日本株の違いと魅力」と「米国経済と日本経済の違い」でも挙げましたが、そもそも米国と日本では圧倒的な違いがあります。

【米国株の上昇要因】

  • 平均年収の高さ
  • 株主への利益還元文化
  • 産業構造や社会、政治的要因
  • 世界市場で活躍する企業が多い
  • 米国内での売上比率の高さ
  • 世界最大の産油国

平均年収の高さ

米国は長期的に人口増加しており、経済発展の大きなエンジンとなっています。自然増加の他にも移民も多く、毎年およそ100万人の人口が増加しています。

さて、これだけ多くの人口が増えると、それだけ個人消費も大きくなります。

米国労働省統計局によると、米国の平均年収は568万円。これに100万人分の人口を掛け合わせると5兆6800億円となります。

移民の方の平均年収はもう少し少ない可能性がありますが、仮に3分の2だとしてもとんでもない規模ですよね。日本の平均年収は440万円ほどであり、さらに人口が減少していますから、その差は開き続けてしまうことが予想されます。

株主への利益還元文化

米国企業は、多くの高配当銘柄があります。これは、株主への利益を還元する文化が日本よりも根付いているからです。会社は株主のものですから、きちんと利益を還元しないと株主総会で厳しい追及にあってしまうのです。

配当金の他にも、「自社株買い」を行うという方法があります。この規模も日本企業とは桁違いです。主要企業500社の2018年10月から2019年9月までの1年間では、約84兆円規模の自社株買いを行っています。企業が大規模に株を買ってくれるのであれば、投資家も株を買いやすく株価は堅調に推移しやすいですよね。

社会・産業構造や政治的要因

米国の産業構造は成長重視であり、かつての日本のように、ころころと政権関わるようなことは無く政治体制は安定しています。

これは、様々な規制緩和や成長産業基盤の構築につながったり、海外からの投資マネーの流入を促進します。

例えば、新型コロナウイルスに関するワクチンの開発でも、ギリアド・サイエンシズというバイオ製薬企業が開発を進めたと有名になりました。日本で薬が使えるようになるのが遅いという話を聞いたことがある人も多いかと思いますが、そういった産業の成長スピード基盤が優れていることも米国企業の成長を支えています。

また、ハーバード大学やMITなどの世界最高の教育機関があり、ノーベル賞受賞者も世界最多。世界中から優秀な人材がシリコンバレーなどに集まり、それを支えるベンチャーキャピタルが成長基盤を支える投資資金を提供しています。これらの構造が変化しない限り、米国企業の成長は安泰だと言えるでしょう。

世界市場で活躍する企業が多い

米国で使用されている言語は英語のため、商圏が広いという話をしました。人口が多く、言語の壁がないと市場規模が圧倒的に大きいことが分かります。それであれば、ひとつの事業を行うにしても損益分岐点が高くても進めることができます。そこに設備投資が行われ、経済を動かすことになるのです。

その結果、グーグルやフェイスブックと呼ばれるプラットフォーマー企業が多くなり、投資マネーが流入。ますます企業は成長し、圧倒的な競争力を付けてゆくのです。世界に展開するにしても、一番商圏の大きな市場で勝負できるということは有利ですよね。

また、人口増加とともに安定して経済発展する米国を中心に活動する方が、売上を上げやすく株価が上がりやすいのは言うまでもないでしょう。

米国内での売上比率の高さ

日本企業は日本の売上比率が高いのですが、米国企業も同じように国内での売上比率が高い傾向にあります。しかし、インターネットサービスなどでは、基本的な運営費用は変わりません。そうなると、人口が大い方が売り上げが高く、利益も大きくなります。その結果、配当金が高くなったり自社株買いが行われることになるのです。

世界最大の産油国

お金持ちの国と言えば、サウジアラビアをイメージするでしょう。なぜなら、多くの原油を生産しているからです。しかし、現在の原油生産のトップはなんと米国となっているのです。

▼1日あたりの原油の生産量の多い国

順位国名生産量(バレル/日量)
1アメリカ合衆国1,531万1,000バレル
2サウジアラビア1,228万7,000バレル
3ロシア1,143万8,000バレル

これは、シェール革命により原油生産の急増の恩恵が大きくなります。日本では、ほとんど原油が取れないので、輸入に頼っています。そうすると、輸入コストに税金などが掛かってきますので、様々な不要なコストが経済成長のブレーキとなってしまうのです。

まとめ

米国株の上昇は凄まじく、ナスダック100構成銘柄のうち、38銘柄が上場してから100倍以上になっています。そして、マイクロソフトやアマゾンなどは1000倍以上になっており、さらに配当金による恩恵も受けられるのです。テスラは2019年から1年で10倍になりました。2兆円もの超大型銘柄が10倍になるのです。それが米国株では有り得るのです。

こんなに上昇しているからもうそろそろ下がるのでは?と思っている人でも、このような要因がある米国株の事情を知ると、前向きになれるのではないでしょうか。

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