米国金融商品別の投資家資金フロー[2021年12月]

米連邦準備制度(FRB)は、四半期ごとに、金融商品ごとの資金フローを発表しています。米国国債と米国株式市場を見てみたいと思います。最新の数字は12月9日に発表されました。

米国株式

米国株式への投資家別資金フロー(2021年第3四半期まで)

出所:FRBデータから筆者が作成

米国株式への投資家別資金フローに関する分析

21年上半期に米国株式を購入していたのは、圧倒的に個人でした。生損保、年金は売却していました。第3四半期になり、個人の株式購入は一段落していますが、ETFは相変わらず購入が続いています。一方、生損保、年金は売却しています。投資信託は継続して売却していますが、これは、投資信託からETFへ入れ替える動きが背景にあります。第4四半期はこれまで、長期金利が低く安定していることで、株式のバリュエーションが正当化されていますが、この先長期金利が上昇し始めると、株式のバリュエーションの見直しが出てくるのかもしれません。

今年の第1四半期は、株式の調整がありましたが、昨年上がり過ぎた株式の売却を機関投資家(州年金と投資信託)が売却していたことがこの一覧表から分かります。

22年も21年の年間のパフォーマンスに従って買われ過ぎたものは売却され、売られ過ぎたものは購入されるのかもしれません。そうなると今年一番パフォーマンスが良かったものは、エネルギーや商品市場ですから、商品関連の金融商品に売り圧力がかかる可能性があります。

米国国債

米国国債への投資家別資金フロー(2021年第3四半期まで)

出所:FRBデータから筆者が作成

米国国債への投資家別資金フローに関する分析

21年の上半期に米国債を購入していたのは、FRB、米銀、生損保、年金基金、外国人でした。個人、外国銀行は売り越しています。第3四半期に米国債を購入していたのは、FRB(資産購入プログラム)、米銀行、外国銀行、生損保、ETF、外国人でした。

一方、年金基金(機関投資家)は米国債を売却していたようです。12月のFOMCでは、テーパリングのペースを速める決定がなされました。来年はこれまで大口の購入者であったFRBの購入がなくなるわけですから、長期金利は上昇圧力が出てきます。機関投資家である年金は金利が上昇したところでは、買ってくることがあるかもしれませんが、この低い金利レベルで購入を増やしてくることは考えにくいです。米銀行はそれなりに購入を続けると思われますが、外国人(外国銀行)がどれだけ購入を続けてくれるのか?が大きなポイントになってくるでしょう。

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