トランプ大統領再選の場合、FAANGはどう動くか?

※2020年11月4日15時(日本時間)時点の米国大統領選の開票状況をもとにしています。

選挙が終わったことで、追加の景気刺激策も議会で法案化されるでしょうし、たとえ共和党案であっても大規模な経済対策は行われます。増税はしないので、国債の発行で資金を捻出するでしょうが、国債が増発されたとしても、FRBが長期国債を追加で買い入れることで、景気が元通りになるまでは、超低金利環境が継続すると思われます。低金利環境が継続することから、恩恵を受けるのは、不動産・住宅関連セクターです。郊外の一戸建て需要は引き続き住宅建設市場を下支えするでしょう。オフィスへの需要はコロナ関連で低迷するかもしれませんが、低金利の恩恵を受けて何とか踏みとどまると思われます。

大きなポイントは、大型景気刺激策が早期に実現することで、その対象となる業種は恩恵を受けるでしょう。景気対策には、ボーイングやエアラインを救済するのかどうかもポイントとなってくるでしょう。もう一つは、超低金利環境が続きそうだということです。借入金額の大きい業種は恩恵を受けるでしょう。エネルギー関連やインフラ企業、住宅関連、不動産関連も恩恵を受けるでしょう。

今年最も上昇したFAANG銘柄はどう動くのか?

現在の金融・財政政策環境の下では、春以降に上昇してきた銘柄やセクターは再度新高値、上値を目指す展開となりそうです。

そこで気になるのが、夏までのNASDAQ銘柄の上昇を牽引してきたとされるNASDAQのクジラの動向です。クジラは、6月までにFAANGを代表する米ハイテク銘柄を購入したと公表しています。その後8月には、個別銘柄のコール・オプションを購入したと言われていますが、市場の取引状況から見ると、コール・スプレッドという取引を行ったとされています。8月下旬には、一部は利喰ってさらに同様のコール・スプレッドを購入したようです。さらに、9月になってからNASDAQ100の先物で大きくショートを振っていました。10月中旬までに、その先物ショートはすべて買い戻していました。こうした過去の行動を踏まえ、これからどういう投資行動を起こすのか、担当者になったつもりで予想してみました。個人の勝手な思い付きですので、本当にそうなるかどうかは全く保証できません。

いくつかのシナリオを考えてみました。

シナリオ1:確率50%

FAANG銘柄のコール・スプレッドを購入する。たぶんアット・ザ・マネーのコール・オプションを買い、5~10%アウト・オブ・ザ・マネーのコール・オプションを売却することで、オプション購入コストを安く済ませる。

個別株だけでなく、NASDAQ指数(NASDAQ100指数)でも、コール・スプレッドを購入するのかもしれません。

→株価は、デルタ・ヘッジで上昇。

シナリオ2:確率25%

個別銘柄のターゲット・バイング(プット・オプションの売却)を行う。クジラがまだ個別銘柄を購入できるだけの資金を持っているとすれば、ターゲット・バイングを行っても不思議ではありません。プット・オプションを売却することで、オプション代金が得られます。もし、株価が下がったとしても、その行使価格で現物株を購入すればいいだけです。

→株価はデルタ・ヘッジで若干の売りが出るかもしれないが、影響は軽微。

シナリオ3:確率10%

上記、シナリオ1とシナリオ2の合わせ技。コール・スプレッドを購入しながら、ターゲット・バイングを」同時に行うことも可能です。

→株価への影響は軽微だが、コール・スプレッドのデルタ・ヘッジで株は若干上昇か?

シナリオ4:確率10%

個別銘柄をさらに購入する。NASDAQ100指数先物を購入する。

→さすがに、そこまでブルになるとは思いませんが、株価は上昇します。

シナリオ5:確率5%

保有している株式を売却し始める。もしくは、先物を売却してポートフォリオにヘッジをかける。クジラはこれまで、バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト(噂で買って、発表で売る)という戦略を取っていたようです。(例:アップル、テスラの株式分割前にロングで入り、分割後ロングを解消した。アップルの新機種発表イベント(5Gアイフォン)の前にロングでは入り、イベント後でロングの解消)本当にそうかどうかは断言できませんが、投資行動としてはよく行われる投資行動です。うわさが広がりすぎたので、株価が上がったところでは、保有している現物株を売却していく可能性もあります。

→大口の売りになるので、株価は下落します。でも、買い材料で株価が上がったところでしか売らないでしょう。買い材料が出ているのに、上値が重い場合は要注意です。

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