テレビのニュースなどで相場の解説をする際に、「昨晩の米国株式市場が上昇したため、本日の日本株も強い動きとなっており、、」という報道を聞いたことがあるでしょう。
この例の通り、米国の株式市場が上昇すれば日本の株式市場も上がりやすい傾向になります。
それでは、米国株はどの程度日本株へ影響するのでしょうか。
ふたつの株式市場の相関性に関して解説してゆきます。
アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく
タイトルの言葉にもあるように、米国の動向が世界経済を左右するのは、グローバル化の現代では当然の事実となっています。
特に米国を代表するNYダウは、日本も含め世界中の市場に影響を与える株価指数となっています。
そのNYダウはわずか30銘柄で構成されており、日経平均株価の225銘柄と比較すると、いかに銘柄数が少ないかが分かります。
つまり、世界の株価動向は、NYダウ構成銘柄の30社に委ねられていると言っても過言ではありません。もちろん、NYダウの構成銘柄は、米国を代表する世界の名だたる企業が軒を連ねています。
【NYダウ構成銘柄の一部】
ジョンソン・エンド・ジョンソン | 医薬品、医療機器の製造を行う医療・ヘルスケア企業 |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 世界約60カ国で金融事業を展開 |
コカコーラ | コカ・コーラなどの清涼飲料の製造、販売 |
ボーイング | ANAやJAL向けに飛行機の製造 |
ウォルト ディズニー | ディズニーやアナと雪の女王などの映画製作及びリゾート運営 |
果たして、わずか30の企業が世界中の株価を動かすほどの影響力があって良いのでしょうか。
株価全体に影響を与える時価総額を見てみましょう。
NY証券取引全体の時価総額は25兆ドルあり、東証証券取引所の時価総額6兆ドルの4倍を誇っています。
◆日米欧の主要取引所の株式時価総額推移(2011~2021年2月末)
そして、NYダウ構成銘柄の時価総額は9兆3800億ドル(2021年4月末時点)もあり、東証の時価総額を遥かに上回っているのです。
NYダウの時価総額上位のアップルやマイクロソフトのサービスを利用している人は非常に多く関連企業やサービスも多いことから、これらの企業が世界中に大きな影響を与えるということは納得できるでしょう。
米国株の影響をダイレクトに受ける日本株式市場
米国の証券取引所の取引終了時間は日本時間の朝6時です。つまり、米国の株式市場の影響を最初に受ける大きな株式市場は日本というわけです。
そのため、日本株は欧州よりも米国株の動向を受けやすいといえます。
そして、上昇よりも下落の方が相関性が高いと言われています。
金融相場と業績相場のサイクルを知ることで株式投資をより有利に
◆NYダウと日経平均株価の推移
これは、米国の方が経済危機の際の対応が政府と中央銀行ともに日本よりも早いことが挙げられます。
また、日経平均株価は為替(ドル円)の影響を受けやすいことも考えられます。
◆日経平均株価とドル円の推移
米国の経済・金融が日本株に与える影響とは?
日経平均構成銘柄には、輸出企業が多く、またドル円が上昇すると投資家の心理的に買いやすいという影響も考えられます。
そして、米国が不景気の際にドル売りとなりドル円が下落します。すると、日経平均株価も売られやすくなるため、下落の相関性の方が色濃く出るのではないでしょうか。
一方で、ドル安になったからといってNYダウが買われやすいということはあまりありません。
このあたりは、ドルが基軸通貨であり、為替の影響を受けづらい企業が多いということも影響しているからでしょう。
このあたりも米国が日本よりも経済的に強い理由と言えます。
1980年代後半は、日本企業が世界の上位を占めジャパン・アズ・ナンバーワンと言われてきました。
しかし今ではすっかり様変わりし、アップルやアマゾンなどの米国を拠点とするグローバル企業が世界をリードしています。
日本株にしか投資を行わない人であっても、相場のけん引役である米国株の動向を知っておかないわけにはいかないでしょう。