米国企業には、世界中からの投資資金が集まっています。そのため、企業は収益を上げ株価や配当金を出し株主へ還元することが求められています。
今回は、米国と日本の上場企業に対する違いを解説していきます。
法整備
日本で法整備が進んでいないことはないと思う人もいるかもしれませんが、コーポレートガバナンス(企業統治)の甘いために不正行為が発生したり、上場基準が緩いために、上場ゴールという言葉があたったりします。
上場に関しては、日本もそれなりに厳しいルールがあります。成長性がある企業であれば、赤字であっても時価総額10億円以上で、株主数200人以上などがあれば上場のレールに乗ることができます。
決算内容よりも、監査法人による承認が必要なため、そこのハードルが高いと言えるかもしれません。
【東証マザーズの上場審査内容】
(1)企業内容・リスク情報等の開示の適切性
(2)企業経営の健全性
(3)企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
(4)事業計画の合理性
(5)その他公益または投資者保護の観点から、東証が必要と認める事項
しかしながら、問題なのは上場した後です。上場した後は、不祥事を起こしたとしても上場廃止になることはありません。何度も、増資を行い株主を裏切ったり、架空取引や詐欺的行為などの不正行為で収益を上げたとしても、逮捕者すら出ない場合もあるほどです。
しかし、米国では成長性がない企業はOTC(店頭)取引に移されてしまいます。そのため、米国企業は上場を維持するためにコーポレートガバナンスを徹底し、利益を生み出すために、成長性の高い企業が残ることになるのです。
日本には、年に1度ほど増資を行う企業がありますが、米国であれば社長は即解任させられることでしょう。
経営者への評価の違い
米国企業は、自社株買いや配当で株主還元を行う企業が多く存在します。これは、企業の資産を効率良く運用し、株主還元に使っていると言えます。
しかし、日本ではどうでしょうか。企業同士が株式を持ち合う、持ち合いが行われてきました。カルロス・ゴーン氏が日産の社長に就任した際に、ここにメスを入れたのは有名な話です。資本業務提携を行っているわけでもなく、会社の資産を効率的に活用しているとは言い難いですよね。
米国企業では、投資家の目が厳しくROEや営業利益率など、投資かが満足する数字を達成することを意識しています。利益の出ない事業は撤退し、1株当たりの利益を如何に上げるかがミッションとなるのです。
成果が出なければ、経営者は後退させられます。企業の成長性を高めるために、他社で実績を上げたプロの経営者を引き抜いて登用するという発想があります。つまり、経営者としての素質や能力がある人物がトップに就くことになるのです。
企業は、社長が変われば大きく変わります。それを投資家は十分に知っているために、駄目なら交代という当然の発想が米国にはあるのです。
アップルに返り咲いたスティーブ・ジョブズ
トップの交代という有名な例では、アップルがあります。
創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、1985年に全ての業務から解任され、実権を持たない名目上の会長職を与えられました。その後、アップルの業績不振を受け、1997年にCEOに復帰。倒産間近だったアップルは、マイクロソフトから1億5000万ドルの資金提供を受けるなどし、アップルを再建を軌道に乗せることに成功したのです。
日本では、そもそも株主は株式を保有しているだけという意識があることから「モノ言う株主」という言葉があります。しかし、株主は会社のオーナーの一部であるため、意見を言って当たり前なのです。
こうした環境下にある米国株は強い成長基盤があることは当然といえますよね。