半導体製造装置(機器)メーカー本命銘柄は?アメリカ・日本・欧州

半導体製造装置メーカー売上高ランキングトップ15

半導体および装置市場調査会社である米VLSI Researchは、2020年の半導体製造装置メーカー売上高ランキングトップ15、ならびに2020年の半導体製造装置市場が前年比18.4%増の924億ドルに達したことを発表した。5Gおよびデータセンターチップの需要が急増したことを受け、ロジック/ファウンドリー分野で目覚ましい設備投資が行われ、特に7nmおよび5nmプロセスが戦略的投資を推進したため、前年比18%増という力強い成長になったと同社では分析している。ちなみに、各社の売上高には装置のほか、その保守サービスの売上高も含んでいる。

2020年半導体製造装置の販売及びサービス売上高

出所:VLSI Research

IntelがEUVを7nm CPUの製造で多用し、新たに建設するアリゾナ州の2つのファブにもEUV露光装置を導入することを宣言しており、1台200億円規模とされるEUV露光装置がTSMC、Samsung Electronics、SK Hynixに続き、Intelでも多数納入されるようになれば、売上高でASMLがAMATを抜き、トップに立つ可能性も出てくる。

因みに、Intelはこれまでニコン製の露光装置を使用していました。オランダのASMLを使うようになれば、今後は日本の露光装置メーカーは無くなるかもしれません。

半導体の製造工程と関連銘柄

半導体の製造工程は東京エレクトロンのホームページで分かりやすい説明があります。参考になると思います。

東京エレクトロン -半導体ができるまで-
https://www.tel.co.jp/museum/exhibition/process/

  1. 単結晶シリコンを作成し、チップ製造工程で処理しやすい形状のウェーハに加工します。
    信越化学工業(4063)、SUMCO(3436)
  2. 酸化膜と窒化膜をシリコンウェーファの上に作ります。
  3. フォトレジストを均一に塗ります。
    スクリーン(7735)
  4. IC回路を書き込んだフォトマスクを通して露光装置のUV光で焼き付けます。
    フォトマスクの検査に特化した装置メーカーではレーザーテック(6928)。露光装置はオランダのASMLが圧倒的シェアを持っています。
  5. 現像液をウェーハ上に均一にかけ光の当たったところ(もしくは逆)のフォトレジストを除去します。これでウェーハにマスクパターン(回路)が移されます。
  6. プラズマ・エッチング装置でパターンに従って膜を削り取ります。フォトレジストで保護されているところは削られずに残ります。
  7. ウェーハ上に残ったフォトレジストを除去(洗浄)する。
    洗浄装置では、スクリーン(7735)など
  8. 酸化膜をその上に作り絶縁膜を作ります。(コータ、プラズマCVD)
    コータ装置では、スクリーン(7735)など。
  9. でこぼこになった膜面を研磨して、平らにする。(ガスケミカルエッチング装置、洗浄装置)
  10. 熱酸化法でゲート絶縁膜(酸化膜)を形成し、さらに窒化処理をゲート絶縁膜表面に施す。つづいてCVD法でゲート電極層(多結晶シリコン膜)を形成する。(CVD、PVD)
    この一連の膜を作ったり、除去する装置メーカーは、アプライド・マテリアル(AMAT)、ラム・リサーチ(LRCX)、東京エレクトロン(8035)などが代表的企業です。
  11. ゲート電極層の上にパターンをさらに描いていき、ソース・ドレインを作る。
  12. ソース・ドレイン部分にイオン注入法で元素(ホウ素やヒ素など)を埋め込んでいく。酸化膜が残っている部分にはイオンが注入されない。その後、高温アニールにより不純物を均一に拡散させる。(イオン注入装置、アニール装置)
  13. 酸化膜をCVD法で堆積させ、層間膜を作り表面を研磨して平らにする。
  14. 絶縁膜上にパターン形成し、コンタクトホールを開口する。
  15. CVD法で金属を埋め込む。余分な膜は研磨して除去する。(CVD、PVD)
  16. 層間絶縁膜を堆積させ、パターン形成して配線部分を開口する。
  17. トレンチに金属膜を埋め込み、余分な膜を除去する。
  18. 層間絶縁膜堆積~金属膜埋め込み~研磨のプロセスを配線層の数だけ繰り返す。高層ビルを下から1階ずつ積み上げていくというイメージです。
  19. 出来上がったウェーハには同じLSIチップが数百個造られている。プローバという検査装置を1つ1つのチップに接触して、信号のやり取りを行い不良品の検査を行う。(プローバ、テスター)
    テスターでは、KLA(KLA)、アドバンテスト(6857)。
  20. ダイシング ウェーハをチップごとにダイヤモンドブレードで切り分けていく。
    ディスコ(6146)
  21. 1つのチップを銀ペーストなどの接着剤で支持体に固定する。
  22. エポキシ樹脂などでチップを包み込む。(モールディング装置)

装置メーカー顧客満足度ランキング

VLSI Researchは同様に半導体製造メー業者に納入装置メーカーの満足度ランキングも発表しています。このランキング上位企業は近い将来業績を伸ばしていくものと推測されます。

2019年度製造装置メーカー顧客満足度ランキング

出所:VLSI Research

半導体製造装置(機器)メーカー関連銘柄の本命

Applied Materials, Inc.(アメリカ:NASDAQ:AMAT)

グローバルに半導体、ディスプレー及び関連産業へ製造機器、サービス及びソフトウェアを提供する。半導体システム事業はエッチング、急速熱処理、堆積、化学機械平坦化、計測と検査、ウェーハパッケージングおよびイオン注入のための半導体の資本設備を含む。応用グローバルサービス事業は設備と工場のパフォーマンスと生産性を最適化する統合ソリューションを提供する。ディスプレイ・隣接市場事業はテレビ、パソコン、スマートフォン及びその他の消費者向けの液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード、アップグレードとロールツーロールウェブコーティングシステム、及びその他のディスプレイ技術を製造するための製品を含む。法人と他の事業には製品からの収入、太陽光発電セル及びモジュールを製造するために販売される製品の費用、並びに特定の営業費用が含まれる。

ASML Holding N.V.(アメリカ:NASDAQ:ASML)

チップ製造装置のメーカー。同社はリソグラフィー・システムにより構成された半導体装置システム(露光装置)の開発・生産・マーケティング・販売とサービスの提供に従事する。同社の製品はシステム及びインストール・ベースの製品とサービスを含む。主要事業はオランダ、米国とアジアに運営される。同社はアイライン等の光源、フッ化クリプトン(KrF)、製造環境用の300ミリメートル処理ウェハ用のフッ化アルゴン(ArF)光源としての水銀ランプを備えたリソグラフィー・システムを有するTWINSCANシステムを提供する。TWINSCANシステムはTWINSCAN浸漬システム等の液浸リソグラフィー・システムを含む。同社はまた極端紫外線(EUV)光源技術を備えたNXEシステムを提供する。同社はウエハー計測システムであるYieldStarを提供する。

Teradyne, Inc.(アメリカ:NASDAQ:TER)

消費者電子機器、ワイヤレス、自動車、工業、コンピューティング、通信及び航空宇宙・防衛業界における半導体、ワイヤレス製品、ハードディスクドライブ及び回路基板のテストに使う自動試験システム及びソリューションを設計・開発・製造・販売する。同社の自動試験機器製品及びサービスには半導体テスト(Semiconductor Test)システム、ワイヤレス・テスト(Wireless Test)システム、軍事用・航空宇宙用(Mil/Aero)試験計装・システム、ストレージ・テスト(Storage Test)システム、回路基盤試験検査((Commercial Board Test)システム(Systems Test Group)がある。

アドバンテスト(日本:東証:6857)

半導体・部品テストシステムの製品群及びメカトロニクス関連製品群の製造・販売を主な事業内容とし、その他にこれらに関連する研究開発及び保守・サービス等の事業を行う。3つの事業セグメントで構成される。半導体・部品テストシステム事業部門は、半導体・電子部品産業において、システムオンチップ(SoC)半導体デバイス向けのSoCテスト・システム及びメモリ半導体デバイス向けのメモリ・テスト・システム等のテストシステム製品を提供する。メカトロニクス関連事業部門は、半導体デバイスをハンドリングするメカトロニクス応用製品のテスト・ハンドラ、被測定物とのインタフェースであるデバイス・インタフェース及びナノテクノロジー関連の製品を提供する。

KLA Corporation(アメリカ:NASDAQ:KLAC)

半導体の計測・検査分野におけるKLAのシェアは、20年以上にわたって50%を超えています。1997年にKLAとTencorが合併してKLA-Tencorとなり、その後2019年にKLAに変更されて以来、計測・検査分野を独占している。2019年のOrbotechの買収に加えて、Capres A/S、Qoniac、Filetrics、MicroSenseなど、計測・検査分野で4件の買収を行い、有機的成長以上のシェア拡大を目指している。検査・計測製品及び関連製品は、チップ製造、ウェハ製造、レチクル製造、パッケージ製造、化合物半導体、パワーデバイス、LED及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)製造、一般目的・ラボアプリケーション、並びに「K-T Pro」及び「K-T」サービス等のグループに分類される。改装されたKLAツールを製品のサービスとサポートとして提供する。

東京エレクトロングループ(日本:東証:8035)

半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の産業用エレクトロニクス製品の製造・販売を主な事業の内容とする。半導体製造装置セグメントはウェーハプローバ及びその他半導体製造装置から構成され、これらの開発・製造・販売・保守サービス等を行う。フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置セグメントの製品はフラットパネルディスプレイ製造用のコータ・デベロッパ、エッチング・アッシング装置から構成されて、これらの開発・製造・販売・保守サービス等を行う。同社はまた、物流、施設管理及び保険業務等を行う。

Lam Research Corporation(アメリカ:NASDAQ:LRCX)

半導体産業向けのウエハー製造装置・サービスの提供に従事する会社。集積回路の製造用半導体処理装置の設計・製造・販売・改造及びサービスの提供を行う。同社はウェーハ処理半導体製造装置の製造・サービス提供を通じて運営する。同社の顧客基盤は、半導体メモリ、ファウンドリ、並びにダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ネガティブAND(NAND)メモリ及びロジックデバイスなどの製品を製造する統合デバイスメーカー(IDM)を含む。同社は薄膜堆積、プラズマエッチング、及びウェハ洗浄を含む半導体製造プロセスフローのいくつかの分野で使用される製品のポートフォリオを提供する。

スクリーン・ホールディング(日本:東証:7735)

半導体製造装置事業(SE)は、半導体製造装置の開発、製造、販売及び保守サービスを行う。グラフィックアーツ機器事業(GA)は、印刷関連機器の開発、製造、販売及び保守サービスを行う。ディスプレー製造装置及び成膜装置事業(FT)は、ディスプレー製造装置及び成膜装置の開発、製造、販売及び保守サービスを行う。プリント基板関連機器事業(PE)は、プリント基板関連機器の開発、製造、販売及び保守サービスを行う。また、ライフサイエンス分野の機器及び車載用部品検査装置の開発・製造・販売、ソフトウェアの開発、印刷物の企画・制作等の事業も行う。

信越化学工業(日本:東証:4063)

塩ビ・化成品事業、シリコーン事業、機能性化学品事業、半導体シリコン事業、電子・機能材料事業及び加工・商事・技術サービス事業を営む。塩ビ・化成品事業の主要製品は、塩化ビニル樹脂、か性ソーダ、メタノール、クロロメタンである。シリコーン事業の主要製品はシリコーンである。機能性化学品事業の主要製品は、セルロース誘導体、金属珪素、ポバール、合成性フェロモンである。半導体シリコン事業の主要製品は半導体シリコン、シリコンウェーハで世界一のシェア(約25%以上)を占める。電子・機能材料事業の主要製品は希土類磁石(電子産業用・一般用)、半導体用封止材、発光ダイオード(LED)用パッケージ材料、フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英製品、液状フッ素エラストマー、ペリクルである。

SUMCO(日本:東証:3436)

主に高純度シリコンの製造販売を行う。半導体メーカー向けシリコンウェーハの製造及び販売を主体とした高純度シリコン事業を運営する。製造及び販売を行う半導体用シリコンウェーハは、半導体メーカーがメモリーや超小型演算処理装置等の各種半導体を製造する上で基板材料として用いられる。国内外の製造拠点において、各口径のポリッシュトウェーハや、その表面にさらに特殊加工を施したエピタキシャルウェーハ等の製造を行う。

ディスコ(日本:東証:6146)

半導体製造装置(精密加工装置)、精密加工ツール等の製造・販売を主に、これらに附帯する保守・サービス等を行う。ダイシングソー、レーザソー、グラインダ、ポリッシャ及びサーフェースプレーナ等の精密加工装置、並びにダイシングブレード、グラインディングホイール、ドライポリッシングホイール及び研削切断砥石等の精密加工ツールが含まれる。

日本国内ネット系証券会社での取り扱い状況

  SBI証券マネックス証券楽天証券IG証券
Applied Materials, Inc.NASDAQ:AMAT有り有り有りCFD
ASML Holding N.V.NASDAQ:ASML有り有り有りCFD
Teradyne, Inc.NASDAQ:TER有り有り有りCFD(TER.O)
アドバンテスト東証:6857有り有り有りなし
KLA CorporationNASDAQ:KLAC有り有り有りCFD(KLAC.O)
東京エレクトロングループ東証:8035有り有り有りCFD
Lam Research CorporationNASDAQ:LRCX有り有り有りCFD(LRCX.O)
スクリーン・ホールディング東証:7735有り有り有りCFD
信越化学工業東証:4063有り有り有りCFD
SUMCO東証:3436有り有り有りCFD
ディスコ東証:6146有り有り有りCFD
http://3.112.254.179/financial-products/semiconductor-area02/
http://3.112.254.179/analyse/tsmc-semiconductor/
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