大豆・トウモロコシ・小麦の穀物相場の推移
大豆価格の推移(過去10年間)
トウモロコシ価格の推移(過去10年間)
小麦価格の推移(過去10年間)
ウクライナでの農作物の作付け地図を見ると、現在最も戦闘が激しい地区は穀物(小麦)の作付け地区と一致します。ウクライナ銭湯が長引けば長引くほど、小麦相場は上昇します。
小麦など穀物相場の見通し
2021年以降、エネルギー価格(天然ガスを含む)の上昇により、肥料の生産コストが上昇し、強気のケースに新たな層が生まれています。これは2021年後半、欧州が天然ガス価格の高騰に対処し始めたことで手に負えなくなりました。それは肥料会社の生産停止を引き起こし、2022年の作付けシーズンが悪いものになる危険性をはらんでいます。その後、ウクライナ戦争で食糧危機の危険がおおきくなっています。
下の表が示すように、ロシアとウクライナは2018年に世界の小麦輸出のおよそ3分の1を輸出しています。その後もほぼ横ばいの数字です。この場合、ロシアは輸出を武器として使い始めています。自国の小麦輸出を減らし、ウクライナからの小麦(および関連)輸出を阻止して不可能にし、ウクライナの農業輸出の最重要港であるオデッサなどの都市に目をつけているようです。
世界の小麦輸出量
結果、以下に挙げるような主要な輸入国で緊張が走りはじめています。2011年には、別の理由で食料価格の高騰も起こりました。当時は大規模な不安を引き起こし、シリアなどでの戦争につながりました。
ロシアの食料輸出量
農産物(特に穀物)の状況は切迫しています。カナダの肥料メーカー、ニュートリエン(NTR)が、ポタッシュを100万トン増産すると発表したばかりです。国を問わず、高い食料インフレに遭遇しています。こうした状況は、相対的に言えば、米国はその恩恵を受けることになります。米国は割安なエネルギー(天然ガス)を入手でき、生産者は肥料の増産が可能で、すでに世界を養っている農家も、さらに終了を増やさないといけなくなります。
また、4月にバイデン大統領は、ガソリン価格引き下げの一助として、夏季(6月1日~9月15日)にE15ガスのポンプ販売を許可すると発表しました。E10は通年で販売されていますが、E15は気温が高いと蒸気圧が高くなるため、夏場は一部の市場で制限されていました。以前、トランプ政権はE15を通年で恒久的に許可しようとしましたが、この動きは法廷で失敗に終わりました。米国ではおよそ2,300のステーションでE15ポンプが利用可能になります。エタノールの原料はトウモロコシです。トウモロコシ需要とその肥料、遺伝子組み換え種子の需要が高まると予想されます。
中国世界最大の食料輸入国です。上海などでのロックダウンによる需要の減退は気がかりです。2021年末時点で、中国は現在、トウモロコシと米で世界の穀物在庫の60%以上を所有しています。小麦は60%に近い水準です。穀物市場においては、中国の動向が大きなカギとなります。
中国の作物貯蔵量
注目したい農業肥料関連の株銘柄
肥料であるカリはロシア、ベラルーシで世界の37%を生産しています。カリは鉱物資源であり、生産には制約があり簡単には増産できません。
国別のカリ(塩化カリウム)の世界生産、2020年(予想)
小麦は、世界の窒素肥料使用量の18.2%を占めています。トウモロコシは、17.8%を占めています。
作物ごとの窒素肥料需要量
農業(肥料)株の年初来パフォーマンス
IPI | イントレピッド・ポタッシュ | 178% |
MOS | モザイク | 99% |
LXU | LSBインダストリー | 138% |
CF | CFインダストリー | 53% |
NTR | ニュートリエン | 52% |
SQM | ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ | 61% |
CTVA | コルテバ | 22% |
上記の農業(肥料)株の価格推移
イントレピッド・ポタッシュ(IPI)
PER:5.12 時価総額:13億ドル 配当利回り:NA(無し)
米国の農業用肥料メーカー、シェール石油・ガス井の掘削・破砕液、また飼料市場では栄養補助食品として使用されるカリ肥料や塩化カリウムも製造販売しています。
イントレピッド・ポタッシュ(IPI)の分析
2016-17年に破産の危機に陥っていたが、2021年不死鳥のようによみがえりました。2020年のフリーキャッシュフローは1400万ドルでしたが、2021年には6000万ドルに急拡大しました。2022年は1億ドル以上のフリーキャッシュフローを上げる可能性があります。これは、株価はフリーキャッシュフローの10倍に相当します。また、経営陣は3,500万ドルの自社株買いを発表しています。2020年度のIPIポタッシュの1トンあたりの販売価格は250ドルでした。2022年年初の時点で、キャンポテックスはインドと中国に1トン当たり590ドルでポタッシュを販売することに合意しています。ラングベナイトや石油・ガス価格も同様で、ロシアやベラルーシが制裁下にあるため、これらの価格帯はしばらく続くと思われます。また、稼働停止していた鉱山(West Mining)を再稼働させられれば、生産用は倍近く増えそうです。
モザイク(MOS)
PER:15.60 時価総額:241.7億ドル 配当利回り:0.67%
モザイク社は、国際的にリン酸およびカリの濃縮作物用栄養剤を生産・販売しています。鉱山を所有・運営し、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、アンモニアリン酸製品などのリン酸塩作物用栄養剤や、BiofosおよびNexfosのブランド名でリン酸塩ベースの飼料原料を生産し、K-Magブランドでカリ二硫酸マグネシウム製品も生産しています。また、作物用混合栄養剤や飼料原料、工業用、除氷剤、軟水再生剤に使用されるカリを製造・販売しています。また、窒素ベースの作物栄養剤、飼料原料、その他の付帯サービスを提供し、リン酸塩、カリ、窒素製品の購入・販売も行っています。同社は製品を卸売業者、小売チェーン、農家、協同組合、独立系小売業者、全国規模の顧客向けに販売しています。フロリダ州タンパに本社を置いています。
モザイク(MOS)の分析
世界第2位の肥料メーカーで、大株主は穀物メジャーのカーギル社です。農作物需要は新興国を中心にさらに伸びていくと予想されます。。バイオ燃料用途にも期待。歴史的に割安な倍率で取引されており、バリュー投資としても魅力的です。農作物価格は上昇すると予想されることから肥料は恩恵を受けると予想されます。
LSBインダストリー(LXU)
PER:NA (eps:$-6.23) 時価総額:20億ドル 配当利回り:NA (無し)
LSBインダストリーは、化学製品の製造、マーケティング、販売を行っています。同社は、アンモニア、肥料用硝酸アンモニウム(HDAN)、尿素硝酸アンモニウムなどの窒素系肥料を、トウモロコシなどの肥料や肥料ブレンド、NPK肥料ブレンドの用途で提供しています。また、半導体・ポリウレタン中間体、パルプ・製紙、ミョウバン、水処理、金属、バナジウム処理、発電所排ガス処理、水処理、冷媒、金属処理、排気ガス添加剤、園芸・温室用途、冷凍など様々な用途向けに高純度アンモニア、高純度硝酸アンモニウム、硫酸、混酸、二酸化炭素、ディーゼル排出液、濃硝、混硝、常硝も提供している。さらに、工業グレードの硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、HDANソリューションとして、硝酸アンモニウム燃料油、鉱山、地表採掘、採石、建設用途の特殊エマルションも提供しています。米国、メキシコ、カナダで代理店を通じて、また直接最終消費者に製品を販売しています。同社は農業、工業、鉱業市場に製品を供給しています。オクラホマ州オクラホマシティに本社を置いています。
LSBインダストリー(LXU)の分析
LSBインダストリーは、昨年エルドリッチと株式交換を行い、エルドリッチ社が実質の支配者となっています。この取引により、財務内容は改善し(信用格上げ期待もあり)、グリーンアンモニアとクリーンエネルギーにおける有機的成長イニシアチブを追求するとともに、主要な利益率向上プロジェクトの実行を加速させることができます。窒素化学品の価格が上昇し、農業および産業界の需要が堅調に推移している根茎を受けると予想されます。
世界的に温室効果ガスの削減に大きな関心が寄せられており、CO2排出量の削減には多くのメリットがあることから、水素アンモニアが注目されています。そのため、低炭素・無炭素アンモニアとその誘導品の製造は、世界的な二酸化炭素排出量の削減に役立つ可能性があり、LXUにとって魅力的な成長機会であると予想されます。アンモニアの製造、取り扱い、貯蔵、物流に関する同社の既存の知識は、この分野で重要な役割を果たし、より持続可能で環境にやさしい世界の実現に貢献する上で、非常に有利な立場にあります。
インダストリー(CF)
PER:22.83 時価総額:201億ドル 配当利回り:1.24%
CFインダストリーは、世界最大のアンモニア生産企業であり、窒素および窒素系肥料の世界的な供給と生産に大きな影響力をもっています。エネルギー、肥料、排出削減、その他の産業活動向けの水素・窒素製品を世界各地で製造・販売しています。主な製品は、無水アンモニア、粒状尿素、尿素硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウム製品などです。また、ディーゼル排ガス液、尿素液、硝酸、アクアアンモニア製品、窒素、リン、カリウムを含む複合肥料製品も提供しています。主な顧客は、協同組合、独立系肥料販売業者、貿易業者、卸売業者、工業用ユーザーなどサービスを提供しています。イリノイ州ディアフィールドに本社を置いています。
インダストリー(CF)の分析
北米農業のサプライチェーンだけでなく、世界のサプライチェーンにおいても重要な地位にいます。アンモニアの原料である米国の天然ガス価格は世界的に価格競争力が高く肥料の価格競争力にとっても同社の強みとなっています。肥料価格は急上昇しており、企業業績は急上昇しています。好調な販売量と販売価格の上振れにより、利益率は大幅に向上しています。2021年度の粗利率は36.5%(2020年の19.4%から上昇)は急上昇しています。工場の稼働は96%以上の稼働率でフル生産が続いています。
天然ガス価格差の推移
CF Industriesの工場の稼働率
ニュートリエン(NTR)
PER:18.80 時価総額:573.9億ドル 配当利回り:1.85%
ニュートリエンはカリ、窒素、リン酸塩、硫酸塩製品、および金融ソリューションを提供しています。また、米国、カナダ、南米、オーストラリアの約2,000の小売店を通じて、農薬、農薬保護製品、種子、商品などを販売しています。さらに、北米、南米、オーストラリアのファームセンターのネットワークを通じて、生産者に直接サービスを提供しています。ニュートリエンはPotashCorpとAgriumという企業の合併で、2018年に合併しました。両社はもともとカナダに本社があり、新本社はPotashCorpの旧本社であるサスカトゥーンに置かれていました。合併により、ニュートリエンは全世界で最大のカリ肥料生産者となり、現在も世界第3位の窒素肥料生産者です。
ニュートリエン(NTR)の分析
ニュートリエンとモザイク(MOS)は北米のカリ市場の93%を支配しています。窒素肥料はニュートリエンとCF Industries(CF)が市場を独占しています。つまり、ニュートリエンを買えば、2種類の重要な肥料を手に入れることができます。ウクライナ戦争によってサプライが限られる(ロシア、ベラルーシがカリの大手生産国)ことから、恩恵を受けると予想されます。穀物価格上昇によって、農作物生産者は肥料価格高騰でも需要は減少しないと予想されます。
現状の配当利回りは、高いとは言い切れませが、これは昨年来株価が100%上昇したためで、現在のフリーキャッシュフローから計算すると、6.2%まで分配が可能です。今年は収益の伸びによって、配当増もしくは株式買い戻しが期待されます。
米国肥料生産者価格指数(過去17年間)
尿素価格の推移(15年間)
ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)
PER:37.54 時価総額:218億ドル 配当利回り:0.54%
SQMは、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムナトリウム、特殊ブレンド、その他の特殊肥料を含む特殊植物栄養剤を提供しています。また、X線造影剤、液晶・LED用偏光フィルム、防腐剤、殺生物剤・殺菌剤、医薬品合成、エレクトロニクス、顔料、染料成分からなる医療、医薬、農業、工業用途のヨウ素とその誘導体を提供しています。また、炭酸リチウムは、電池用電気化学材料、窯業・ホーロー用フリット、耐熱ガラス、空調用薬品、押出用連続鋳造粉、アルミニウム一次精錬工程、医薬品、リチウム誘導体、火薬製造用原料など様々な用途で提供されています。さらに、潤滑油業界向け水酸化リチウムや、電池の正極材も提供しています。
さらに、トウモロコシ、米、砂糖、大豆、小麦など様々な作物用の塩化カリウムや硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、ソーラーソルトなどの工業薬品、その他の肥料や混合物も提供しています。チリ、ラテンアメリカ・カリブ海諸国、ヨーロッパ、北米、アジア、およびオーストラリアに事業を展開しています。SQMは、チリのサンチャゴに本社を置いています。
ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)の分析
SQMはリチウムの世界有数の生産者として電気自動車(EV)需要の恩恵を受けるということで注目され続けています。リチウム生産はチリだけでなく、オーストラリアで事業開発を行っています。リチウム関連で最も注目されている銘柄ですが、世界的な肥料会社でもあります。事業が分散されていることで注目すべき銘柄の一つです。
2025年までにリチウム生産能力を3.7倍(年率30%)に増強する計画です。SQM社は、独自の技術とチリの恵まれた採掘条件により、世界で最も低コストのリチウム生産会社の一つです。2016年から20年の平均キャッシュコストは4,200ドル/トンで、限界生産者のコストである11,000ドル/トンを約60%下回っています。2020年、同社のリチウム部門は、平均販売価格が5,935ドル/tにもかかわらず、37%のEBITDAマージンを実現しています。2016年~2018年のリチウム強気相場では、SQMのリチウム部門のEBITDAマージンは76%以上でした。
コルテバ(CTVA)
PER:24.42 時価総額:419.2億ドル 配当利回り:0.97%
ダウ・デュポンからスピンアウトした世界各地(北南米、アジアに強い)で農薬・種苗事業を展開しているバイオテクノロジー企業です。農場に最適な収量をもたらす高度な生殖質および形質を開発・供給。天候、病気、昆虫、雑草を駆除するための除草剤に対する抵抗力を強化する形質技術や、食品・栄養の特性を提供しています。また、農家の意思決定を支援するデジタルソリューションを提供し、製品選択の最適化、収穫量と収益性の最大化を目指しています。除草剤、殺虫剤、窒素安定剤、牧草地・放牧地管理用除草剤なども提供している。
コルテバ(CTVA)の分析
かつてモンサントという巨大種苗会社がありましたが、独のBASFに買収されてしまいました。コルテバは米の大手種苗企業になります。農薬の世界市場は、2019年から2024年にかけてCAGR4.3%で成長すると予想されている。2023年から2029年まで4.3%に近い売上成長率を見込まれています(出所:Bccresearch)。ラニーニャ現象が発生している今は、農作物の不作になりやすい年です。バイデン大統領はガソリン価格を抑えようと夏場のエタノール使用を認めようとしています。エタノールの主原料であるトウモロコシや砂糖は価格が高くないやすい地合いです。エネルギー原料であれば、遺伝子組み換え作物でも構いません。遺伝子組み換え種子の需要は増加すると予想されます。
注目したい農業穀物商社関連の株銘柄
穀物商社株の年初来パフォーマンス
ANDE | アンダーソンズ | 46% |
ADM | アーチャーダニエルズ・ミッドランド | 43% |
BG | ブンゲ | 36% |
アンダーソンズ(ANDE)
PER:17.12 時価総額:17.9億ドル 配当利回り:1.37%
アンダーソンズ(ANDE)は、米国の農業サプライチェーンにルーツを持つ多角的な企業です。サプライチェーンの中で垂直・水平方向に展開しており、原材料を消費者に届けるための最も重要な部分の一つとなっています。国際的にトレード、エタノール、植物栄養素、鉄道の各分野で事業を展開しています。同社のトレード部門は、穀物エレベーターの運営、穀物の保管、穀物マーケティング、リスク管理、トウモロコシのオリジネーションサービスを顧客や提携エタノール施設に提供しています。
エタノール部門では、エタノールの購入・販売に加え、投資・運営しているエタノールプラントに対して、施設運営、リスク管理、エタノール・副産物の販売サービスを提供しています。植物栄養剤部門では、農業用および関連植物栄養剤、石灰・石膏のペレット製品、作物栄養剤、作物保護剤、種子製品の製造・流通・小売を行っているほか、商業農家や家族経営の農家に対して施肥や農学的サービスを提供しています。また、養分生産者やその他の流通業者に対して、倉庫保管、包装、製造サービスを提供しています。
さらに、石炭火力発電所で使用される大気汚染防止システム用の窒素試薬や、水処理製品、粉塵除去製品など、さまざまな工業製品を製造・販売しています。また、実験動物の敷料やプライベートブランドの猫砂、吸収剤、ブラストクリーナー、キャリアー、ポリッシャーなどのコーンコブ製品、ゴルフ場や芝生の手入れ市場向けのプロ用芝生製品、肥料、雑草・害虫駆除製品、ペレット状の石灰、石膏、付加価値の高い土壌改良剤、特殊農業用液体、シードスターター、亜鉛、工業用液体などを生産しています。鉄道事業では、様々な種類の鉄道車両、機関車、バージの購入、リース、管理、販売、修理、民間の鉄道車両所有者への車両管理サービス、金属加工サービスを提供しています。
アンダーソンズ(ANDE)の分析
エタノール生産と高いマージンにより、エネルギー株のような値動きをしています。自動車需要の増加と副産物の需要の高さから、同様の成長を見込んでいます。ANDEは幅広く農業に関連する事業を営んでおり、穀物価格の上昇により恩恵を受けています。
アーチャーダニエルズ・ミッドランド(ADM)
PER:19.24 時価総額:518.5億ドル 配当利回り:1.74%
ADMは、農産物業界では世界最大の企業です。農産物の原料の調達、商品化、輸送、保管、および油糧種子(大豆、綿実、ひまわりの種、キャノーラ、菜種など)の破砕とさらなる加工を行っています。用途は、食品、飼料、エネルギー、工業用原料
米国最大のエタノール工場を所有、バイオディーゼルなどです。
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の分析
配当は伸び続けている優良配当株の一つです。穀物商社は、一般消費者向けのビジネスと違い、価格店をしやすいので、穀物価格上昇の恩恵を受けやすいです。2021年は2020年比で約32%増収、2019年比で約32%増収となりました。同時に、純利益はそれぞれ53%、96%増と爆発的に伸びました。さらに、経営陣は増え続ける配当金で株主に報いてきました。2021年中に1株当たり1.48ドルを受け取り、2019年の1.40ドルから増加しました。収益が非常に魅力的であることから。若干割高との評価も市場にはあります。
ブンゲ(BG)
PER:8.62 時価総額:168.3億ドル 配当利回り:1.78%
■■チャート準備中■■
ブンゲは世界のフードサプライチェーンの主要プレーヤーです。農業関連事業は、北米、南米、欧州、アジア・パシフィックに所在しています。大豆、菜種、キャノーラ、ヒマワリなどの油糧種子を購入し、粉砕・精製して植物由来の油やタンパク質に加工(食用油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズ、特殊原料等の植物油脂など)しています。トウモロコシや小麦を購入し、パンなどの最終製品に使用するための製粉事業(小麦粉、ベーカリーミックス、コーン系製品など)も行っています。さらに、世界中の顧客に出荷する目的のみで作物を購入する勝者としての機能も持っています。ブラジルで砂糖とエタノールの生産も行っています。砂糖はエタノールの原料でもあります。肥料部門は、南米における農業用肥料の生産、ブレンド、販売に従事しており、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグ アイで事業を行い、アルゼンチン及びブラジルに港湾施設を有しています。
ブンゲ(BG)の分析
セクターを支配する4つの世界的な企業は、他のアーチャー-ダニエルズ-ミッドランド、カーギル、およびドレフュスです。BGの事業は米州に大きく傾いているので、BGは不足と価格高騰の恩恵を受けると予想されています。大豆とトウモロコシは、食肉生産工程やエネルギー市場(トウモロコシ→エタノール)において非常に重要な作物です。BGの純負債は40億ドル、レバレッジ比率はわずか1.6、現在の配当利回りは1.8%です。
ブンゲはバランスシートの健全性と配当の伸びのバランスが取れているようで、長期的に平均を上回るEBITDA業績と強力なフリーキャッシュフローを提供する態勢が整っています。このことは、今後数年間、非常に健全なバランスシートと、大幅な増配を何度も実現することを意味します。増配を約束することはできませんが、株主にとっては良いことだと思われます。また、農業が引き続き敬遠される産業であり、なおかつ魅力的なバリュエーションで取引されていることも助けになっています。
世界的な食料価格の高騰と不足により、(米国からの)輸出需要が急速に高まるというシナリオでみると興味深い銘柄です。
因みに、2018年にはるかに大きな同業他社アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)から買収提案を受けたことがあります。
肥料関連株~カリ肥料(ポタッシュ)の人気銘柄
人口増加による食糧不足を背景にカリ肥料(ポタッシュ)の需要は今後も堅調に推移すると予想される。ここではカリ肥料(ポタッシュ)の生産量上位の銘柄と、新規プロジェクトの開発中の銘柄を紹介します。
農業(穀物)関連株がおすすめの理由
世界人口の増加は、農業の効率化と結びついています。農業革命は、人口増加を可能にしました(そして産業革命へとつながりました)。世界の人口が増えれば増えるほど、農業生産の改善が必要になります。このことが、農業関連株の長期的な需要要因となっています。
農業関連銘柄への投資の有用性について考察するとともに、おすすめ農業(穀物)関連株銘柄を分析してみます。