米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明と本音を読み解く【2020年11月】

2020年11月5日の米連邦公開市場委員会(FOMC)からの声明とニュース記事に、FRBが本音として思っていることを、勝手ながら、想像して書きました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の翻訳【2020年11月】

[ ]に赤字で勝手ながら、FRBの本音を加えてみました

米連邦準備理事会(FRB)は、この厳しい局面で米経済を支援するためにあらゆる手段を行使し、雇用最大化と物価安定という目標を促進することに全力で取り組む。[FF金利もゼロまで下げたし、国債、モーゲージ債、社債まで買い始めた。何かあれば、対処する。]

新型コロナウイルスのパンデミックは、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらしている。[本当は、去年のレポ・ショック以降、市場を守るため短期国債を買ってきてたけど、年末も超えたし、そろそろ短期国債の購入も減らしてもいいだろうと思ってたところで、いい感じに株も下がり始めて、クレジット市場もいい感じにガス抜きになると思ってた時期(ちょうど2月)もあった。そこに新型コロナの世界的流行だ。中国だけかと思ったら、ヨーロッパやアメリカでも感染が広がり始めた。ロックダウンで想像以上にやられてしまった。利下げしても調整は全く止まらない。困った。再度の追加利下げも効かなかった。できることは何でもしないといけないな。国債だけでなく、社債まで購入枠を広げよう。海外、特に日本の銀行がドルの調達に困っているらしい。ファンディングを付けてやらないと彼らが保有している金融資産を売ってくるかもしれない。海外の中銀を通じてドルを融通しよう。これが4月までの本音]経済活動と雇用は回復を続けている(have continued to recover)が、年初の水準を大きく下回ったままだ。

[利下げと量的緩和で何とかリスク資産の下げは止まったし、だいぶ元に戻してきた。でも、雇用が伸びないとFRBの使命が果たせない。] 需要低迷とこれまでの原油価格の下落は、消費者物価の上昇を抑えている。[2月の調整で厳しくなってきたところで、サウジが減産合意に反対しやがった。なんでこのタイミング反対するんだ。まだ、シェールガス・オイル増産で原油価格が下がったのを根に持ってるのか?世界的な景気減速で原油も下がったままだ。でもアメリカにとってもシェール・オイルや石油業界は大切だ。これ以上つぶれるところが出てきたら大変なことになるな。FRBは直接助けられないから、この業界や航空関連は財政支出してくれないと動けない。]経済および米国の家計や企業への信用の流れを支援するための政策措置を部分的に反映し、全体的な金融状況は引き続き緩和的だ(remain accommodative)。[長短金利が下がって、この超低金利環境は、不動産・住宅関連など一部の業界には大きな恩恵が期待できる。]

経済の道筋は、ウイルスの行方に著しく左右されるだろう。現在進行中の公衆衛生の危機は引き続き、短期的に経済活動、雇用、インフレの重しとなり、中期的な経済見通しに著しいリスクをもたらすだろう。[またロックダウンが始まったら大変なことになる。]

委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。この長期的な目標を下回るインフレ率が続いているため、委員会は当面、2%をやや上回る程度のインフレ率の達成を目指す。[しばらくはゼロ金利政策と量的緩和は続けるよ。]これによりインフレ率は時間とともに均で2%になり、長期的なインフレ期待は2%にしっかりととどまる。これらの結果が達成されまで、委員会は緩和的な金融政策の姿勢を維持すると予想する。委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0-0.25%に維持することを決定し、労働市場の状況が委員会の最大雇用の評価に一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面の間2%をやや超えるような軌道に乗るまで、この目標誘導レンジを維持することが適切だと予想する。さらに、円滑な市場機能を維持し、緩和的な金融状況の促進を支援するために、FRBは今後数カ月にわたって、米国債およびエージェンシーローン担保証券の保有を少なくとも現在のペースで増やし、それによって家計や企業への信用の流れを支援する。[量的緩和は続ける。市場に悪影響が出てきたら対処する。]

金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する。もし委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する用意がある。[もし、経済対策で財政支出が増えて費用を賄うために、国債の増発になり、長期金利が上昇したら、いくらでもFRB が買うので心配するな] 委員会の評価は、公衆衛生に関連する情報、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する。[いろんな指標は見ているよ。細かい業界のところまで見ている。心配するな]

政策決定の投票で賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、ミシェル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、リチャード・クラリダ、メアリー・デイリー、パトリック・ハーカー、ロバート・カプラン、ロレッタ・メスター、ランダル・クオールズの各委員。デイリー委員は今回の会合で代替メンバーとして投票した。

出所:ロイター2020年11月6日

FOMC後のパウエル議長のコメントで重要な点

<資産買い入れは継続>

「少なくとも」月額1200億ドルの国債などの買い入れを当面は継続すると表明。経済の進展具合を見極めながら、必要に応じて他の手段やプログラムも利用していく方針を示した。

資産買い取りについては「相当大きなプログラムだが、うまく機能している」と評価。会合では追加緩和が必要な場合に備え、債券買い取りの調整方法を巡って議論したが、現時点では追加緩和は不要と考えられると述べた。同時に、資産買い取りは今後も継続すると念を押した。

感染拡大を「特に懸念」

パウエル議長は、米経済が財政支援策と経済活動の再開で上向いていたものの、現在は回復ペースが鈍化していると指摘。「家計消費の全般的な回復は、財政刺激策と失業手当の拡充が一部押し上げ要因となっていた」と述べた。

その上で、国内外で新型ウイルス感染がこのところ拡大していることを「特に懸念」しているとし、ソーシャルディスタンスとマスクがウイルス抑制と景気支援に必要だと指摘。「人々が安心してさまざまな活動に再び取り組めるようになるまで、完全な経済回復は見込めない」と強調したほか、住宅市場がパンデミック開始以降で完全に回復した一方、サービス向け支出は低水準にとどまっているとの認識を示した。[FRBは資産買い入れの準備はできている。景気を上向かせるためには、財政出動が必要だ。国債であれば、FRBがいくらでも買い入れる。]

会見でパウエル議長は「多くの議員は財政による追加措置が必要だと考えている」と期待をにじませた。[財政出動してくれないと、FRBでは手段が限られている。国債を増発して金利が上昇するようならいくらでもFRBが買い入れる。だから早く景気対策をまとめて発表してくれ。]

政策担当者見通しの公表方法変更

FRBは金利や経済情勢などに関する政策担当者の見通しについて、公表方法の変更を発表。12月のFOMCから、見通しの分布を含めた詳細な情報を政策発表と同時に公表する。 現在はこうした資料が、FOMC議事要旨とともに3週間後に公表されている。[市場との対話は深化させないとうまく市場が機能しないので、情報公開は進めていく。公表を進めているスタンスを取らないとうるさい奴もいるからな。] 政策担当者の不確実性とリスクに関する見方が時間とともにどのように変化したかを示す2種類の図表も公表する。[これで、真意をわかってほしい。]パウエル議長は、こうした変更により「ベースライン見通しを巡るリスクや不確実性に関し、時宜を得た見方が提供できる」と述べた。

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