【アノマリー検証】米国株の8月末買い12月末売りは大きな利益を得られるのか

米国株投資を始めたいけれど、NYダウが3万ドルに到達し、ナスダックも史上最高値更新。株はいつ買ったら良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか?

そんな人は米国株特有のアノマリーに注目してみてください。アノマリーとは、明確な根拠があるわけではないけれど、季節柄や周期的になんだか存在している規則性のことです。

【代表的な米国株のアノマリー】

  • 1月効果
  • 新年度相場
  • サマーラリー
  • Sell in May
  • ハロウィン効果

米国株は、長期的に上昇し続けていますが、アノマリーを利用して平均よりも高いパフォーマンスを目指すにはどうしたら良いのでしょうか?

今回は、米国株のアノマリーの中でも有名な「8月末買い12月末売り」が本当なのか、売買月ごとのパフォーマンスから、ランキング形式で検証していきます。

<パフォーマンス検証方法>
1985年から35年分のナスダック、NYダウ、S&P500の月ごとのパフォーマンスを出して、保有期間が3ヶ月(1クォータ)と9ヶ月(3クォーター)の時のパフォーマンスが高い順にみていきます。今回の検証は、投資期間を1年未満の場合に限定しました。米国株は長年にわたり上昇し続けているので長期投資は利益になる年が多いことは検証しなくても明白だからです。

米国株のアノマリー結論は意外な結果に

結論からいうと、過去36年分のデータからは「8月末買い12月末売り」もパフォーマンスはプラスですが、それよりも高リターンが期待できる期間があるということが分かりました。

▼3ヶ月パフォーマンス(ナスダック、NYダウ、S&P500の平均)

第1位 10月末買い1月末売り +5.3%
第2位 2月末買い5月末売り +5.1%
第3位 9月末買い12月末売り +4.7%
ワースト 7月末買い10月末売り +0.0%

▼9ヶ月パフォーマンス(ナスダック、NYダウ、S&P500の平均)

第1位 9月末買い6月末売り +10.05%
第2位 10月末買い7月末売り +9.55%
第3位 11月末買い8月末売り +8.89%
ワースト 1月末買い10月末売り +5.37%

平均:+2.61%

3ヶ月PFナスダックNYダウS&P500日経平均株価平均(ナスダック,NYダウ,SP500)
1-3月3.682.222.401.592.77
2-4月3.023.613.133.223.25
3-5月3.723.933.973.433.87
4-6月3.943.093.282.323.44
5-7月3.142.312.520.352.66
6-8月1.820.830.88-1.141.18
7-9月0.560.340.18-1.960.36
8-10月0.47-0.34-0.13-2.140.00
9-11月1.981.931.61-0.151.84
10-12月3.924.053.591.853.86
11-1月5.484.123.922.384.51
12-2月4.593.012.981.673.53
平均3.032.432.360.952.61
<表①>3ヶ月パフォーマンス
※表では、12月末買い3月末売りを約3ヶ月の投資期間として「1-3月」と記載しています。

9ヶ月PFナスダックNYダウS&P500日経平均株価平均(ナスダック,NYダウ,SP500)
1-9月8.196.266.402.906.95
2-10月6.634.764.721.795.37
3-11月7.524.975.120.995.87
4-12月8.435.975.611.166.67
5-1月9.095.215.180.426.49
6-2月8.405.165.06-0.066.21
7-3月8.175.895.310.516.46
8-4月8.975.125.061.666.38
9-5月11.227.947.324.308.82
10-6月11.559.499.105.8910.05
11-7月11.648.558.476.139.55
12-8月10.138.328.234.808.89
平均9.166.476.302.547.31
<表②>9ヶ月パフォーマンス

3ヶ月スパンの投資では、「10月末買い1月末売り」と「2月末買い5月末売り」がわずか+0.4%差で第1位と第2位にランクインしています。「新年度相場」での検証では、1月は新興銘柄のナスダックが高パフォーマンスである傾向があり、2月はそれに比べてパフォーマンスが下がるという結果でした。2月から3月は短期的な需給で言えば、パフォーマンスが下がる可能性があるということです。

そのため、10月末に買った銘柄は1月の新年度相場で手放す、もしくは9ヶ月パフォーマンスで見られる通り6月末に売り抜けるといった手法も、過去の相場を見ると有効という検証結果になりました。

相場を1年周期で考えてみると、9月末に買って夏枯れ相場前(6月末)に売るように目途を立てて、7月と8月は相場は「休むも相場」と割り切ってしまうことが一番スマートな取引といえます。

この場合の1年のリターンは、+10.05%となり、銀行金利や国債金利と比べてもはるかに高パフォーマンスとなります。

また、「10月末買い1月末売り」と「2月末買い5月末売り」の年2回ベースで売買し、下がりやすい時期を避けた場合のパフォーマンスは+8.38%。9月末に買って夏枯れ相場前(6月末)に売る場合と比べるとパフォーマンスは劣るものの、長く保有していられない投資家にとっては有効な取引になるという結果になりました。

米国株価指数は長期保有が有利

ここで注記しておきたいのは、ナスダック、NYダウ、S&P500をそれぞれ1年間持ち続けた場合に期待できる投資リターンは10.42%ということです。過去のデータから、今後も上昇トレンドが続くと仮定すると、やはり短期的な需給の調整はあっても、期間が長いほど安定したリターンが見込めるというこれまでの傾向と見立てに変わりません。

なお、表はすべて単利計算の場合です。複利効果を利用すれば、投資を進めていくうちに期待できる収益は掛け算になります。改めて、米国株の中長期投資の凄さが分かる結果となったのではないでしょうか。

米国株のアノマリー検証データのサマリー

・短期的な値下がりを避けたい方は、「9月に買い、7月までに売り抜ける」もしくは10月末買い1月末売り」と「2月末買い5月末売り」のサイクルで売り抜ける年2回の売買で高いパフォーマンスが狙える

・夏休みは下がりやすい傾向
・米国株は中長期投資に醍醐味

米国株のアノマリーまとめ

今回の検証では、1年周期で市況を捉えた時に、高いパフォーマンスが狙える期間が分かりました。秋は歴史的に相場が下がりやすい傾向がある一方で、決算が通過すると自社株買いが行われ株価が反転しやすい時期でもあります。

こういった米国株のアノマリーを利用することで、利益を出しやすい時期に集中して投資したり、下がりやすい局面では売却を行うなどができるのではないでしょうか。

株式市場は人がつくり出すものですから、人間心理が交差し合うことで、いろいろな傾向があるのは想像に難くはないでしょう。ご自身の投資の見直しや参考にしてみてください。

米国株のアノマリー検証データ

1ヶ月ごと

四半期PF

9ヶ月PF

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