金融の世界ではヘッジファンドが華々しく、証券会社のトレーダーがビッグディールを行い莫大な利益を上げている印象があります。しかし、金融界で大きな規模を誇るのはファンドでもなく証券会社でもなく銀行です。
メガバンクとは?
特に巨大な収益規模や資産を有する銀行や銀行グループ。また1兆ドル以上の総資産を持つ銀行グループのことをメガバンクと呼びます。
そんな金融界の上位に位置するメガバンクには、どのようなところがあるのか。また、どれだけの資産を持つのか、知っておいて損はないでしょう。
メガバンクトップ10
上場企業であれば時価総額が評価されるなか、銀行は総資産で強さを表されることが多いことから、資産でランキング付けを行いました。
▼主要なメガバンクの保有資産ランキングトップ10
No. | 銀行名 | 保有資産 | 時価総額 |
1 | 中国工商銀行 | 4兆322億ドル | 2706億ドル |
2 | 中国建設銀行 | 3兆822億ドル | 1936億ドル |
3 | 中国農業銀行 | 3兆698億ドル | 1686億ドル |
4 | 中国銀行 | 3兆387億ドル | 1587億ドル |
5 | JPモルガン・チェース | 3兆139億ドル | 3922億ドル |
6 | HSBCホールディングス | 2兆918億ドル | 1065億ドル |
7 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 2兆893億ドル | 662億ドル |
8 | BNPパリバ | 2兆430億ドル | 606億ドル |
9 | バンクオブアメリカ | 2兆2810億ドル | 2950億ドル |
10 | クレディ・アグリコル | 1兆984億ドル | 334億ドル |
※保有資産は決算書などから取得、時価総額は2021年1月末時点
金融大国といえば、ウォールストリートのある米国、そして金融街のあるシティのある英国が思いつく人も多いでしょう。
しかし、今では中国がメガバンクのトップとして君臨しているのです。中国の巨大な人口とそこから生み出されるGDPがある限り、この差は埋まらないかもしれません。
JPモルガンチェースは、2011年にバンクオブアメリカを抜き、世界最大のメガバンクとなっていました。
なお、11位にはウォーレン・バフェット氏が好むウェルス・ファーゴ。12位には、日本人の貯金を預かるゆうちょ銀行となっています。
ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといった巨大投資銀行は、時価総額こそ10兆円規模あるものの、保有資産では1兆ドルには届かずランキング外となっています。
主要国のメガバンク
米国三大銀行 |
シティグループ JPモルガン・チェース バンク・オブ・アメリカ |
カナダ五大銀行 |
カナダ・ロイヤル銀行 モントリオール銀行 トロント・ドミニオン銀行 ノバスコシア銀行 CIBC |
イギリス四大商業銀行 |
バークレイズ HSBC ロイヤルバンク・オブ・スコットランド ロイズ・バンキング・グループ |
ドイツ三大銀行 |
ドイツ銀行 コメルツ銀行 ドレスナー銀行(コメルツ銀行により買収) |
フランス三大銀行 |
クレディ・アグリコル BNPパリバ ソシエテ・ジェネラル |
日本三大銀行 |
三菱UFJ銀行 三井住友銀行 みずほ銀行 |
中国四大銀行 |
中国工商銀行 中国建設銀行 中国農業銀行 中国銀行 |
シンガポール三大銀行 |
DBS OCBC UOB |
メガバンク上位各社の特徴
保有資産額上位のメガバンクは、どういった特徴を持っているのか知っておきましょう。
中国工商銀行
中国最大のメガバンクは、大部分の株式を中国政府が保有しています。
中国の銀行取引の約5分の1を取り扱っています。
設立は1984年で、2020年時点で45万人名以上の従業員を抱えています。
そして意外感がありますが、カナダとマカオ、トルコに海外子会社を保有しています。
【主要事業】
消費者金融および事業金融業務
投資管理
プライベートエクイティ
その他、クレジットカードを含んだ広範囲の金融サービス
中国建設銀行
本社は北京にあり、おおよそ1万4000以上の国内支店とロンドンの完全子会社を含む13以上の国際支店があります。設立は1954年で、37万2000名の従業員を抱えています。
もとは政府取引のために設立され、後に再編成されて商取引に参入しました。
2005年にバンクオブアメリカが9%の株式を30億ドルで取得。2008年にはさらに1.75%を取得しました。しかし、2011年から2013年の3年の間に98億ドルで全て売却しています。
【主要事業】
大企業へ向けた投資銀行ソリューション
住宅ローン
個人向けローンといった個人向け業務
クレジットカード
プライベートエクイティおよび資産管理事業
中国農業銀行
集団農場や農民、労働者の支援することを目的として、毛沢東により設立されました。中国および世界の金融企業や商社に定着しています。
本社は北京にあり、国内に約2万4千の支店があります。一般顧客は3億2000万人、法人客は270万にのぼります。2010年には当時世界最大のIPOを記録しました。
設立は1951年で、約2万4000名の従業員を国内外に抱えています。
【主要事業】
個人向けおよび投資銀行業務
世界的な資産管理
プライベート・エクイティ事業
中国銀行
中国で最も古く信頼性のある銀行のひとつです。1912年に中国政府により公式紙幣の主要発行機関のひとつとして設立されました。
本社は北京西城区にあり、香港とカナダにそれぞれ2つの子会社を持ち世界27か国へ進出しています。中国で2番目に大きな貸し手となっており、インサイドバンキング部門を先導しています。
【主要事業】
保険事業
資産運用管理
クレジットカード
JPモルガンチェース
金融部門で最も新しく人気のある米国の銀行です。2000年に巨大銀行数社が合併して設立された世界有数の投資会社です。
本社はニューヨークにあり、世界有数の投資会社です。ヘッジファンド部門は米国最大で、340億ドルを運用管理しています。2008年5月に当時米国5位の投資銀行だったベアー・スターンズを買収しました。
【主要事業】
投資銀行業務
商業銀行業務
プライベート・バンキング
個人顧客への銀行業務
クレジットカード
法人及び個人の資産管理
HSBCホールディングス
HSBCホールディングスは、もともとヨーロッパと中国間の取引のために設立され、今でもこの取引を主に取り扱っています。1865年に、香港で創設された香港上海銀行を母体として1991年に設立されました。
本社はロンドンにあり、ヨーロッパを中心にアジア太平洋地域、北米、中東、アフリカにまたがる83の国と地域に1万を超える拠点を置いています。
【主要事業】
商業銀行
投資銀行
リテール銀行
グローバルプライベートバンキング
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)
MUFGは、東京三菱銀行とUFJホールディングスの子会社であるUFJ銀行の合併により設立されました。2005年に三菱東京フィナンシャル・グループがUFJホールディングスを吸収合併し、現在のかたちとなりました。
世界中に48カ国、92の都市にネットワークを構築し、事業を展開しています。
日本では外国為替に強く、日々の商取引のドル価格を決める東京仲値は三菱UFJ銀行の取引価格となっています。
【主要事業】
法人および個人への貸出
資産運用管理
コーポレートバンキング
グローバルコマーシャルバンキング
セールス&トレーディング業務
BNPパリバ
BNPパリバはフランスの大手銀行グループであり、ヨーロッパで2番目の規模を誇る銀行です。2000年にBNPとパリバとの合併によりに設立され、金融、銀行、保険ランキングでトップを占めています。
本社はジュネーブ、パリ、ロンドンにあり、フランスには2200の支店を置いています。世界中に73カ国の拠点があり、20万人の従業員を抱えています。
2007年には、参加のファンドが顧客の解約を凍結したことで「パリバ・ショック」として金融市場を震撼させました。
【主要事業】
国内市場部門
国際金融サービス部門(リテールバンキング&サービス)
ホールセール・バンキング事業(法人顧客、機関投資家向け)
バンクオブアメリカ
バンクオブアメリカは、米国で2番目に大きな銀行で、国内外で幅広い金融サービスを提供しています。
本社はノースカロライナ州シャーロットシティにあり、21万人の従業員を抱えています。
大手銀行のひとつでしたが、2008年までに発行した大量の住宅ローン証券が原因で財政難に見舞われました。2008年にメリルリンチを買収したことによって投資銀行部門において大きな躍進を遂げ、バルジ・ブラケット中で最大の銀行となりました。
2020年時点において、バークシャー・ハサウェイのほか、バンガードグループ、ブラックロックが6%以上の株式を保有しています。
【主要事業】
銀行業務
投資業務
資産運用業務
その他の財務管理及びリスク管理のための商品
クレディ・アグリコル
クレディ・アグリコルはフランス有数の企業で、国内の金融部門の大部分を統制しています。
1894年に農家の資金調達ニーズに応え、国内の農業活動を促進するために設立されました。欧州を代表するユニバーサル・バンクとして、世界47カ国で事業を展開しています。
最大の競合会社であったクレディ・リヨネが1990年代後半に重大な財政問題に直面。2003年になり買収しました。
【主要事業】
リテール
生命保険
資産運用
メガバンク~まとめ
メガバンクは、世界中の資産が集中しています。そのため、時にその経営や資産運用状況により相場に大きな影響を与えることがあります。サブプライム・ショックの最中には、参加ファンドの破綻がパリバ・ショックを引き起こしました。
ブラックロックやバークシャーハサウェイなどの資産運用大手が多くの株式を保有していることもあり、メガバンクは金融市場にとって重要なのです。
彼らの運用や経営状況を知ることで、今後の金乳市場の先行きを知るヒントとなるかもしれません。