株式市場には「ETF(上場投資信託)」と似た名前の金融商品で「ETN(上場投資証券)」と呼ばれるものがあります。
このETNもETFと同様に株価指数やコモディティに連動するように構成された金融商品の一種ですが、いまいち違いがわからないままになっている人も多いのではないでしょうか。
実は、このETNはETFよりも幅広い対象に投資ができるとても優秀な金融商品なんです。そこで今回は、「ETN(上場投資証券)」とはどんな商品で、どんな特徴があるのか、ETFと比較しながら紹介していきます。
特に、日経平均やTOPIXなどメジャーな指数以外の新興国市場や海外市場にに投資を考えている人にとって知っていて損はない情報だと思うので、ぜひチェックしてみてください。
ETN(上場投資証券)とは?
それでは早速、ETN(上場投資証券)とはどんな金融商品なのか説明していきます。まず、ETNは「Exchange Traded Note」のそれぞれの単語の頭文字をとったもので、日本語では上場投資証券といいます。
このETNも、ETFや投資信託と同様に特定の株価指数や金、原油などのコモディティの価格に連動するように構成された金融商品になります。
また、英名の「Exchange Traded Note」の「Note」は債券という意味です。これはどういうことかというと、会社や国の信用力によって価値が担保されている債券と同様に、このETNは発行体の証券会社をはじめとした「金融機関の信用力」によって、その価値が担保されているのです。
ETNの概要がつかめたところで次節では「ETN」と「ETF」の違いについて説明していきます。
「ETN」と「ETF」の違いは?
それでは、ETNとETFは非常に似た金融商品ですが、一体なにが違うのでしょうか。その答えは「ETF/ETNの裏付けとなる資産を持つか否か」です。
例えば日経平均価格に連動するETFの場合、発行体は、日経平均を構成している225銘柄を裏付け資産として保有する必要があります。
しかし、ETNの場合は、発行体の信用力で、ETNが対象としている株価指数などに連動することを保証しているため、裏付け資産を持つ必要がありません。
また、ETNは発行体が対象指数・商品価格そのものに連動するように売買をするため、ETNの価格と連動先の価格の差異は小さくなりますが、ETFは投資委託会社が対象の指数への連動を目指し株式を組み入れているので、完全には一致しません。
つまり、ETNの方が仕組み上、対象指数・商品価格への正確な連動が期待できるというわけです。専門用語では「トラッキングエラーが小さい」と表現されます。
これがETFとETNの決定的な違いであり、ETNならではのメリットでもあります。
ETNの魅力は幅広い投資対象
最後に、ETNの魅力を紹介していこうと思います。ETNとETFの違いでは「証券の裏付け資産が不要」という話をしましたが、このETNの特徴こそ、ETNの一番の強みでもあるのです。
どういうことかというと、裏付け資産を保有する必要がないため、国外の投資家への投資規制が存在する「新興国株式」や、現物の所持が困難な「希少資源」や小麦やトウモロコシなどの「農産物」などが対象となる指標であっても連動するETNを組成することができるということです。
この幅広い投資対象はETNの大きな魅力であり、メリットであるといえます。また、ETFなどと同様に数千円〜数万円から投資ができる点も評価できるポイントの1つですね。
まとめ
今回は、ETN(上場投資証券)について紹介してきました。ETFよりも認知度が低いため、あまり注目されませんが今回の記事内容からもわかるように、ETNにはETNにしかない特徴・魅力があります。
個人では投資しづらい新興国やコモディティへの投資を考えている人は、ETNを投資対象の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。