VIX指数を知ることで暴落相場やリスクオフ局面を乗り切るヒントに

株式投資のリスクは、相場が下落することです。特に暴落が起きると、これがどれだけ続くのか、過去の暴落と比較したインパクトは大きいのかなど、不安は尽きません。

そんな時に、VIX指数が参考となります。

恐怖指数とも呼ばれるこの指数を見ることで、暴落相場の先行きを見通すヒントとなるかもしれません。

VIX指数とは

一般的は、恐怖指数と呼ばれているVIX指数は、相場の価格変動率を表す指標です。

相場が不安定になったり、悪材料や地政学的リスクなどの大きなリスクオフ材料が起きると価格が急上昇します。

米国のシカゴマーカンタイル取引所(CME)で取引されており、その価格はS&Pのオプション取引量を元に算出されています。

VIX指数の上昇は、金融市場の急落の前兆と言われており、VIXの数値が高くなってくると市場参加者が将来的な相場の暴落やボラティリティが高くなることを懸念していたり、市場に対して不透明感を持っている状態と判断できます。

こういったことから、VIXの指数は市場参加者の恐怖が反映されている指数とされており、別名「恐怖指数」と呼ばれるようになっています。

VIXとは、ボラティリティ・インデックス(Volatility Index)の略称で、株価変動率指数と訳されます。

VIX指数の見方

VIX指数は、平常時におよそ10〜20で推移しています。

20を超えた時には、突発的なショックや要人発言、予想外の景気悪化懸念などが起きていることがほとんどです。

ただし、この水準は年間5~10回程度発生します。

近年では2017年が一度も20を超えなかった安定した相場でした。

30となると、年に数回ほどしか発生しない暴落相場の時しかつけません。

2011年から2020年までの10年間では、30を超えた年は6回となっており、超えていない年も多くあります。VIX指数で30となると、数年に1度のかなりのショック相場が到来していると判断できます。

過去の暴落相場とVIX指数

投資家が恐怖を感じるような暴落相場では、実際にVIXがどれだけ値上がりするのでしょうか。

過去の暴落相場や地政学的リスクが高まった際のVIXの高値をご覧ください。

過去の暴落相場とVIX指数の数値

日付イベントVIX指数
1990年8月23日イラク軍クウェート侵攻36.47
1997年10月28日アジア通貨危機38.64
1998年10月8日ロシアデフォルト(LTCM破綻)49.53
2001年9月21日アメリカ同時多発テロ49.35
2003年3月12日イラク戦争勃発34.4
2002年7月24日エンロン不正会計事件48.46
2002年8月5日ワールドコム破綻45.21
2003年3月12日イラク戦争勃発34.4
2008年9月18日リーマン・ブラザーズ破綻42.16
2008年10月24日世界的金融危機89.53
2011年10月4日ギリシャ国債のデフォルト危機46.88
2015年8月24日中国経済失速懸念(チャイナショック)53.29
2016年6月24日英国のEU離脱の是非を問う投票日25.76
2018年2月6日VIXショック50.3
2020年3月18日新型コロナウイルスによるパンデミック85.47

不正操作によるVIXショック

2017年5月23日、VIX指数の算出に使われるS&P500のオプションは取引の少ない物が含まれており、それを使用することでVIX指数を操作することが可能であるという論文が発表されました。

さらに、その対象となっているオプションだけ不自然に取引が多いということも指摘されました。

翌年の2月6日、VIX指数が突如として急騰し、関連する金融商品がほぼ無価値になるという状態になりました。

例えば、野村ホールディングスの欧州グループが発行していたNEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(VIXベアETN)。これは、VIXが下落すればするほど価格が上昇するというETN。S&P500のオプションをロールオーバーするため、理論的には価格が上がり続けるという金融商品でした。

ただし、VIXと正反対の値動きをする指数が前日終値比で80%以上下落した場合、強制的に償還するという条項が付いていました。

しかし、現実的にそれが起こる可能性は極めて低いため、個人投資家の資金が多く集まり、関連する金融商品の運用残高は全体で39億ドル(約4300億円)にも上っていたようです。

そこへきて、VIXが過去最大規模の変動幅を記録しその条項に抵触。商品価格の価値は96%も毀損するという状況に陥ったのです。

VIX指数まとめ

VIXは長期金利と並んで、実際に取引を行う投資家が少ないなかでも注目度の高い指標です。

特に、暴落相場ではそのインパクトと底打ちのタイミングを計る指標として重宝します。

○○ショック等が起きた際には、過去のVIX指数が上昇した時と比較しながら、下落の規模を探る指標として活用できるでしょう。

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