米国株おすすめ書籍「はじめての米国株投資入門」岸泰裕著

この記事は「はじめての米国株投資入門」の著者:岸泰裕氏による執筆いただきました。

米国株おすすめ書籍「はじめての米国株投資入門」のご紹介

老後2000万円問題や確定拠出型年金の導入など、投資は「やらなくてはいけないこと」になりつつある中で、投資の初心者にこそトライしてもらいたいのが、投資家が利益を上げやすい環境が整っている「米国株式投資」です。

日本株の経験がある人だけでなく、株式投資自体が初めての人も含めて、「これから米国株式投資を始めたい」という人に向けて、米国株を含めた株式投資の基本知識、注目されている米国株の個別銘柄の紹介や投資信託の売買法、投資のコツ、などをオールカラーでやさしく説明しているので、本書を読んで「米国株って思っていたより簡単だな」と思って頂けると幸甚です。

投資の初心者にこそトライしてもらいたいのが、投資家が利益を上げやすい環境が整っている「米国株式投資」。 「これから米国株式投資を始めたい」という人に向けて、米国株を含めた株式投資の基本知識、米国株の個別銘柄や投資信託の売買法、投資のコツ、などをオールカラーでやさしく説明。
この一冊でOK!
「はじめての米国株投資入門」著者:岸泰裕
価格 1,540円 (税込)
出版元 成美堂
書籍の詳細・購入はこちらから

岸泰裕氏はなぜ米国株に注目しているのか?

私たちは「株式投資をしよう」と考えると、ついつい日本株から手を出そうとしてしまいます。しかし、両国の時価総額上位の会社を見ると、日本はトヨタ自動車・ソフトバンクグループ・ソニー・キーエンス・日本電信電話と、トヨタ以外は意外に私たちも具体的な商品やサービスをよく知らない会社が並んでいます。一方で、米国株はテスラやアリババ等の新聞をにぎわす一部の会社の他は、AppleやMicrosoft、Amazon、Facebook、Google(Alphabet)、J&J、と私たちが身近に利用しているサービスや商品の会社が並んでおり、私たちにとって、実は米国株の企業の方が身近な存在になってきています。

また、株取引にかかる費用も、日本のNo1企業トヨタの株を買うには最低85万円が必要で、任天堂に至っては最低680万円が必要です。しかし、米国No1企業のAppleの株を買うには135ドル、1万5千円もあれば足り、米国株の中では高いAmazonでも3300ドル、35万円になります。初心者が始めて株取引を行うのに、スタートのハードルが低いのは実は日本株よりも米国株になっています。

また米国株は、AppleやMicrosoft、Amazon、Facebook、Google(Alphabet)、J&Jを我々が利用している事からもわかる様に、米国企業ではあるものの、米国の枠を超えて日本も含めた世界中に展開している点も大きな強みです。

日本企業の多くは日本をメインの市場にしていますが、米国株の市場は世界となっており、これらの大企業にとってもまだまだ未開拓市場が数多く存在しているため、成長余地がまだまだあります。実際にこの1年間においても彼らはコロナ禍においても前年より倍近い利益を上げる成長を遂げ、株価も2倍や1.5倍増加しています。一方で日本のトップ企業トヨタの株価が倍になる可能性があるかというと、1年程度では難しいと言えます。

これらを踏まえて考えると、実は「投資初心者」こそ、日本株ではなく米国株から始めるべきです。始める金額的ハードルも低く、仕事が終わった後に取引が出来て、日本株よりも高成長が見込めるのが米国株です。

岸泰裕氏~代表的な米国株の個別銘柄 分析サマリー

Apple(アップル)

従来はMacと呼ばれる動画や画像、音楽等の処理が得意なコンピューターのメーカーとして、MicrosoftのWindowsとしのぎを削っていましが、近年はiPhoneやiPad等の携帯電話やその周辺機器へも進出し、大きなシェアを持っています。新商品の発表などは日本でもニュースで取り上げられ、発売日の行列などはTVでも取り上げられるほどの熱狂的なファンを持つことでも知られています。

創業者であったスティーブ・ジョブズは伝記も数多く出版されるほどのカリスマがあり、彼の他界後の経営が危惧されていましたが、現在でも着実な経営とイノベーションを進め、いまだ世界を牽引する企業の一つとして存在しています。また最近では金融分野にも進出しており、ApplePayが世界のクレジットカード利用のシェア5%を超えたように、コンピューターや携帯だけでなく、更に他の業界に展開をしていこうとしています。

Alphabet(Google)

現在の会社名であるAlphabetよりも以前の会社名、またブランド名であるGoogleの方が有名な企業です。「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」事をミッションとして掲げており、検索サイトや動画共有サイトなどを中心に様々なサービスを展開していますが、基本的なビジネスモデルは広告ビジネスです。Googleで検索した時に出てくる広告や、Youtube等からの広告収入が大きいです。

またAndoroidと呼ばれる携帯電話の基本的なシステムを提供していたり、最近では携帯電話自体やスマートスピーカーと呼ばれるハードウェアを作成したり、クラウドサービス、自動運転等にも展開したりしています。広告をメインにしている企業でもあるため、多くの人が見たいコンテンツをドンドン作り上げていく企業でもありますのでまだまだ成長が見込まれる企業です。

Facebook(フェイスブック)

こちらも日本でも一般化しているFacebookおよびInstagramといったSNSを主に展開している企業です。そのほかにもWhatsAppのようなメッセージソフトもグループで展開しており、Google同様に広告での収入をメインにしています。SNSという特性上、より個人的な情報を前提とした広告展開で利益を上げてきましたが、実は約半分をアメリカ・カナダで売り上げており、日本を含めた先進諸国、また発展途上国などにまだまだ進出余地があります。

ただ、極めて多くの個人情報を得る事や広告にその個人情報を利用している事、またSNS上で記載内容に制限を付けるべきかといった指摘も出てきています。また近年では衛星通信などにも進出したり、世界中で使える暗号資産(仮想通貨)を作ろうとしたりと、幅広く展開をしていますので、将来的にはSNS以外でも存在感を発揮しそうです。

Amazon(アマゾン)

最大手のECサイト(直販)・モール(他社の商品販売プラットフォーム)として、日本においても多くの方が利用したことがあるサイトかと思います。ただ実はAmazon全体から見るとECサイト・モールからの比率は減少し始めており、Amazon PrimeやKindleによる動画や音楽のサブスクリプションや書籍の販売。またAWSと呼ばれるクラウドコンピューターサービス等の各種サービスの比率が拡大しています。

更にここ数年では、アメリカのスーパー、Whole Foodsを買収したり、無人のスーパーとしてAmazon Goを開設したりもしています。この流れは、強みであり弱みでもあったネットでの集客・販売に加えて、リアル・現実でも展開を強化していこうとするものです。貪欲に事業範囲をネットリアル交えて展開して行く点はAmazonの大きな強みです。更に、日本でもECモールでは2位に甘んじている様に、世界的にはまだまだ成長余力がある企業です。

テスラ(Tesla)

今や世界最大の自動車メーカーとなった会社ですが、考え方はメーカーよりもIT企業の色が強い企業です。従来の自動車会社がハードウェアをいかに良くしていくかを考えているのに対して、テスラはソフトウェアによってハードウェアの能力を向上させていく思考で自動車開発をしており、ネットを利用してバージョンアップし課金も行います。

また、コロナ禍においても、自動車の購入がネットで完結する点もIT企業ならではしょう。なおテスラの創業者であるイーロンマスクは起業家として知られており、様々なビジネスを創出し展開していく連続起業家として活躍しており、ビジネスセンスは抜群と言えそうです。ただ注意するべき点として、テスラは、売り上げは順調に増えていますが、いまだ赤字の企業です。2020年には株価が5倍以上になるなど急成長ですが、経営実績よりも期待値によるものが多い点には注意も必要です。

バークシャー・ハサウェイ

会社の各種登録としては保険業扱いですが、オマハの賢人と呼ばれるウォーレン・バフェットが率いる実質的には世界最大の投資会社になります。彼が日本の総合商社に投資をしている事が明らかになるだけで話題になるほどに注目されている天才と言われる投資家の一人です。

このバークシャー・ハサウェイの株を購入する事で、バフェット率いる世界最大の投資ファンドを購入する事にもなります。どちらかと言うと会社自体の業績よりも、経営者であるウォーレン・バフェットの会社・ファンドとして買う人も多い銘柄ではありますが、傘下には彼が選んだケチャップなどで有名なハインツなどの優良大企業が存在しています。また世界最大の投資会社・投資ファンドとはいえ、株価としては200ドル程度で、2万円程度から購入できるので投資信託の様な感覚での購入でも良いかと思われます。

コカコーラ

世界最大の飲料水メーカーで、日本人のおそらくほぼ全員が飲んだことがあり、会社名を聞くだけで商品を想像できる圧倒的なブランド力を保持しています。前述のバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットが筆頭株主である事も知られている会社です。ウォーレン・バフェットは企業の価値、他の会社が太刀打ちできない力を経済的な堀(エコノミックモート)と表現しますが、まさにコカコーラはこの堀が極めて強い会社になります。

私たちも「コーラ」と聞けばすぐにコカコーラが思い浮かぶように、圧倒的なブランド力があり、業界2位のペプシとは大きく水をあけています。また、日本でもレモンサワーの展開を始めた様に、諸外国でここ数年アルコールへの展開も始めており、飲料の分野での更なる飛躍が見込まれます。この様な、世界的に圧倒的なブランド力を持つ企業が存在している事も米国株の大きな強みです。

AT&T

世界最大の通信会社で、前身の創業者は電話の発明で伝記も有名なグラハム・ベルです。通信会社と言うものの映画で有名なワーナーブラザーズや、ニュースのCNN等も傘下に持ち、通信・ネットワークを活かした複合的なビジネス展開をしています。株式市場においては賛否両論が存在しており、ポジティブな評価としては30年以上ずっと配当を増やし続け、配当の利回りが7%を超えている高配当銘柄としての評価や、通信会社という業種上、なかなか他社が参入できない事、また5G等の次世代ネットワークへの期待も評価されています。

一方で、借入を利用した積極的な幅広いM&Aでも知られており、負債・借金の金額が極めて大きい企業となっているためネガティブな評価を受ける事も多々あります。ただ、ビジネスの安定性や今後の成長性を見れば、まだまだ成長余地はあると思われる会社です。

マクドナルド

こちらも世界的に有名なファーストフード店です。日本でも展開しており日本市場で上場もしていますが、ここで触れるのはアメリカのマクドナルド社です。ビジネスモデルとしては米国や日本などのマクドナルドに対して「MacDonald」のブランドを利用させてあげることでロイヤルティ収入を得ています。また世界的に直営店からフランチャイズビジネスへ転換しており、フランチャイズ加盟店からの利益を積み上げて行っています。

また、フランチャイズ展開する際には、その土地や建物自体はマクドナルド社が購入してしまい、フランチャイズに貸出を行い、賃料収入を取る不動産ビジネスでも経営を安定させ、各店舗の経営リスクは作りこまれたマニュアル等で担保するビジネスモデルです。このモデルは世界中で実際に成功しており、まだまだ世界中に進出余地があると思われます。

ゼネラルエレクトリック(GE)

ゼネラルエレクトリックは世界最大のアメリカの電機メーカーです。電力から航空機関連、また金融まで幅広くビジネス展開をしています。この会社の創業者は発明家として有名なトーマスエジソンです。近年は各種ビジネスにおいて苦戦しており存亡の危機とまで言われた時期もありました。しかし2020年後半に入り急速に回復し始めており、株価も1か月で1.5倍ほどになるほど急回復をしてきています。

GEはかねてより常に変革をしてきた企業として有名で、様々な分野で挑戦をする企業と言われています。近年注力している航空機と医療関係のうち、特に航空機がコロナ禍で不調となってはいるものの、コロナ禍以降の経済状況によっては復活が期待されています。アメリカはやはり電機・重工業の国でもあるとは思われますので割安な時期に見ておくと面白い会社です。

Netflix(ネットフリックス)

世界展開している映画やアニメ、ドラマなどをインターネットで配信している大手になります。面白いのがその集客力に自信があることもあり、家電メーカーや通信会社等、提携を希望する企業に対して極めて強気であることが目につきます。

日本でも、テレビのリモコンに「Netflix」の専用ボタン徐々に増えてきている様に、集客力を武器にパソコンだけでなく様々な所から会員を集められる様な仕組みづくりを強化しています。また従来この様な動画配信サイトは配給会社等から版権を買ってきて放映するビジネスモデルでしたが、現在はNetflix自身が映画やドラマを作る事もあるコンテンツ作成側にも進出しています。このコロナ禍において外出が出来ない事から会員数が激増しており、この流れは今後も止まらないと思われます。

ヤムブランズ

世界最大級のファーストフード企業ですが日本ではあまり会社名を聞いたことないかもしれません。ただブランドは日本でも有名で、「ケンタッキーフライドチキン」や「ピザハット」等のフランチャイズ展開等をしている会社になります。主な市場はアメリカではありますが、日本を始めとする世界中に展開をしている飲食業、またフランチャイズに対して商品や販売手法を販売する企画会社の様な業種になります。

コロナ中に関しては、かなりのダメージを受けるのではないかと思われていましたが、想定外にダメージが少なかったことで知られ、その理由は世界中でメニューやオペレーションを即座に調整したからだとしています。コロナ禍の様な想定できない問題が発生した際に、世界規模で柔軟に対応できる企業というのは、今後の成長という観点でも魅力的です。

VISA

日本でも有名な会社で一般的にはクレジットカード会社だと思われがちですが実はそうではありません。VISAは「クレジットカードの決済サービス」を提供している会社であり、実はVISA自体はクレジットカードを発行していません。クレジットカードを発行している会社に、その裏側のシステムを提供している会社になります。

また日本でもキャッシュレス決済に関しては〇〇Payが流行ってはいるものの、やはりクレジットカードが圧倒的な利用率になっており、その中でもVISAが世界的に圧倒的なシェアを持っています。このコロナ禍においては更に現金を利用しない、非接触としてのカード払いなどの増加、またインターネット上での買い物等でのクレジットカード利用は増加していく事が想定されます。さらにこれからは発展途上国などにも更なる進出も想定されていくため、まだまだ大きい成長が見込まれる企業です。

ディズニー

世界中の子供が知っている、世界的なキャラクタービジネス・コンテンツ企業になります。当初の映画だけでなくキャラクターやグッズ、そしてテーマパークまでも含めた複合的なコンテンツビジネスモデルを作り上げた企業になります。

またディズにーは積極的なM&Aによる「自社コンテンツ」の取得でも知られ、映画の20世紀スタジオ(旧名は20世紀フォックス)やアニメのピクサー、スパイダーマン等のマーベル、また有名映画監督のジョージルーカスの会社、ルーカスフィルムも傘下に収め、また各種映画等については傘下のHuluで配信を行っています。最近ではさらに子供向けに特化した動画配信としてDisney+を展開するなど、脱映画館も進めながらビジネス展開をしています。さらにはアメリカの3大マスコミの1つであるABCも保有するなど、映像を核とした幅広いビジネス展開を積極的に拡大しており、まだまだ成長の余地が見込まれる企業です。

ユニリーバ

日本でもCMでよく耳にするユニリーバですが、世界展開しているオランダとイギリスの2か国にまたがる会社です。ADR(米国預託証券)という制度を使ってアメリカで上場しており、米株として購入が可能です。日本でも有名なLUXやDove等の日用品、また紅茶のリプトンもユニリーバのブランドになります。世界180か国以上にこれらを展開しているので、まさに世界中に市場を持つグローバル企業です。このコロナ禍においては石鹸や洗剤など清潔用品へのニーズが増えると共に、在宅による食品の売上も増えています。現在の急激な清潔志向の世界的な定着が進めばより売上等も上がって行きそうです。

なお、ユニリーバはオランダとイギリスに本社があるため、アメリカでも「UN」と「UL」と2つの銘柄が上場していますが、ULがイギリス株となり源泉徴収がされないことになっていますので、確定申告不要となるのでお勧めです。

岸泰裕氏のプロフィール

岸泰裕

岸泰裕(キシヤスヒロ)

金融工学MBA取得の金融・財務のプロフェショナル。1985年、滋賀県出身。明治大学商学部卒業後、Citiグループの持株会社である日興シティホールディングスに勤務しつつ早稲田大学にて金融工学MBAを取得。その後、SMBC日興証券・スタンダードチャータード銀行東京支店を経て、参議院議員事務所など政治業界にも関わる。現在は、東証1部上場の大手通信会社にて財務部資金課長として勤務しながら、明治大学や龍谷大学など複数の大学で「投資・運用」などについて講義を行っている。豊富な経験と幅広い金融人脈、最新のインターネット情報を駆使した講義が初心者にもわかりやすく、実践的であると好評を得ている

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