
この記事のポイント
- CFDとは、売買の差額だけを行う取引方法
- CFDはリスクは証拠金以上の損失を被る可能性がある
- CFDのメリットは少額の資金からでも始められる
- CFDのデメリットはさまざまなコストが発生する
CFDは「差金決済取引」と呼ばれ、幅広い金融商品のトレードに使える取引方法です。
適切に使用すれば下落相場でも利益を狙えるものの、メジャーなトレードではなく概要がわからない方も多いでしょう。
そこで本記事ではCFD取引の特徴を解説し、トレードする上で最も重要なリスク面や、株や先物取引などの金融商品との違いを解説します。
目次 ー Contents
CFDとは?【特徴をわかりやすく解説】

CFD(Contract For Difference)とは、取引を行ったことにして売買の差額だけが損益となる取引方法です。日本語では「差金決済取引」と呼ばれ、デリバティブ取引の一種となります。
通常の現物取引では、有価証券の売買を行うのと同時に受け渡しを行いますが、CFDは有価証券の受け渡しをせずに売買の差額のみが発生します。
そのため、株や債券のCFDを行ったとしても現物を保有しません。つまり、実際の取引との違いは「取引を行ったことにしている」と言えます。
売買の差額は取引開始時の価格と取引終了時の価格の価格差になり、取引相手は証券会社のみになる場合が多いです。
CFDの特徴は大きく以下3つになります。
- 取引単位が小さい
- 下落相場でも稼ぐ取引ができる
- さまざまな金融商品が取引できる
取引単位が小さい
CFDは取引単位が小さく、少額取引が可能です。
CFDを行う際は一定の証拠金を入金する必要がありますが、レバレッジをかけられるので証拠金以上の取引ができ、資金力があまりない方でも大きな利益を得られる可能性があります。
例えばGMOクリック証券のCFDでは以下のレバレッジをかけられます。
株式指数 | 10倍 |
商品 | 20倍 |
株式 | 5倍 |
バラエティ | 5倍 |
ただ、どのCFDもレバレッジを最大までかけるとハイリスク投資となるため、あまりリスクを取りたくない方は1.2〜2.0倍程度から始めてみるのがおすすめです。
下落相場でも稼ぐ取引ができる
CFDは売り注文から入れるため、下落相場でも稼ぐ取引が実現できます。
現物取引では買い注文のみとなっており、価格上昇時しか利益は出せません。
しかしCFDであれば価格が下落した際も売り注文を持つことで利益を出せます。具体的な流れは以下の通りです。
- 証券会社から価格が今後下落すると予想する金融商品を借りる
- 借りた金融商品を売却する(売り注文)
- 金融商品の価格が下落した際に、自身の証拠金で買い戻す(買い注文)
- 証券会社に借りた分の資金を返す
- 売却価格と買戻価格の差額が利益となる
CFDを使えば不況時でも利益を狙える他、現物取引と同時に反対ポジションである売り注文も入れておくことでリスクヘッジにもなります。
さまざまな金融商品が取引できる
CFDはさまざまな金融商品が取引でき、代表的なものとしては以下があります。
- 株価指数
- 株式
- 債券
- 商品(エネルギー、ゴールドなど)
- ETF参照資産
CFDはレバレッジをかけられる取引方法のため、ボラティリティが激しい商品にレバレッジをかけてハイリターンを狙ったり、逆にボラティリティが激しくない債券にレバレッジをかけてリターンを増加させたりなど、幅広い投資手法が実現できるのです。
取引時間が長く、決済期限がない
銘柄にもよりますが、CFDは平日であれば24時間取引できる場合が多いです。
現物や先物取引であれば市場時間が決まっていますが、CFDは24時間取引できるため急な価格変動にも対応しやすいメリットがあります。
また、CFDは決済期限がありません。
そのため1度ポジションを持てば自身が望む価格になるまでポジションを保有できるのです。(ロスカットを除く)
ただし、ポジションを保有している間は価格調整額や金利調整額など、さまざまなコストを支払う場合もあるので基本的には短期トレードとして使われています。
CFDは危ない?主なリスクを解説
CFDは危ない取引手法ではありません。他の取引手法と並行してポジションを保有すればリスクヘッジとしても使えます。
ただリスクがゼロなわけではなく、主なリスクは以下2つになります。
- 証拠金以上の損失が発生する可能性がある
- 金融商品によっては流動性が少ない
証拠金以上の損失を被る可能性がある
CFDはレバレッジをかけられるため、証拠金以上の資金を使って取引できます。
レバレッジ取引をした場合、価格がリターンを得る方向に向かえば問題ありませんが、損失が発生する方向に価格が動いた場合、証拠金以上の損失が発生する可能性があります。
証拠金が証券会社の定める必要証拠金額を下回ると強制的に取引が決済(ロスカット)される仕組みです。
ロスカットは通常、投資家の大きな損失を防ぐ目的で行われますが、相場が急変動した際はロスカットが間に合わず、大きな損失を被る恐れもあるでしょう。
金融商品によっては流動性が少ない
CFDはさまざまな金融商品に投資できますが、中には流動性が少ないものもあります。流動性が低いリスクとして以下があります。
- ボラティリティが大きくなりやすい
- スプレッドが広がりやすい
- 決済を終了できない可能性がある
流動性が少ないことによるボラティリティの拡大はリスクになりますが、リターンを増加させる効果もあるのでうまく利用すればレバレッジをかけなくとも大きな利益を出せる手段になります。
流動性の大きさは証券会社によって異なるため、できるだけリスクを取りたくない方は利用者が多く流動性が大きい証券会社を利用するとよいでしょう。
CFDのメリット
CFDのメリットは以下の3つです。
- 下落相場でも稼げる
- 少額からでも始められる
- 金融商品が豊富
さまざまな金融商品に少額から投資でき、下落相場でも利益を出せるポジションを持てるのはCFDのメリットと言えるでしょう。取引手数料もかからない場合がほとんどです。
多くの金融商品が決済期限なしで売り買い両方から取引できるCFDは、他の取引方法より利益を出せるチャンスが多く、仮に金利高で保有している現物の株の価格が下落していたとしても、CFDで反対ポジションを持っていれば損失をなくせる取引が行えます。
CFDのデメリット
CFDのデメリットは以下の3つです。
- 調整額がある
- ロスカット(追証)のリスクがある
- 株主優待はもらえない場合がほとんど
CFDのポジションを持つと、以下の調整額が発生します。
- 金利調整額:翌日営業日に金利が付与/差し引かれる
- 価格調整額:CFDが参照原資産としている先物の限月を乗り換えることで発生する価格の調整額
- 権利調整額:参照原資産のコーポレートアクション(株式分割・配当金支払いなど)が行われると調整額が付与/差し引かれる
金利調整額はそのときによって受け取る側が異なり、実際の金利調整額は各証券会社で確認できます。
価格調整額は先物の乗り換えによって発生するためポジションを長く保有しているほど支払う確率が高くなり、権利調整額も同じく長く保有しているほどコーポレートアクションが起きる確率は高くなるため、CFDは長期投資には向いていません。
また、ロスカットが行われると追証(追加証拠金)を支払うリスクがあり、株主優待券はもらえない場合がほとんどなことも覚えておきましょう。
CFDとその他金融商品との違いは?
CFDは他の金融商品とどのような違いがあるのか、本記事では以下3種類の取引方法と比較して解説します。
- CFDと株取引の違い
- CFDと先物取引の違い
- CFDとFXの違い
CFDと株取引の違いは?
CFDと現物の株取引の主な違いは以下の通りです。
- CFDは取引手数料が無料
- CFDは調整額が発生する
- CFDの方が取引単位が小さい
- CFDは配当金や優待券などがない
- CFDは下落相場でも利益を狙える
CFDは現物の株取引とは違い取引手数料が無料ですがその分調整額が発生するため、コストを比較するとCFDの方が高くなる可能性があります。
また、株を実際に保有しているわけではないので、配当金や優待券などの付加価値は得られません。売買金額の差額だけがリターンとなります。
CFDと先物取引の違いは?
CFDと先物取引の主な違いは以下の通りです。
- CFDは取引手数料が無料
- CFDは決済期限がない
- CFDの方が必要証拠金が少ない
- 先物取引の方がレバレッジは高い
CFDの参照原資産は先物取引になっている銘柄が多いですが、違いは多くあります。
CFDが先物取引より優れている点は、必要証拠金の少なさと取引手数料の安さが挙げられるでしょう。
CFDは決済期限がありませんが、先物取引でも無期限先物取引をすれば実質決済期限なしでポジションを保有できます。
また、レバレッジは先物取引の方が高い傾向にあるので、よりハイリスク・ハイリターンな取引をしたい方は先物取引がおすすめです。
CFDとFXの違いは?
CFDとFXの主な違いは以下の2つです。
- FXは通貨しか取引できない
- レバレッジはFXの方が高い
実はFXは通貨取引を対象としたCFDの一種なので、CFDとFXは形式がほぼ同じです。
どちらも売り買いどちらからでも注文でき、損益は売買の差額だけになります。
大きな違いはFXは通貨取引のみなのに対しCFDは株式や商品など多くの金融商品が取引できる点です。
CFDにおすすめの銘柄
CFDは幅広い金融商品が取引できるため銘柄選定が難しいと言われていますが、ここでは初心者の方にも親しみやすい代表的な銘柄を3つご紹介しましょう。
- 株式指数・VIX指数
- 金(ゴールド)
- 銀(シルバー)
株式指数・VIX指数

株式指数は個々の株価を一定の計算方法で数値化し、投資家が相場を把握しやすくするための指標です。
代表的な株式指数にはS&P500や日経225などがあります。
株式指数は個々の株価をまとめた数値であるため個別株に比べてリスクが小さく、取引高も多いため流動性のリスクも小さくなるでしょう。
おすすめのCFD銘柄には以下があります。
- S&P500:米国の代表的な企業500社の株価を指数化している
- 日経225:東証1部上場企業のうち代表的な225銘柄の平均株価を指数化している
- ウォール街株価指数:米国の代表的な証券会社に上場する30銘柄を基に指数を算出いているダウ平均をを原資産としている
米国経済と連動しているCFD銘柄の方が変動のチャンスが大きく、短期で利益が狙いやすいでしょう。
また、株式指数のボラティリティの変動幅によって価格が変動するVIX指数があり、相場の不確実性が高いほど上昇しやすくなります。
VIX指数は株価が暴落すると価格上昇する側面もあるので、株式指数とともに保有しておくとリスクヘッジとしても機能します。代表的な銘柄は以下の通りです。
- VXV:S&P500の90日間のボラティリティに連動している
- VXX:VIX指数の上昇と連動しており、通常は下落し続ける
金(ゴールド)

金のCFD取引は、現物の金価格を参照原資産としているものが多いです。銘柄は金CFDがあり、IG証券などで取引できます。
金は経済が不況になったりインフレで通貨の価値が下落したりした際に価格上昇する傾向があり、不況に弱いハイテク株のリスクヘッジとして保有しておくのもよいでしょう。
商品は株式と違い企業の業績を考量する必要がないので、材料が見つかりやすく相場分析がしやすいため、CFDでの短期取引もしやすいと言えます。
銀(シルバー)

銀のCFDは、金と同じく現物の金価格を参照原資産としているものが多いです。銘柄は銀CFDがあり、IG証券などで取引できます。
銀は金価格との連動性も時折高く、資金流入の要因としても金と同じく経済不況やインフレによる通貨価値下落からの逃避資産として認識されています。
ただ、金よりボラティリティが大きい傾向があり、流動性も小さいので、CFDを行う際はあまりレバレッジはかけず、流動性危機を考慮して少額の証拠金で取引を始めるのが賢明です。
CFDにおすすめの証券会社3選
CFDにおすすめの証券会社は以下の3社です。
- IG証券
- GMOクリック証券
- GMO外貨
h3:DMM CFD

名称 | DMM CFD |
取引手数料 | 無料 |
取扱銘柄 | 株価指数CFD:8種類 商品CFD:6種類 |
レバレッジ | 株価指数CFD:10倍 商品CFD:20倍 |
取引ツール | DMMCFD PLUS DMMCFD STANDARD プレミアチャート スマホアプリDMMCFD DMMCFDスマホ(ウェブブラウザ型) |
公式サイト | ![]() 公式サイトはこちら |
DMM CFDは、創業27年目を迎え、27社のグループ企業を擁するDMMグループのDMM.com証券が提供するCFDサービスです。(2024年10月時点)
取り扱っている銘柄は株価指数CFDが8銘柄と商品CFDが6銘柄、あわせて14銘柄となっています。他社と比べると少なめですが、多くの投資家が注目している主要銘柄を厳選しており、これからCFDを始めたい方も安心して利用できるでしょう。
出金手数料、入金手数料、ロスカット手数料などあらゆる手数料が無料。取引手数料も無料で、FXと同じように取引時のスプレッドだけが取引コストになっています。
取引するほどポイントが貯まる「取引応援ポイントサービス(1ポイント=1円で現金化可能)」があるので、取引コストをつねに圧縮できます。
また、24時間対応の電話&メールサポートや、CFD業界初となるLINEアプリでの問い合わせ対応など、CFD初心者に嬉しいサポート体制を完備。これからCFDや投資を始めたい方も安心して始められる環境となっています。
IG証券

名称 | IG証券 |
取引手数料 | 無料 |
取扱銘柄 | 株式CFD:約12,000銘柄 株価指数CFD:約30銘柄 商品CFD:約70銘柄 債券先物CFD:約10銘柄 |
レバレッジ | 株式CFD:5倍 株価指数CFD:10倍 商品CFD:20倍 債券先物CFD:50倍 |
取引ツール | Webブラウザ版取引システム トレーディング・アプリ ProRealTimeチャート |
公式サイト | ![]() 公式サイトはこちら |
IG証券は取扱銘柄が17,000種類と豊富で、世界約31万人以上のトレーダーが選ぶCFD世界一の証券会社として有名です。
株式のCFDが12,000種類と割合が多く、証拠金維持率は20%〜となっています。
株式はIT、金融、自動車、ファッション、製薬、食品など幅広いCFD銘柄に投資でき、原油や金などの主要商品銘柄は円建てでも取引できます。
さまざまな銘柄でCFDを行いたい方は、まず口座開設しておくべきと言えるでしょう。
GMOクリック証券

名称 | GMOクリック証券 |
取引手数料 | 無料 |
取扱銘柄 | 株式CFD:約80銘柄 株価指数CFD:約30銘柄 商品CFD:約6銘柄 バラエティCFD:約15銘柄 |
レバレッジ | 株価指数CFD:10倍 商品CFD:20倍 株式CFD:5倍 バラエティCFD:5倍 |
取引ツール | GMOクリックCFD はっちゅう君CFD PLATINUM CHART |
公式サイト | ![]() 公式サイトはこちら |
GMOクリック証券は「店頭CFD取引金額シェア」国内1位の実績を持ち、GMOインターネットグループによって運営されているため安全性の高い証券会社です。
日経225や金スポットなど代表的な銘柄は取り扱っており、高度なチャート分析を行える「PLATINUM CHART」やワンクリックで発注可能なスピード注文機能「はっちゅう君」など優秀なツールも揃っているため、初心者から上級者までおすすめできます。
GMO外貨

名称 | GMO外貨 |
取引手数料 | 無料 |
取扱銘柄 | 株価指数CFD:約9種類 商品CFD:約10種類 バラエティCFD:約1種類 |
レバレッジ | 株価指数CFD:10倍 商品CFD:20倍 バラエティCFD:5倍 |
取引ツール | 外貨ex CFD |
公式サイト | ![]() 公式サイトはこちら |
GMO外貨(旧、外貨ex byGMO)はGMOクリック証券と同じくGMOインターネットグループが運営している証券会社で、スプレッドの狭さに定評があります。
ただ、他の証券会社と比較して取扱銘柄数は少ないので、ある程度証券取引に慣れていて取引する銘柄が決まっている方におすすめです。
日経225や米国NQ100など、代表的なCFD銘柄は取引できます。
CFDについてよくある質問
CFDについてよくある質問をまとめました。
ここで解決しない疑問についてはサイト内のCFD関連記事もご確認ください。
CFDにかかるコストは?
CFDで発生する主なコストは以下があります。
- スプレッド:買値と売値の価格差
- 金利調整額:翌日営業日に金利が付与/差し引かれる
- 価格調整額:CFDが参照原資産としている先物の限月を乗り換えることで発生する価格の調整額
- 権利調整額:参照原資産のコーポレートアクション(株式分割・配当金支払いなど)が行われると調整額が付与/差し引かれる
金利調整額と権利調整額はコストではなく利益として発生する場合もありますが、調整額はポジションを長く保有しているほど支払うリスクが高くなります。
低コストで取引したい方は日を跨がずに取引を終了させましょう。
追証がないCFD取引ができる証券会社はある?
追証がないCFDができる証券会社には「楽天証券」があります。
そもそも追証とは追加証拠金の略称で、追証がある場合は保有するポジションで損失が発生し証拠金維持率が100%を下回った場合、追加で証拠金を入金する必要があります。
追証がない場合は証拠金の入金をする必要はありませんが、ポジションが強制決済されるため損失は発生してしまうのです。
強制決済が起きると損失は発生しますが、証拠金を追加で入金して取引を継続するよりリスクは抑えられるので、初心者の方は追証がない証券会社で取引するのもよいでしょう。
CFD取引の税率が高いってホント?
CFDで得た利益に対する税率は、株式と同じく雑所得に区分され申告分離課税が適用されます。
税率は一律20.315%となっており、内訳は以下の通りです。
- 所得税15%
- 住民税5%
- 復興特別所得税0.315%
※復興特別所得税は東日本大震災からの復興措置のため、令和9年12月31日までの適用です。
また、CFDで損失が発生した際は確定申告時に損益通算や損失繰越控除を利用して税金を抑えられます。
CFDは短期トレード向きの取引【まとめ】
この記事のポイント
- CFDとは、売買の差額だけを行う取引方法
- CFDはリスクは証拠金以上の損失を被る可能性がある
- CFDのメリットは少額の資金からでも始められる
- CFDのデメリットはさまざまなコストが発生する
本記事では、CFDの概要やメリット・デメリット、主なリスクについてまとめました。
CFDは現物取引とは違い、下落相場でも利益を狙えたり少額取引から始められたりする便利な取引手法です。
ただ、その分レバレッジによるリスクを伴いコモディティや債券など株式投資とは異なる値動きをする金融商品もあるため、取引する金融商品の特徴を理解してから始めましょう。