この記事のポイント
- 金価格が上昇するのは「不確定要素」が市場に影響を与えた時
- 金価格が下降するのは「安定的要素」が市場に影響を与えた時
- 現在、非常に不安定な世界情勢のため金価格が高騰している
- 今後の金価格は高水準をキープする意見が多いが油断は禁物
「これからの金価格はどうなるのだろう？」
「金投資のタイミングはいつが最適なのだろう？」
こんなお悩みをお持ちではありませんか。
昨今、地政学的な不安やインフレ懸念から、金（GOLD）がセーフティアセットとして注目されています。
この記事では、金価格予想の最新トレンド、金価格の過去の推移、今後10年間の金価格予測、取引におすすめの証券会社の紹介まで、金投資に関する情報を詳しく解説します。
この記事を読めば、あなたの金投資戦略を立てるのに必要な知識が手に入り、投資の成功に一歩近づくことでしょう。
※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。
目次 ｰ Contents
金（GOLD）への投資はこんな人におすすめ！
金価格は世界的な経済状況や政治的な不安定さに左右され、安定した価値保存手段としての役割を果たしてきました。そのため、現在のような不確実な状況下では、金投資が注目を集めています。
では、金投資にはどんな投資家が向いているのでしょうか？
金投資はこんな人におすすめ！
■経済状況の変動に強い投資を求めている人
金はインフレやデフレ、経済の好不調に関わらずその価値を保つため、そのような人々にとって魅力的な選択肢となります。
■長期的な投資を考えている人
金は長期的な視点で見ると価値が安定しており、資産運用の一部として組み入れることが推奨されます。
■他の投資とのバランスを考えたい人
金投資は他の資産クラスとの相関性が低いため、ポートフォリオのリスク分散に役立ちます。
これらの特性から、金投資は多様な投資スタイルを持つ人々にとって有用な選択肢となっています。
本記事にも詳しく後述しますが、金投資におすすめの証券会社は以下になります。
【2023年最新】現状の金価格予想のトレンド
金投資において重要な一角を担うのが、市場の金価格予想です。
金価格の動向を把握することで、投資戦略を立てる参考になるだけでなく、投資のタイミングを見極める手がかりにもなります。
ここでは、2023年の最新トレンドとして、ニューヨークの見解、日本国内の見方、さらには先端技術であるAIによる金価格予想は可能なのかについて、幅広くご紹介します。
ニューヨークの金価格予想トレンド
<2023年のニューヨーク金価格予想POINT>
- FRBの利上げサイクルの終盤と金融環境の大きな変化
- 地政学リスクの上昇、特に長期化したウクライナ戦争と米中間の政治的摩擦
- 米新議会の膠着状態と連邦債務上限の問題
米国連邦準備制度（FRB）の利上げサイクルが終盤に入ると、金融環境は大きく変化します。一方で、利上げの最終到達点に関する不透明感が解消すると予想されています。
これにより、米ドル高を基調とした状況が一変、米景気後退懸念が高まり、安全資産としてのゴールドの見直しが進む可能性があるのです。
地政学的なリスクもまた金価格に影響を及ぼします。長期化したウクライナ戦争が新たな展開に移る可能性、米中間の政治的摩擦の高まりなどは、NY金価格に大きな影響を及ぼす要素です。
そして、ねじれ状態の米新議会と連邦債務上限の問題もまた、金価格の動きを左右する可能性があります。
2023年上半期に連邦債務上限が上限に達する見通しで、その引き上げを巡る議会の紛糾が懸念されています。この結果、政治的混乱が金価格の上昇要因となる可能性があるのです。
これらの要素を踏まえ、2023年のニューヨーク金価格予想は、前半と後半に2つの山をつける展開を予想しています。
市場環境の変化を理解し、適切な投資判断を下すことが重要となるでしょう。
日本の金価格予想トレンド
<2023年日本の金価格予想POINT>
- 金価格は為替や世界情勢など、複数の要素に影響を受ける
- 日本の金価格は、ドル建て金価格とドル円為替の両方の動きによって大きく影響を受ける
- 需要と供給のバランス、世界の金相場と為替の動き、そして専門家の意見が金価格予想の重要な要素となる
2011年から2023年現在にかけて、日本の金価格は急激に上昇し、高値をキープしています。これは、ドル建ての金価格が一定範囲にとどまる一方で、日本では円安が進行しているためです。
そのため、金価格の予測を立てるためには、ドル建ての金相場とドル円為替相場の情報を注視する必要があります。
また、国内の金価格予想について、専門家の意見は分かれています。
| ■金価格の上昇を予想する専門家の見解 |
| 中国やインドの急成長による金の需要増や、供給量の減少が上昇要因となると指摘しています。 |
| ■金価格が下落すると見る専門家の見解 |
| 米国の経済状況の改善や、投資家が他の投資先に資金を振り向けることを理由に挙げています。 |
2022年には、ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの影響で、金価格が過去最高を更新しました。しかし、2023年の金価格の動向はまだ不確定要素が多く、上昇要因と下落要因が複雑に絡み合っています。
したがって、現状では金価格予想には、慎重な分析とリスク管理が求められるでしょう。
【考察】AIによる今後の金価格予想は可能なのか？
近年、AIの活用が多岐に渡り広がっています。その中でも金融市場、特に金価格予想の領域での応用が進んでいます。
AIが金価格予想に用いられる一例として、FX業者のように全ての板情報をリアルタイムで活用する方法があります。これは、売り板と買い板の指値注文数が乖離するという需給の偏りをAIに学習させることで、金価格の短期的な変動方向を予測するものです。
さらに、AIの高速性・大量性・自動性・不休性・客観性・安定性を活かすことで、24時間フルタイムで相場を監視し、必要に応じて高速対応が可能になります。
しかし、AIが人間を上回る点がある一方で、AIにはフレーム問題が存在します。これはAIが、与えられたデータ以外の思考は全くできず、論理を飛躍させて発想することができないという問題です。
したがって、金利や物価といった金価格の基本的な変動要因を含む、FOMCや日銀の思考回路（金融政策のムード）を読み解くことは、中長期的な局面判断においては人間が有利となるでしょう。
要するに、AIによる金価格予想は可能であり、既に実用化が進んでいます。しかし、人間が持つ直感や経験による判断力を補完するツールとしての役割が大きいといえるでしょう。
これからの金価格予想においては、AIと人間の共同作業がより重要になると予想されています。
どんな時に金の需要が上がるのか？2023年前半までの金価格推移
金という資源は、通常時でも多様な目的で利用されますが、特定の状況下ではその需要が一層増大します。
その典型的な例が、経済の不安定さや戦争、パンデミックなどの不測の事態です。これらの状況は金価格に大きな影響を与え、通常時とは異なる市場の動きを引き起こします。
ここでは、過去の主な出来事や経済状況が金価格にどのような影響を及ぼしたのかを詳しく見ていきます。
それでは、まず2000年から2007年までの金価格の動向について見ていきましょう。
2000年から2007年までの金価格の動向
2000年から2007年までの期間を見ると、金価格はゆるやかながらも着実に上昇しています。この時期には2つの大きな出来事が、金価格に影響を及ぼしています。
その一つ目は、2000年に起こったドットコムバブルの崩壊です。この崩壊は経済的な不安を生み出し、投資家たちが安全な資産として金に目を向けるきっかけとなりました。
二つ目は、2000年代初頭から中盤にかけての金価格のゆるやかな上昇です。この期間中、金価格は一貫して上昇傾向にあり、金は堅調な投資対象となっていました。
それぞれの出来事が、具体的にどのように金価格に影響を及ぼしたのかを詳しく見ていきましょう。
ドットコムバブル崩壊後の金価格
ドットコムバブルとは、1990年代後半から2000年初頭にかけて、インターネット関連企業への過度な投資が泡（バブル）となり、その崩壊が経済全体に大きな影響を及ぼした事件です。
この崩壊は、特に株式市場に混乱をもたらし、多くの投資家が大損を出しました。その結果、多くの人々がより安全な投資先を求めて金へと目を向けるようになりました。
具体的に、海外ドル建ての金価格平均値を見てみましょう。
2000年は279.16ドルでしたが、2001年には若干下落して271.05ドルとなりました。しかし、その後は継続的に上昇を続け、2007年には695.91ドルにまで達しています。
これは、ドットコムバブルの崩壊後に金への需要が高まったことを示しています。
金価格のゆるやかな上昇
2000年代初頭から2007年までの期間、金価格はゆるやかな上昇傾向を示していました。この上昇は、ドットコムバブル崩壊後の金への需要増加と並行しています。
しかし、単にドットコムバブルの崩壊だけが金価格上昇の要因とは言えません。
この時期は、低金利政策が続き、経済の不安定さが増していたため、安全な資産としての金への需要が一層増えました。それに加え、新興国の経済発展による金ジュエリーへの需要増も金価格を押し上げる一因となりました。
その結果、2007年には、金価格は2000年の2.5倍以上となる695.91ドルにまで上昇したのです。
2008年から2011年：金価格の急騰とピーク
2008年から2011年という期間は、金価格が急騰し、そのピークを迎えた時期として注目されます。
2008年の海外ドル建ての金価格平均値は872.17ドルでしたが、その後の3年間でほぼ倍増し、2011年には1,572.34ドルに達しています。これは、サブプライムローン危機が影響しています。
サブプライムローン危機は、金融市場に大きな動揺をもたらし、投資家たちが安全資産である金へと資金を移動させました。さらに2011年には、金価格は史上最高値を更新するなど、この期間の金価格は非常に大きな変動を見せました。
サブプライムローン危機と金価格
2008年に世界を揺るがせたサブプライムローン危機は、アメリカの不動産市場から始まり、世界中に波及した経済危機でした。
この危機は、金融機関が不良な住宅ローンを抱え、その結果、多数の金融機関が破綻しました。その影響は金価格にも及び、2008年の金価格は、2007年と比較して約27%上昇しています。
経済が不安定な時期には、投資家たちはリスクの低い資産へと投資をシフトします。この中でも金は「セーフヘイブン（安全な避難所）」と呼ばれ、金価格は経済が不安定な時期に上昇する傾向があります。
そのため、サブプライムローン危機という深刻な経済危機が引き金となり、投資家たちが金へと資産を移行したことが、金価格の急激な上昇をもたらしました。
2011年に金価格が史上最高値を更新
サブプライムローン危機の影響は数年にわたって続き、その後の経済的な不安から、2011年に金価格は史上最高値を更新しました。
この年の金の価格は、一時1オンスあたり1,896.50ドルに達しました。
この急激な価格上昇の背景には、経済の不安定さだけでなく、インフレへの懸念や、アメリカの信用格付けの引き下げ、ユーロ圏の財政危機など、複数の要因が絡み合っています。
これらの要因により、投資家たちはより安全な資産である金へと投資をシフトし、その結果、金価格は史上最高値を更新したのです。
このような状況下でも、金はその価値を保つことができるため、金投資は経済の不透明さを背景に引き続き注目を浴びることとなりました。
2012年から2015年：金価格の一時的な下落
2011年の金価格が史上最高値を更新した後、2012年から2015年までの期間には、金価格は一時的に下落しました。この期間の金価格は一定の変動を示し、特に2013年には一時的に大きな下落が見られました。
ここでは、その時期の金価格下落の背景と、世界経済の安定が金価格に与えた影響について詳しく見ていきましょう。
金価格の一時的な下落の背景
2012年から2015年までの期間は、金価格が一時的に下落する状況が観測されました。
その背景には複数の要素が絡んでいます。主な要因として、世界的な金融政策の変化、金利の上昇、そして米ドルの強化が挙げられます。
2011年の金価格の史上最高値を背景に、多くの中央銀行が量的緩和策を縮小し、その結果、低金利から高金利へと政策が転換しています。これにより、金投資の利益性が低下し、金から他の投資へと資金が流れる傾向が見られました。
同時に、米ドルが強化されました。金価格は通常、米ドルに対して逆相関の関係を示すため、米ドルが強まると金価格は下落します。
2013年は特にその傾向が顕著で、米ドルの強化が金価格の一時的な下落を引き起こしたと考えられます。
世界経済の安定と金価格
この一時的な金価格の下落は、世界経済の安定化にも密接に関連しています。
世界経済が安定すると、一般的にはリスクへの懸念が減少し、金への投資需要が低下します。
この期間、各国がサブプライムローン危機後の経済回復に成功し、経済の不確実性が減少したことで、投資家たちはよりリスクの高い資産へと目を向けるようになりました。
具体的には、米国の失業率が低下し、ユーロ圏の債務危機も収束に向かうなど、マクロ経済の好転や、中国の経済成長も一定の安定性を取り戻しており、これらの要素が世界経済全体の安定に寄与したと考えられています。
これらの事情により、投資家たちは金といったセーフヘイブン（安全資産）から、株式や不動産などのリスク資産へと資金を移動させる傾向にシフトしていったのでしょう。
その結果、金価格は一時的に下落の兆しをみせています。
2016年から2023年：パンデミックとウクライナ情勢
2016年から2023年にかけての金価格の推移は、これまでのものとは一線を画しています。
この期間における金価格の動向は、全世界的なパンデミックとウクライナ情勢の影響が大きく作用しました。2016年からは金価格が緩やかに上昇し、2019年から2020年にかけてはCOVID-19パンデミックの影響で金価格は大幅に上昇しました。
一方で、2023年に入ってからはウクライナ情勢の緊張化が金価格に影響を与え、さらなる上昇を見せています。
パンデミックによる金価格の影響
COVID-19パンデミックが発生した2019年から2020年にかけての期間は、金価格における重要な局面となりました。
パンデミックの影響で経済活動が大きく制約され、市場の混乱が拡大したことは、まだ記憶に新しいかと思います。このような状況下で、投資家たちはより安全な投資対象として金に注目し、金の需要が急増。結果として、金価格は大幅に上昇しました。
特に、ロックダウン措置が全世界的に広がった2020年の第2四半期には、金価格は一時的に2000ドル/オンスを超えるなど、過去最高の価格を記録。
この事例からも、パンデミックのような危機が金価格に大きな影響を与えることは明白です。
ウクライナ情勢が金価格に及ぼした影響
2023年に入り、ウクライナとロシアの間で緊張が高まるとともに、金価格も引き続き上昇しました。この背景には、国際政治の不確実性という新たな要因が加わったことが挙げられます。
具体的には、ウクライナ情勢の緊迫化が引き起こす戦争のリスクにより、投資家たちは安全資産へと資金をシフト。結果として、金価格はさらなる上昇を見せました。
今後、この地域の緊張が解消されない限り、金価格は高値を維持する可能性が高いと見られています。
なお、今後の金価格の動向を予想する上では、ウクライナ情勢だけでなく、世界経済の動向や金利、為替レートなどの金価格に影響を与える要素全体を視野に入れることが重要です。
これらの要素が相互に絡み合い、金価格を左右していきます。
2000年から2023年までの金価格の全体的な推移と分析まとめ
21世紀に入り、金価格はさまざまな要素によって上下を繰り返してきました。これらの要素を見ることで、金価格の動きを理解し、その未来を予測するための有益な知識を得ることができます。
<金価格推移のPOINT>
- 世界的な経済危機は金価格を押し上げる
- 国際的な政治的不安定性も金価格の上昇要因
- 世界経済の安定化は金価格の下降要因
ドットコムバブルの崩壊やサブプライムローン危機、そしてCOVID-19パンデミックといった経済的な危機時には、金は安全資産として注目を集め、価格が急上昇。
それに対し、経済が安定しリスクが低下すると、金への投資需要が減少し、価格が下落する傾向が見られました。
また、ウクライナとロシアの間の緊張が高まるなど、国際的な政治的不安定性も金価格に影響を与えます。
このような状況は投資家に不確実性をもたらし、その結果、安全資産としての金への投資が増え、価格が押し上げられるのです。
これらの過去の動向から学び、現在と未来の金価格予想に適用する際のアドバイスとして、まずは経済の動向や国際的な政治状況を注視することが重要です。
また、金価格は多くの要素によって影響を受けるため、一つの要素だけに注目するのではなく、全体的な視野で情報をキャッチすることが重要になります。
暴落の傾向は？10年後の金価格相場予想
金価格の暴落を噂する声が上がっている中、金価格の未来をどのように見るべきなのでしょうか。
本セクションでは、10年後の金価格相場予想について、世界経済の動向、金の需給バランス、地政学的要素を探るとともに、それぞれが金価格に与える影響を分析します。
結論から申し上げると、金価格の未来を正確に予想するのは難しいです。
しかし、これらの要素を理解することで、金価格の変動要因に対する理解を深め、より良い投資判断を下すための知識を得ることができるでしょう。
世界経済の動向と金価格
世界経済の動向は金価格に大きな影響を与えます。
現在、世界の経済状況は新型コロナウイルスの影響で不安定な一面を見せており、それに伴い金価格は大きな変動を経験しています。
一方で、世界情勢のさらなる悪化が防げれば、短期的な視点では金価格は一度落ち着きを見せるかもしれません。しかし、その際にも為替の動向など、様々な要因を見極めることが重要となります。
以下では、今後の世界経済の動向について、さらに深堀りします。
今後の経済成長予測と金価格
近年の世界経済の動きは、一見安定しているように見えますが、その裏には多くの不安要素が存在しています。
IMF（国際通貨基金）の報告書によると、2023年の世界経済の成長率は2.8％と予測されていますが、その後は徐々に勢いを取り戻し、5年後には3.0％で落ち着くと見られています。
しかし、この予測は最近見られた金融部門の混乱が拡大しないことを前提としています。
この予測が現実となれば、安定した経済成長が予想されますが、それは必ずしも金価格の上昇を意味しないかもしれません。むしろ、経済の安定は通常、金の安全資産としての魅力を減少させ、金価格を下げる傾向にあります。
一方で、もし金融部門の混乱が拡大し、世界経済がハードランディングに陥れば、多くの投資家が金という安全資産へと逃避する可能性があり、金価格は上昇するでしょう。
インフレと金価格の関係性
インフレと金価格の間には、深いつながりが存在します。
一般的に、インフレが進むと金価格は上昇しやすいとされています。これは、インフレが進むと一般的に貨幣の価値が下落するため、価値保存手段として金に対する需要が増加するからです。
そのため、今後の金価格予測においてはインフレの動向が大きなキーファクターとなります。近年の世界経済はコロナ禍による経済刺激策の影響で、多くの国でインフレが懸念されています。この状況下では、金価格はさらなる上昇を見せる可能性があります。
それに対して、中央銀行がインフレ抑制策として金利を上げると、金利上昇による投資機会費用の増大により、金への投資は減少し、金価格は下落する可能性があります。
これらの因果関係を理解することで、経済指標の動向から金価格の将来を予測する一助となります。
したがって、金価格の予測を行う際には、各国のインフレ率や金利政策の動向を注視することが重要です。特に、主要な経済大国の政策変更は金価格に大きな影響を与えるため、注意深く見守るべきです。
金の需給バランスの予測
金価格の予測には、その需給バランスを理解することが不可欠です。金価格は、供給量と需要量の関係によって大きく左右されます。
このセクションでは、金の需給バランスが金価格にどのように影響を及ぼすかを詳しく見ていきましょう。
金の採掘量と金価格の相関
金価格と採掘量の間には密接な相関関係が存在します。
過去のデータに基づいて見ると、採掘量が増加すると金価格は低下し、採掘量が減少すると金価格は上昇するというパターンが見受けられます。これは、供給量の変動が金価格に直接的な影響を与えるからです。
現在の金の採掘量は年間約3,000トンで、地中に残っている埋蔵量は約5万トンと推定されています。このペースで採掘が進むと、既知の金の埋蔵量はおよそ10年後に枯渇する可能性があります。
一方で、新たな技術や価格変動によってまだ採掘されていない金鉱石が採掘可能になるかもしれません。例えば、海水中にも微量の金が存在しますが、現在の技術では経済的に採掘することは困難です。
しかし、将来的に新たな技術が開発され、海水から効率的に金を抽出できるようになると、供給量は大幅に増加し、金価格に影響を与えるでしょう。
また、金の産出国とその産出量も金価格に影響を与えます。2017年においては、中国が約440トンで最も多く金を産出していました。しかし、中国の環境規制強化により、近年は産出量がやや減少しています。
一方、産出量は少ないものの埋蔵量が豊富なオーストラリアや南アフリカなどは、将来的に産出量を増やし、金価格に影響を及ぼす可能性があります。
これらの要素を考慮すると、金の採掘量と金価格の相関関係は今後も続くと予想されます。
金の需要予測とその影響
金価格に影響を与えるもう一つの要素は金の需要です。金の需要は大きく分けて3つ、投資用途、宝飾品としての需要、そして工業用途となります。
| ■投資用途に関して |
| 金は伝統的にインフレヘッジとしての役割や不確実性が高まる際の安全資産としての役割を果たしてきました。したがって、金利の動向や経済状況の不透明感などが金の投資需要に影響を及ぼします。 |
| ■宝飾品としての需要について |
| 特に新興国の経済成長に伴い増加しています。例えば、インドや中国では金は伝統的に贈り物や儀式で使用されることが多く、経済成長とともに中間層が増えると、金の宝飾品への需要も増える傾向にあります。 |
| ■工業用途に関して |
| こちらの金の需要も無視できません。特に電子機器や医療機器に使用される金は、これらの産業の成長とともに需要が増加しています。 |
これらの需要の動向を予測し、それが金価格にどのように影響を及ぼすかを理解することで、将来の金価格予測に役立てることが可能です。
地政学的な要素による影響
地政学的要素は、金価格の動向に大きな影響を与える重要な要素の一つ。その主な理由として、金は投資家にとって不確実性の高い状況をカバーする安全資産とされているからです。
以下では、地政学的要素が金価格に及ぼす影響について詳しく解説します。
国際紛争と金価格の関係
地政学的な要素、特に国際紛争は、金価格に大きな影響を与えます。
投資家たちは通常、不確実性や恐怖が増すと、安全資産である金へと資金を移動させます。このため、国際的な紛争の発生は、金価格を急速に押し上げることがあります。
2022年のロシアとウクライナの紛争がこの傾向を如実に示しています。
この時、金価格は短期間で5%も増加しました。これは、戦争の可能性という大きな不確実性が、投資家の金への需要を引き上げた結果です。
紛争が経済全体に与える影響や、それに伴う通貨価値の下落、株価の急落などのリスクを避けるために、投資家は「安全資産」である金に逃避するのです。
その際、特に重要なのは、「紛争の進行と結果がどのようになるか予測不可能である」という不確実性です。
つまり、状況の不確定性こそが、金価格を押し上げる主要な要因となるのです。
金価格の予測を行う際には、これらの地政学的な要素を考慮に入れ、常にその動向を注視することが必要となります。
経済政策変動と金価格への影響
経済政策の変動は、投資市場に深く影響を与えます。具体的には、金利政策、通貨政策、財政政策などが、金価格に大きな影響を及ぼします。
| ■金利政策の影響について |
| 中央銀行が金利を上げると、その国の通貨価値が高まる傾向にあります。それに伴い、金価格は押し下げられることが一般的です。 その理由は、金利の上昇が新たな投資機会を生み出し、リスク資産への投資が増えるため、安全資産である金への需要が減少するからです。逆に、金利が下がると、金価格は上昇する傾向があります。 |
| ■通貨政策の影響について |
| 一般的に、中央銀行が通貨を発行する量を増やすと、インフレが生じ、それが金価格を押し上げます。インフレが起こると、通貨の価値が下落し、人々は価値が維持される金に投資を始めます。 |
| ■財政政策の影響について |
| 国や地域の経済を刺激するための政策が進められると、それが経済の活性化につながり、金価格に影響を与えます。 特に、経済刺激策の一環としての公共投資が増加すると、インフレ圧力が高まり、それが金価格を押し上げる可能性があります。 |
このように、経済政策の変動は、金価格に直接的な影響を及ぼす要素であり、金価格予測において重要な役割を果たします。
2023年から10年後までの金価格予測
<10年後の金価格予測で重要なPOINT>
- 経済政策の変動と金価格の関連性
- 金の採掘量と需要のバランス
- 地政学的な要素と金価格の相関性
これまで解説してきた各要素を考慮すると、2023年から2033年までの金価格予測は次のようになります。
世界経済の回復が進み、金利上昇やドルの信用回復などが見込まれるなら、一時的に金価格が下落する可能性も十分にあるでしょう。これは、リスク資産への投資が増えると、安全資産である金への需要が減少するためです。
しかし、長期的に見ると、金の採掘量には限界があり、一方で工業用としての需要は高まっています。これらの要素から、金の価値は下がることなく、むしろ上昇傾向が続く可能性が高いと考えられます。
さらに、地政学的な要素も金価格予測に大きな影響を及ぼします。特に、世界の安定が脅かされるような事件が発生すると、安全資産である金への需要は一気に高まります。
中国が台湾に軍事侵略を行った場合や、ロシアのウクライナに対する軍事戦略が終息するなど、世界的な緊張状況は金価格に影響を及ぼします。
経済政策の変動、金の採掘と需要のバランス、地政学的な要素を考慮すると、短期的な変動はあるものの、2023年から2033年の10年間では全体的な金価格の上昇傾向が続くと予想されます。
ただし、これはあくまで予想であり、経済や政治状況の変化により大きく変動する可能性もあることは注意してください。
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| その他の特徴 | 現物、積立の購入手数料が業界最安値 金の現物、積立取引の手数料の1％がTポイントもしくはPontaポイントで還元 特定保管による分別管理で、より安全に保管 |
| 公式サイト |  SBI証券の口座開設（公式サイト）はこちら |
手数料を重視する投資家にとって、SBI証券は非常に良い証券会社です。
SBI証券では、業界最低水準の取引手数料を提供し、投資家の利益を最大化します。手数料の低さは、特に頻繁に取引を行う投資家にとって大きなメリットとなります。
他にも、SBI証券ではリアルタイムの金価格情報を提供し、最新の市場動向を即座に把握することができます。
マネックス証券｜初心者でも安心のデモ機能！
| 証券会社名 | マネックス証券 |
| 金取引の手数料 | 現物購入、純金積立は買付代金の1.65%、金関連投資信託と金ETFは無料、金先物取引とCFDは取り扱いなし |
| 金取引の種類 | 現物購入、純金積立、金関連投資信託、金ETF、金先物取引（取り扱いなし）、CFD（取り扱いなし） |
| 対応銘柄数 | 金関連投資信託8銘柄、金ETF国内上場3銘柄 |
| 最低取引単位 | 現物購入、純金積立は1,000円以上1,000円単位または1g以上1g単位、金関連投資信託は100円以上、金ETFは1株以上 |
| レバレッジ | FX取引では最大25倍 |
| その他の特徴 | 現物、積立の購入手数料が業界最安値 サイト内で目標の重量までの期間をシミュレーションできる機能あり |
| 公式サイト |  マネックス証券の口座開設（公式サイト）はこちら |
はじめて金取引にチャレンジする方でも無理なく始められるのが、マネックス証券の一番の特長です。
その鍵となるのがデモ取引機能。リアルな取引を模擬体験できるこの機能により、初心者でも投資の基礎を身につけられるでしょう。
また、マネックス証券はユーザーの利便性を重視し、直感的な操作が可能な取引ツールを提供しています。更には充実したサポート体制も整っており、金取引における不明点や問題が生じた際でも安心です。
IG証券｜金CFDが豊富！
| 証券会社名 | IG証券 |
| 金取引の手数料 | スポット金の最小スプレッドは0.3 （ノックアウト・オプションも同様） |
| 金取引の種類 | 商品CFD期限なし（スポット）、商品CFD期限あり（先物）、金ETF、金関連銘柄株式CFD |
| 対応銘柄数 | FXの取り扱い通貨ペア数が100種類以上、株式CFDは約1万2,000銘柄、株価指数CFDは約40銘柄 |
| 最低取引単位 | スポット金の最低取引単位は100ドル（ミニ取引の場合は10ドル） |
| レバレッジ | FXは25倍、個別株は5倍、株価指数は10倍、商品は20倍 |
| その他の特徴 | ノックアウトオプションが利用可能 商品CFDでは実際に金そのものをやり取りせずオンライン取引可能 金ETFを利用することで金関連市場へ分散投資可能 金関連企業の株式取引可能 FXの取り扱い通貨ペア数が100種類以上と豊富 株式CFDと株価指数CFDの取り扱い銘柄数も充実 |
| 公式サイト |  IG証券の口座開設（公式サイト）はこちら |
金取引の中でも特に人気のあるCFD取引に注力しているIG証券。
IG証券の金CFD取引は、その豊富さとスムーズな取引体験で多くの投資家に支持されています。
IG証券では、金CFDでは売買の価格差（スプレッド）が非常に狭く、金価格のわずかな変動でも利益を追求することが可能です。
24時間取引可能なため、国際金市場の波を逃すことなく、自由に投資チャンスを掴むことが可能です。
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ロボアドバイザーのサービスとして預かり資産・運用者数で国内No.1、預かり資産1兆2,000億円突破という実績（2024年5月13日リリースより）を誇っており、「みんなが使っているサービスを利用したい」「投資に興味はあるけど若いうちは仕事に全力を注ぎたい」といった人たちに向いています。
長期間にわたる積立と分散投資を基本としており、利用者は初期設定のみで、後はロボアドバイザーが全自動で資産運用を実施。中長期間の運用を目的としたプログラムにより、短期的な市場の変動に左右されず、安定した資産形成を目指します。
投資先は世界中、1万以上の銘柄に分散投資します。金（ゴールド）を含めた複数の資産のポートフォリオを自動的に作ってリスクを分散させているため、中長期ほったらかしできるだけの安心感を得られるでしょう。
自動積立ならば月1万円から投資を始められます。
金価格予想に関するよくある質問
このセクションでは、金価格予想に関連する質問とその回答を紹介します。
金取引に関心のある方から寄せられる疑問を元に、具体的な情報についてFAQ方式で回答しているので、ぜひとも参考にしてください。
Q1.金価格が今後暴落する可能性はどれくらいですか？
金価格の暴落は多くの要素に影響されます。具体的には世界経済の状況、米ドルや日本円の価値、物価動向、世界情勢などが考えられます。
金価格が下落する可能性は、世界経済が好況で、米ドルが安く、日本円が高い場合、あるいは物価が下落しているとき（デフレーション）、世界情勢が平穏な状態にあるときに高まります。
Q2.2030年、2050年の金価格はどれくらいと予測されていますか？
長期的な金価格予想は様々な要素に依存しますが、具体的な価格を予測するのは困難です。
多くの専門家は、通貨価値の変動、経済状況、地政学的リスクなどを総合的に考慮して予想を行いますが、意見はわかれているのが現状です。
その時々に併せて投資スタイルを柔軟に変更しましょう。
Q3.海外と日本で金価格に違いはあるのか？
金価格は一般的に国際市場で形成され、全世界で共有される価格を基準にします。
しかし、それぞれの国での通貨価値、消費税率、取引手数料などによって実質的な販売価格は微妙に異なる可能性があります。
また、特定の国で金需要が急増するなどの事情が発生した場合、その国内での金価格が一時的に上昇する場合もあります。
Q4.金取引にはどれくらいの手数料がかかりますか？
金取引にかかる手数料は、取引所や証券会社によります。具体的な金額やレートは、サービス提供者のウェブサイトやカスタマーサービスに確認してください。
一部の証券会社では、取引量が一定量以上の場合、手数料が割引されるなどの優待サービスを提供している場合があるので、これについても忘れずにチェックすることをおすすめします。
Q5.2023年現在での金価格は過去と比較して高騰していますか？
2023年現在、金価格は一部の要因により高騰傾向にあります。世界経済の不安定さ、新型コロナウィルスのパンデミック、それに伴う各国の金融緩和政策などがその主な要因です。
また、スマートフォンやPCなどの電子機器の需要増加による金の工業用途への需要も価格を押し上げる一因となっています。過去の価格動向と比較すると、これらの要因が組み合わさり、金価格は全体的に上昇傾向にあります。
【まとめ】2023年は短期的には下落傾向だが長期的には上昇傾向予測
この記事のポイント
- 金価格が上昇するのは「不確定要素」が市場に影響を与えた時
- 金価格が下降するのは「安定的要素」が市場に影響を与えた時
- 現在、非常に不安定な世界情勢のため金価格が高騰している
- 今後の金価格は高水準をキープする意見が多いが油断は禁物
金投資に関する情報を多角的に解説しました。
金価格は経済の動き、金の需給バランス、地政学的な要素など、さまざまな要素によって影響を受けます。しかし、その中でも金は安定した価値を保持する特性から、セーフティーアセットとしての魅力は高まる一方です。
特に不安定な地政学的要素が増える今後、金への投資は一層の注目を浴びるでしょう。
今後の金価格については、経済状況や金の需給バランス、地政学的要素などを常に把握し、それらの情報を元に慎重な判断をすることが重要です。
また、適切な証券会社を選ぶことも金投資の成功には欠かせません。
本記事を、金投資に関する意思決定の一助として活用いただければ幸いです。
