
この記事のポイント
- QQQはNASDAQ100に連動するETF
- ナスダック100に投資する方法はQQQ以外にもある
- 長期で見れば今後も成長する可能性が高いが、短期的な動きには注意
- QQQに投資するなら大手ネット証券がおすすめ
情報技術などのテクノロジーは米国が最も得意とする経済分野です。ナスダック100は米国の中でも注目されるような先進的なテクノロジー企業や成長企業で構成されています。
そのため、ナスダック100指数に連動する米国ETFであるQQQ(インベスコ QQQ トラスト シリーズ1)は大きなリターンを求める投資家にとって魅力的な選択肢となります。
この記事ではナスダック100指数に連動するQQQはどのようなETFなのか、QQQやナスダック100に関連する他の銘柄に投資するにはどうすればよいのかを解説します。
さらに、将来的な成長が見込まれるナスダック100に連動する魅力的な商品についても紹介します。
これからの時代において、ナスダック100への投資はさらなる成長の可能性を秘めた魅力的な選択肢となるはずです。
目次 ー Contents
QQQとはどんなETF?
QQQはナスダック100指数(Nasdaq-100)に連動する米国ETFです。
ナスダック100指数は米国のNASDAQ証券取引所へ上場する銘柄の中で、金融機関を除いた時価総額の上位100社で構成されています。中心となるのは米国の主要なテクノロジー企業や成長企業で、日本でも有名なアップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)などが主要な銘柄となります。
ここでは、QQQの基本情報、上位構成銘柄やセクター割合、QQQのこれまでの株価などを解説します。
QQQの基本情報
名称 | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 |
基準価額(米ドル) | 336.45(2023/05/19) |
純資産総額(百万米ドル) | 173,936.02 (2023/04/28) |
分配金回数/年 | 4回 |
分配利回り | 0.65% |
経費率 | 0.20% |
QQQは分配利回りが0.65%で分配金(インカムゲイン)を目的とするETFではありません。経費率は0.2%となっており、例えばS&P500に連動するETFであるVOO(経費率:0.03%)のようなETFと比較するとコストがかかりますが、コストが高すぎるので投資を控えたほうがよいというレベルではありません。
QQQは純資産額が非常に大きく、売買代金ランキングでも常に上位になる人気銘柄です。ただし、基準価額が300ドルを超えているため、日本円に換算するとおよそ5万円の資金が必要になりますので、その点を覚えておくことは重要です。
QQQの構成銘柄構、セクター構成
QQQの構成上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカー | 銘柄 | 構成割合(%) |
---|---|---|
MSFT | マイクロソフト | 13.24 |
AAPL | アップル | 12.51 |
AMZN | アマゾン | 6.68 |
NVDA | エヌビディア | 5.62 |
GOOGL(※) | アルファベット(クラスA) | 4.18 |
GOOG | アルファベット(クラスC) | 4.13 |
META | メタ(旧フェイスブック) | 3.98 |
TSLA | テスラ | 3.20 |
AVGO | ブロードコム | 2.07 |
PEP | ペプシ | 1.92 |
※アルファベットとはグーグルのことで、議決権の有無により2つ(GOOGLとGOOG)に分かれています。実際には大きな違いはありません。
先ほど説明した通り、QQQの上位銘柄は日本でも有名な企業が並んでいます。アップルやアマゾンなど、スマホやオンラインショッピングなど日常生活の中でなくてはならないものといえますね。
QQQに投資するメリットは、このような成長企業にまとめて投資できるため、大きな成長を期待できる点にあります。
続いてセクター構成を見てみます。セクターとは日本でいう「業種」のようなものです。
セクター名称 | 構成割合(%) |
---|---|
情報技術 | 58.75 |
一般消費財 | 19.11 |
ヘルスケア | 6.24 |
資本財 | 4.81 |
通信サービス | 4.6 |
生活必需品 | 4.03 |
公共事業 | 1.15 |
エネルギー | 0.63 |
未分類 | 0.24 |
素材 | 0.23 |
不動産 | 0.21 |
これを見てわかる通り、情報技術セクターの割合が約60%を占めているのがQQQの大きな特徴です。
マイクロソフト、アップル、エヌビディアといった個別銘柄構成上位銘柄はほとんどが情報技術セクターの企業です。
一般消費財セクターが2番手にきているのは、アマゾンがこのセクターに該当していることが大きい要因です。
米国が得意とする情報技術セクターを中心にしており、日本でも馴染みがある成長企業が多く構成されていることがよくわかる結果となっています。
QQQの株価チャート
図表1の過去5年間の株価チャートを見てみると、QQQ(赤線)の株価はおよそ2倍に上昇しています。上昇・下落ともに変化の幅が大きく、S&P500(青線)と比較すると、その差がはっきりと出ています。

変化の幅が大きいということは、下落時は損失が大きくなりやすいという点を理解しておく必要があります。
過去5年間を見るとQQQはS&P500のリターンを上回っていますが、図表2の通り、2022年だけに注目すると大きく下回ります。

また、先ほどQQQは分配金がそれほど多くないと紹介しました。そのため、分配金まで考慮したトータルリターンで比較するとQQQとS&P500の差はやや小さくなります。

QQQの分配金
QQQの分配金は四半期ごとに支払われます。権利落ち日は3月、6月、9月、12月の第3金曜日の翌営業日となっています。過去の分配金実績は以下の通りです。
年 | 分配金合計 | 増配率(前年比) |
---|---|---|
2023 | 0.47223 | – |
2022 | 2.13506 | 25.83% |
2021 | 1.69679 | ▲2.29% |
2020 | 1.73652 | 9.80% |
2019 | 1.58159 | – |
ただし、QQQはインカムゲイン(分配金)を狙うよりもキャピタルゲイン(株価上昇)を目的とするETFですので、分配金はそれほど重要視する必要はありません。
ナスダック100に関連するその他の投資商品
ナスダック100指数に関連する商品はQQQだけではありません。
国内投資信託でもQQQに連動する商品もあります。また、日本ではレバナス(レバレッジをかけたナスダック100指数に連動する商品)が人気です。
ナスダック100のレバレッジ型の商品は、国内市場でも米国ETFでも投資できます。
【投資信託】ニッセイNASDAQ100インデックスファンド
商品種類 | 国内投資信託 |
基準価額 | 11,275 |
純資産総額(百万円) | 1,731 |
信託報酬手数料 | 0.2035% |
設定日 | 2023/3/31 |
対象インデックス | ナスダック100指数 |
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは設定日が2023/3/31で運用を開始したばかりの投資信託国内投資信託です。
国内投資信託でNASDAQ100指数に連動する商品の多くがおよそ0.4%以上の信託報酬手数料率ですので、それと比較すると低コストで運用できるので今後注目したいファンドです。
為替ヘッジ無しの商品ですので、為替の影響を受ける点に注意が必要です。
円安に動けばリターンが大きくなりますが、円高に動けばナスダック100指数が上昇しても損失が発生する可能性もあります。
【投資信託】iFeeレバレッジ NASDAQ100
商品種類 | 国内投資信託 |
基準価額 | 24,442 |
純資産総額(百万円) | 198,348 |
信託報酬手数料 | 0.99% |
設定日 | 2018/10/19 |
対象インデックス | ナスダック100指数の2倍の値動き |
大和アセットマネジメントが運用している国内屈指の人気を誇るレバナス(愛称)です。
ナスダック100指数の日々の値動きの2倍を目指します。
レバレッジ型の商品は日々の値動きのx倍の動きをするため、最終リターンがx倍ではない点に注意が必要です。
この商品は為替ヘッジありの商品なので、為替の影響を抑えることができますが、その分も含めて信託報酬などのコストが高い点にも注意してください。
(為替ヘッジは為替リスクを完全に排除できるものではありません)
【国内ETF】ifree ETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)(2840)
商品種類 | 国内ETF |
基準価額 | 17,715 |
純資産総額(百万円) | 1,080 |
信託報酬手数料 | 0.22% |
設定日 | 2022/12/3 |
対象インデックス | ナスダック100指数 |
国内ETFでナスダック100指数に連動する商品です。
ETFらしく信託報酬手数料率が低めに設定されています。対象がナスダック100で為替ヘッジ無しの商品ですので上で紹介した投資信託と中身は変わりません。
投資信託ではなくETFで取引したいという人向きの商品です。
【海外ETF】TQQQ(プロシェア ウルトラプロ QQQ ETF)
商品種類 | 米国ETF |
基準価額(米ドル) | 31.74 (2023/05/19) |
純資産総額(百万米ドル) | 13,623.44 (2023/04/28) |
経費率 | 0.86% |
設定日 | 2010/2/9 |
対象インデックス | ナスダック100指数の3倍の値動き |
TQQQはナスダック100指数の3倍の値動きを目指すレバレッジ型のETFです。経費率が1%弱ですので保有コストは高めとなっています。日々の値動きの3倍の動きをするため、大きなリターンが期待できる反面、損失が大きくなる可能性もあります。
図表5は過去5年間のQQQ(赤線)とTQQQ(青線)の比較です。2020年のコロナ禍以降大きく上昇していますが、2022年の1年間では大幅に下落しました。

レバレッジ型や、次に紹介するインバース型のETFや投資信託は長期投資には不向きな商品ですので、保有するなら比較的短期の運用のほうが適しています。
【海外ETF】SQQQ(プロシェア ウルトラプロ ショート QQQ ETF)
商品種類 | 米国ETF |
基準価額(米ドル) | 25.56 (2023/05/19) |
純資産総額(百万米ドル) | 5,657.41 (2023/04/28) |
経費率 | 0.95% |
設定日 | 2010/2/9 |
対象インデックス | ナスダック100指数の-3倍の値動き |
SQQQはナスダック100指数の-3倍の値動きとなるインバース型のETFです。インバース型というのは対象インデックスの逆の値動きになるような商品で、ベア型(レバレッジ型はブル型)とも呼ばれます。
SQQQはナスダック100の-3倍逆向きに動くため変化が非常に大きい商品です。ナスダックは当然ですが、米国株式の代表的なインデックスであるS&P500とも逆の動きをすることが多いため、リスクヘッジの目的で保有することができます。
ただし、TQQQと同様にSQQQは長期保有には不向きな商品です。投資初心者の方にとっては難易度の高い商品となりますので、投資には注意が必要です。
QQQのメリットとデメリット
QQQは米国株式市場全体というよりも、投資先を絞った商品です。
情報技術セクターに偏った投資はメリットとデメリットの両方を持ち合わせています。
QQQへ投資するメリット
QQQは上でも紹介したように、アップルやアマゾン、マイクロソフトといったすでに日常生活に欠かせないような企業へ投資することになります。さらにナスダック市場は技術革新や成長分野の中心となる銘柄に投資できる可能性が高いといえます。
実際にこの10年でナスダックは大きく成長してきました。テクノロジー分野の需要が高まれば今後も成長が期待できるETFであることは間違いありません。
QQQへ投資するデメリット
QQQの一番のデメリットは、景気後退時など株式市場全体の下落に対するリスクです。実際、2022年にはQQQはS&P500よりも大幅に下落しました。
ナスダック100はグロース銘柄が多く、時には株価が実態よりも高い水準(高PERの状態)になっていることもあります。このような場合、すでに成長が織り込まれていることが多く株価上昇が制限される可能性があります。
また、分配利回りが低いため、株価の上昇が限定的な場合にはリターンがほとんど得られず、投資の効果を実感しにくいかもしれません。
QQQは買うべきか?(2023年5月時点)
結論としては「QQQへの投資は短期的には注意が必要だが、長期的な視点では魅力的である」と言えそうです。QQQへの投資を検討する際には、ご自身の投資目標やリスク許容度に基づいて判断してください。
NASDAQ100はグロース株を多く組み入れているので、米国株式市場全体が下落したときには大きな影響を受けやすい傾向があります。図表6の通り、米国では今後利下げが始まることが予想され、リセッション(景気後退)が起こる可能性も考えられます。このような状況ではQQQへの投資はリスクが高まるといえます。

しかし、情報技術セクターは景気後退からの回復期では比較的早いタイミングで恩恵を受けやすいセクターです。また、情報技術セクター自体が米国が最も得意とするセクターであるため、長期的には上昇する可能性は高いといえます。
QQQに投資するには
最後に、QQQへの投資方法を紹介します。
まず、QQQだけでなく米国株や米国ETFに投資するには、外国株式取引口座が必要です。これは通常の特定口座や一般口座とは別に口座開設が必要になります。
QQQを取引するときには、大手ネット証券を利用するのがおすすめ。
楽天証券やSBI証券、マネックス証券といった大手ネット証券では米国ETFの買付手数料無料銘柄が設定されており、この3社ではQQQは買付手数料無料対象銘柄となっています。(2023年5月現在)
SBI証券

投資信託 | 2638本 |
つみたてNISA | 193本 |
外国株 | 米国株(5500銘柄超) 中国株含め9か国 |
IPO実績(2022年) | 89社 |
ポイント | Tポイント Vポイント Pontaポイント dポイント JALポイント |
その他のサービス | 住信SBIネット銀行との連携が便利 |
SBI証券はどこの証券会社を利用したらよいか迷っている人におすすめできるネット証券です。取り扱い銘柄数が多く、投資信託数、米国株銘柄数、IPO実績などほとんどの商品が証券会社の中で最大規模の取扱数となっています。
さらに、SBI証券では債券や先物、FXなど、取引できない金融商品はほとんどありません。
また、SBI証券を利用するときには住信SBIネット銀行との連携によるSBIハイブリット預金が便利。QQQを外貨決済(※)で購入する場合、住信SBI銀行での外貨購入からSBI証券への外貨送金、QQQの購入まですべて自動で行うことも可能です。
SBI証券を利用するのであれば、あわせて住信SBIネット銀行を利用することも検討してみてはいかがでしょうか。
※外貨決済は米ドルを自分で調達して購入する方法です。住信SBIネット銀行での米ドル調達コストが低いため、SBI証券で円貨決済(1ドルあたり25銭)するよりも為替コストを抑えることができます。
楽天証券

投資信託 | 2624本 |
つみたてNISA | 190本 |
外国株 | 米国株(4900銘柄超) 中国株含め6か国 |
IPO実績(2022年) | 65社 |
ポイント | 楽天ポイント |
その他のサービス | 楽天銀行や楽天カードなど楽天グループサービスを利用するのがお得 |
楽天証券の大きな特徴は、楽天グループサービスを利用することでメリットが大きくなる点です。そのため、楽天経済圏を利用している人には特におすすめの証券会社と言えます。
楽天銀行と連携(マネーブリッジ)して、楽天カードのクレカ積立と楽天キャッシュでの買付を行うことにより、SPUでポイントアップすれば楽天証券での取引だけでなく楽天市場でのポイントにもメリットが…といったように、グループサービスをうまく利用することが楽天証券をうまく利用する秘訣です。
また、楽天証券は2023年4月17日から単元未満株(かぶミニ)の取引が可能になりました。これまでは単元未満株の取引ができなかったため、少額しか投資資金がない人にとっては利用しにくい証券会社でしたが、この変更により、少額投資家でも利用しやすい証券会社となりました。
マネックス証券

投資信託 | 1336本 |
つみたてNISA | 167本 |
外国株 | 米国株(5000銘柄超) 中国株 |
IPO実績(2022年) | 61社 |
ポイント | マネックスポイント |
その他のサービス | 米国株取引に強く、銘柄スカウターなど投資に役立つサービスが豊富 |
マネックス証券は、米国株や米国ETF取引を希望する人におすすめできる証券会社の一つ。
QQQ以外にも、買付手数料無料の米国ETFの銘柄が豊富に取り揃えられています。
特にグローバルX社の商品は数多くの買付無料銘柄に指定されており、同社で人気のあるQYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)なども買付手数料無料で取引できます。
また、2023年5月現在、マネックス証券では買付時の為替手数料が無料となっています。これは他の大手ネット証券にはない特典であり、余分なコストを削減する上で大きなメリットと言えます。
さらに、マネックス証券の口座を保有していると、無料で銘柄スカウターという分析・スクリーニングツールを利用できます。
銘柄スカウターは、分析可能な期間や使いやすさ、内容の面で他の証券会社が提供するツールと比べても優れており、投資を行う際にはぜひ活用してもらいたいツールです。
外国株式取引口座を開設すれば、銘柄スカウターの米国版も利用できます。
IG証券

IG証券はQQQなどの米国ETFをCFDで取引できます。
CFDとは差金決済(Contract For Difference)のことで、現物の取引をせずに取引開始時と終了時の価格差により決済が行われるデリバティブ取引の一種です。
ETFをCFDで取引する場合、最大5倍までレバレッジを利用することができるため、少額の資金でも効率的に投資することができます。
さらに、IG証券ではノックアウトオプションやバイナリーオプションなど人気のオプション取引が利用できます。
IG証券は、口座管理方法や取引ツールが少々独特であり、ある程度の慣れが必要ですが、CFD、オプション、FXなど取引可能な金融商品が豊富なうえ、取扱銘柄数も非常に多いため、上級者になっても満足できる証券会社です。
【まとめ】QQQに投資するなら大手ネット証券がおすすめ
この記事のポイント
- QQQはNASDAQ100に連動するETF
- ナスダック100に投資する方法はQQQ以外にもある
- 長期で見れば今後も成長する可能性が高いが、短期的な動きには注意
- QQQに投資するなら大手ネット証券がおすすめ
QQQは米国の特徴的なテクノロジー企業や成長企業に投資できる米国ETFです。これらの企業は技術革新により将来の需要が見込まれるため、長期的な投資に魅力があります。
ただし、米国株式市場が下落した場合には影響を受けやすいため、短期的な動きには注意が必要です。自身のリスク許容度を考慮し、投資するかの判断をしてください。
大手ネット証券の中にはQQQを買付無料で取引できる会社もありますので、投資をする際に利用するのもおすすめです。