
この記事のポイント
- 本当に今買うべきなのは「割安」な株銘柄
- 割安とは、企業の価値や業績に対して株価が安いことを指す
- 株価指標だけを見て選ぶと失敗しやすい
- 成長性や利益率、株主還元などをチェック
本記事では、今買うべきおすすめの株銘柄について紹介します。
買うべき銘柄は投資目的によっても異なりますが、いずれの場合でも初心者投資家が意識したいのは「本当の意味で割安か」という点です。
一般的に、期待が集まっている株銘柄は、過度に割高になっているケースも少なくありません。このような株に手を出してしまうと投機的な取引となり、大きな損失につながるリスクが高まります。
この記事を最後まで読めば、銘柄の選び方や探し方、あなたの投資スタイルに合った株銘柄まですべてわかります。特に初心者の方は参考にしてください。
※この記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
目次 ー Contents
今買うべき?安い株銘柄ランキング15選【目的別】
今買うべき株銘柄を選ぶ際は、単に株価が安い「ボロ株」ではなく、価値に対して割安な株がおすすめです。
誰もが知る投資家・ウォーレンバフェットの師といわれるベンジャミングレアムは、自身の著書で次のように述べています。
投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。
出典:賢明なる投資家
当記事でも、彼の基準を軸に初心者が今買うべき株銘柄をまとめました。
もし少額から取引したい人でも、ミニ株で投資ならほとんどの銘柄を数千円から取引できるため、資金的な部分は気にする必要がありません。
これから上がる?高成長の株式5選
まずは、高成長の割に安い株を選定しました。
- SBI HD(8473)
- GENOVA(9341)
- チャーム・ケア・コーポレーション(6062)
- マネジメントソリューションズ(7033)
- ARE HD(5857)
株銘柄 | SBI HD (8473) | GENOVA (9341) | チャーム・ケア・コーポレーション (6062) | マネジメントソリューションズ(7033) | ARE HD (5857) |
---|---|---|---|---|---|
セクター | 証券業 | サービス業 | サービス業 | サービス業 | 非鉄金属 |
株価指標 | PER:14.23倍 PBR:0.98倍 | PER:13.76倍 PBR:4.45倍 | PER:15.98倍 PBR:3.15倍 | PER:18.06倍 PBR:7.14倍 | PER:11.93倍 PBR:1.24倍 |
配当利回り | 3.89% | 2.07% | 1.66% | 1.02% | 3.91% |
稼ぐ力 | 売上成長率:111.33% 営業利益率:44.52% | 売上成長率:491.76% 営業利益率:25.19% | 売上成長率:283.82% 営業利益率:10.21% | 売上成長率:641.86% 営業利益率:14.0% | 売上成長率:335.11% 営業利益率:4.86% |
資本の健全性 | 自己資本比率:- | 自己資本比率:70.5% | 自己資本比率:34.8% | 自己資本比率:59.8% | 自己資本比率:- |
紹介する株銘柄は、いずれも売上が右肩上がりで伸びていて営業利益率も高いです。したがって、今後も株価が伸びていく可能性があります。
事業内容も魅力がありますが、その分ライバルとなる競合他社も多いので、比較することが大切です。
SBI HD(8473)
セクター | 証券業 |
株価指標 | PER:14.23倍 PBR:0.98倍 |
配当利回り | 3.89% |
稼ぐ力 | 売上成長率:111.33% 営業利益率:44.52% |
資本の健全性 | 自己資本比率:- |
SBI HDは、事業内容が程よく分散されているのが魅力です。
メイン事業は5つに分かれており、海外への継続的な投資も実施しています。また、多彩なグループ企業を持つのも特徴です。
直近決算では256%の増益を達成しており、各セグメントで売上を伸ばしています。
配当利回りも高めですが、キャッシュフローはやや不安定で、配当性向は高めです。したがって、減配リスクも少しあることに留意しておきましょう。
GENOVA(9341)
セクター | サービス業 |
株価指標 | PER:13.76倍 PBR:4.45倍 |
配当利回り | 2.07% |
稼ぐ力 | 売上成長率:491.76% 営業利益率:25.19% |
資本の健全性 | 自己資本比率:70.5% |
GENOVAは将来性のある事業内容が魅力です。
医療デジタル化を推進する企業で、特に「オンライン診療支援」というサービスが人気を博しています。サスティナビリティにも配慮されており、時代に沿っている企業です。
参考:GENOVA公式
一方、配当利回りは控えめです。配当は出し始めたばかりなので、将来的には増益となる可能性もあるでしょう。
チャーム・ケア・コーポレーション(6062)
セクター | サービス業 |
株価指標 | PER:15.98倍 PBR:3.15倍 |
配当利回り | 1.66% |
稼ぐ力 | 売上成長率:283.82% 営業利益率:10.21% |
資本の健全性 | 自己資本比率:34.8% |
チャーム・ケア・コーポレーションは、老人ホームを首都圏、近畿圏で展開する企業。高齢化社会が進む日本では今後も事業を拡大しやすいでしょう。
介護事業に参入する競合他社も多いですが、同社では「ホテルのような老人ホーム」というコンセプトで差別化を図っています。
財務としては「自己資本比率」が30%以上あり、流動資産の割合も多いため、倒産しにくい体制です。資産の内訳としては、老人ホームなので不動産が多く、保有資産の価値は落ちにくいといえます。
マネジメントソリューションズ(7033)
セクター | サービス業 |
株価指標 | PER:18.06倍 PBR:7.14倍 |
配当利回り | 1.02% |
稼ぐ力 | 売上成長率:641.86% 営業利益率:14.0% |
資本の健全性 | 自己資本比率:59.8% |
マネジメントソリューションズは、これからの日本企業に必要なサービスを提供する企業です。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に関するサービスを提供しており、ソフトウェア、研修プログラムなどがメインのサービスです。三菱重工などの大手とも取引しており、一定の地位を得ているのがポイントです。
参考:実績紹介 | 会社情報 | マネジメントソリューションズ(MSOL)
直近の決算では38.2%の増益となりました。人材採用に積極的で、現預金などの流動資産も多く、将来性・財務の健全性の両面で安定感があります。
ARE HD(5857)
セクター | 非鉄金属 |
株価指標 | PER:11.93倍 PBR:1.24倍 |
配当利回り | 3.91% |
稼ぐ力 | 売上成長率:335.11% 営業利益率:4.86% |
資本の健全性 | 自己資本比率:- |
ARE HDは、時代に見合ったサスティナブルな企業です。
リユース、再生、産業廃棄物処理などを手がける企業で、特に「Eスクラップ」のリサイクル技術に強みがあります。日本だけでなく韓国、マレーシアにも事業展開しています。
ただし、資源関連企業なので景気によって株価が左右されやすく、キャッシュフローも不安定です。直近決算では、ラジウムおよびロジウムの価格低迷により減益となりました。
財務健全な優良株5選
この項では、安全性が高く割安な株を選定しました。
- NTT(9432)
- INPEX(1605)
- エスビー食品(2805)
- 大塚 HD(4578)
- クリヤマ HLDG(3355)
株銘柄 | NTT (9432) | INPEX (1605) | エスビー食品 (2805) | 大塚 HD (4578) | クリヤマ HLDG (3355) |
---|---|---|---|---|---|
セクター | 情報通信業 | 鉱業 | 食料品 | 医薬品 | 卸売業 |
株価指標 | PER:9.86倍 PBR:1.28倍 | PER:9.09倍 PBR:0.64倍 | PER:7.96倍 PBR:0.74倍 | PER:28.61倍 PBR:1.39倍 | PER:6.73倍 PBR:0.61倍 |
配当利回り | 3.47% | 3.27% | 1.67% | 1.87% | 3.46% |
稼ぐ力 | 売上成長率:- 営業利益率:13.45% | 売上成長率:231.82% 営業利益率:55.56% | 売上成長率:87.11% 営業利益率:6.58% | 売上成長率:- 営業利益率:15.42% | 売上成長率:132.41% 営業利益率:6.03% |
資本の健全性 | 自己資本比率:33.3% | 自己資本比率:62.5% | 自己資本比率:51.8% | 自己資本比率:72.21% | 自己資本比率:61.4% |
いずれも自己資本が潤沢で、売上も安定しています。過去に減配したケースも少ないため、価格変動が小さく初心者向けです。
ただし、安定性の高い銘柄は、割安のまま放置されやすいという一面もあります。株価が伸びる要因はどこにあるのか、事業内容もしっかりチェックしましょう。
NTT(9432)
セクター | 情報通信業 |
株価指標 | PER:9.86倍 PBR:1.28倍 |
配当利回り | 3.47% |
稼ぐ力 | 売上成長率:- 営業利益率:13.45% |
資本の健全性 | 自己資本比率:33.3% |
NTTは、事業の分散性・安定性が魅力の株銘柄です。
4つのセグメントを持ち、通信やグローバルソリューション、不動産、さらにエネルギーなど幅広く事業展開しています。メインとなる「通信」は現代におけるインフラでもあり、安定性は高いです。
成熟企業なので成長率は低めですが、徐々に売上を伸ばしています。1株あたりの配当金も右肩上がりなので、長期的には利益を狙えるでしょう。
直近決算でもわずかに増益となりました。懸念点として、流動資産が少ないため、短期的に資金繰りが危うくなるリスクもあります。
INPEX(1605)
セクター | 鉱業 |
株価指標 | PER:9.09倍 PBR:0.64倍 |
配当利回り | 3.27% |
稼ぐ力 | 売上成長率:231.82% 営業利益率:55.56% |
資本の健全性 | 自己資本比率:62.5% |
INPEXは、営業利益率の高さが魅力です。
石油の採掘や生産、運搬などを手がける企業で、企業の稼ぐ力を示す「営業利益率」は50%を超えています。キャッシュフローを見ると、事業投資にも積極的で、力強い経営だといえるでしょう。
参考:事業案内 | INPEX
ただし、エネルギー関連セクターなので景気に左右されやすく、一定のリスクがあります。石油価格や輸送コスト、および為替などの変動に影響を受けるため、他の銘柄にも投資しながらバランスを取ることが大切です。
直近では減配した年もありますが、長期的に見ると配当は右肩上がりです。
エスビー食品(2805)
セクター | 食料品 |
株価指標 | PER:7.96倍 PBR:0.74倍 |
配当利回り | 1.67% |
稼ぐ力 | 売上成長率:87.11% 営業利益率:6.58% |
資本の健全性 | 自己資本比率:51.8% |
エスビー食品は、業種自体の安定性が魅力です。
香辛料、調味料などの製造・開発を手掛けており、国内初のカレー粉を製造した企業でもあります。食品は生活必需品なので、需要が安定しているのが魅力です。
財務も安定しており、自己資本は徐々に上昇しています。財務体質については、換金できる資産が多いため黒字倒産にもなりにくいです。
一方で成長率は低く、キャッシュフローを見る限り投資にも消極的です。直近は節約志向の高まりにより減益となりました。
大塚 HD(4578)
セクター | 医薬品 |
株価指標 | PER:28.61倍 PBR:1.39倍 |
配当利回り | 1.87% |
稼ぐ力 | 売上成長率:- 営業利益率:15.42% |
資本の健全性 | 自己資本比率:72.21% |
大塚 HDは、業界で高いシェアを誇るのがポイントです。
自動車・建築の素材や化学品、医薬品などの運輸を事業内容としており、国内製薬会社では売上2位です。
参考:その他の事業|4つの事業と研究開発|事業情報|大塚ホールディングス株式会社
特に「精神病薬」が強く、直近では営業利益が20%増加しています。さまざまな精神病薬の売り上げが伸びたことが要因です。
参考:大塚ホールディングス 2024年12月期 第1四半期決算短信
クリヤマ HLDG(3355)
セクター | 卸売業 |
株価指標 | PER:6.73倍 PBR:0.61倍 |
配当利回り | 3.46% |
稼ぐ力 | 売上成長率:132.41% 営業利益率:6.03% |
資本の健全性 | 自己資本比率:61.4% |
クリヤマ HLDGは幅広い事業内容が魅力です。
ゴム、樹脂製品などを生産しており、主に産業資材やスポーツ・建材の材料、アパレルなど多分野に応用できます。
グローバルに事業展開しており、北米・欧州・南米などで活躍しています。円安の恩恵も受けやすいでしょう。
一方で、素材産業なので株価はやや不安定です。業績も一進一退で、長期的に見るとほぼ横ばいとなっています。
高配当で長期保有できる優良株株銘柄5選
次に、配当性向が高く割安な銘柄を選定しました。
- 電源開発(9513)
- 住友倉庫(9303)
- ジャックス(8584)
- 明和地所(8869)
- VT HD(7593)
株銘柄 | 電源開発 (9513) | 住友倉庫 (9303) | ジャックス (8584) | 明和地所 (8869) | VT HD (7593) |
---|---|---|---|---|---|
セクター | 電気・ガス業 | 倉庫・運輸関連業 | その他金融業 | 不動産業 | 小売業 |
株価指標 | PER:5.94倍 PBR:0.38倍 | PER:16.46倍 PBR:3.87倍 | PER:7.02倍 PBR:0.72倍 | PER:7.49倍 PBR:0.65倍 | PER:8.87倍 PBR:0.82倍 |
配当利回り | 3.96% | 3.87% | 4.37% | 4.5% | 4.89% |
稼ぐ力 | 売上成長率:128.71% 営業利益率:5.54% | 売上成長率:103.13% 営業利益率:7.03% | 売上成長率:- 営業利益率:14.51% | 売上成長率:158.09% 営業利益率:5.95% | 売上成長率:150.79% 営業利益率:3.94% |
資本の健全性 | 自己資本比率:35.0% | 自己資本比率:58.4% | 自己資本比率:6.1% | 自己資本比率:25.7% | 自己資本比率:26.7% |
いずれも1株あたりの配当が高く、株価も控えめなので、相対的に配当利回りが高くなっています。
前提条件として、高配当株は成熟企業が多いため成長率は低めです。事業内容や継続性もチェックしましょう。
電源開発(9513)
セクター | 電気・ガス業 |
株価指標 | PER:5.94倍 PBR:0.38倍 |
配当利回り | 3.96% |
稼ぐ力 | 売上成長率:128.71% 営業利益率:5.54% |
資本の健全性 | 自己資本比率:35.0% |
電源開発はインフラに関わる企業なので安定性があります。
主に、水力や風力、地熱発電などを手掛ける企業です。電力は生活に必要不可欠なので、需要が安定しています。
その裏付けとしてキャッシュフローは安定しており、収益は右肩上がりです。直近では大きく配当利回りがアップしました。
ただし、燃料価格などに左右されやすい一面もあります。直近は火力発電が下火なので、減益となりました。
住友倉庫(9303)
セクター | 倉庫・運輸関連業 |
株価指標 | PER:16.46倍 PBR:3.87倍 |
配当利回り | 3.87% |
稼ぐ力 | 売上成長率:103.13% 営業利益率:7.03% |
資本の健全性 | 自己資本比率:58.4% |
住友倉庫は財務健全なうえに、割安水準で推移しています。
倉庫業や海運、不動産開発などを手掛けており、景気によって需要が左右されにくいのが特徴です。これからの時代は、EC拡大により需要増になる可能性もあるでしょう。
割安さから配当利回りも高めで、配当と投資のバランスも良好です。自社株買いにも積極的で、総じて株主還元を重視しています。
一方、高配当銘柄の例に漏れず収益はほぼ横ばいで、成長性には乏しいです。
ジャックス(8584)
セクター | その他金融業 |
株価指標 | PER:7.02倍 PBR:0.72倍 |
配当利回り | 4.37% |
稼ぐ力 | 売上成長率:- 営業利益率:14.51% |
資本の健全性 | 自己資本比率:6.1% |
ジャックスは数ある金融業のなかでも配当利回りが高めです。
クレジット事業、カードやファイナンスサービスなどを手掛けています。消費者信用事業は利益率が高く、稼ぎやすいのが強みです。
配当利回りは4%を超えており、配当も安定しています。
一方で金融業は景気に左右されやすく、直近ではベトナムでの事業が下火となり、減配される予定です。
明和地所(8869)
セクター | 不動産業 |
株価指標 | PER:7.49倍 PBR:0.65倍 |
配当利回り | 4.5% |
稼ぐ力 | 売上成長率:158.09% 営業利益率:5.95% |
資本の健全性 | 自己資本比率:25.7% |
明和地所は、安定した不動産事業を手掛けています。
ブランド「クリオ」を手掛ける企業で、不動産の賃貸から売却、リノベ、土地活用まで幅広い事業を展開しています。
配当利回りは4%を超えています。
ただし稼ぐ力はやや弱く、営業利益率は控えめです。売上高も一進一退で、減配もたまに行われています。
VT HD(7593)
セクター | 小売業 |
株価指標 | PER:8.87倍 PBR:0.82倍 |
配当利回り | 4.89% |
稼ぐ力 | 売上成長率:150.79% 営業利益率:3.94% |
資本の健全性 | 自己資本比率:26.7% |
VT HDは株主還元意欲が魅力です。
事業内容としては、自動車ディーラー、レンタカー、輸出などを手掛けています。利益率は控えめですが、配当利回りは5%近く、株主還元意識が高いです。
減配もほとんどなく、キャッシュフローは良好です。現預金などの流動資産も多く、財務盤石だといえるでしょう。
“今買うべき安い株”の選び方5選
株銘柄を選ぶ際は、財務や決算書をしっかり確認するのがおすすめです。ネット上などで「今買うべき!」といわれている株銘柄は、すでに割高になっていて利益を出しにくいケースもあります。
まずは株価指標を見比べて、割安であることを前提に選びましょう。また、株価指標で機械的に判断するだけでなく、稼ぐ力や財務の健全性をチェックすることも大切です。
株価指標 | PER15倍未満、PBR1.0倍以下であることを目安にする |
成長性 | 過去5年の売上成長率が30%以上を目安にする |
営業利益率 | 営業利益率10%以上を目安にする |
株主還元 | 配当利回り3〜4%以上を目安にする |
倒産リスク | 自己資本比率30%以上を目安にする |
ただし、業種によって細かい目安は異なるため、あくまで参考程度にとどめておきましょう。
株価指標が割安になっているか
株銘柄を選ぶ際は、株価指標を最初にチェックしましょう。
株価指標とは、割安かどうかを示す指標を指します。さまざまな株価指標がありますが、特に大切なのは次の2つです。
PER(株価収益率) | 株価が1株あたりの当期純利益の何倍になっているかを示す |
PBR(株価純資産倍率) | 株価が1株あたりの純資産の何倍になっているかを示す |
いずれも低ければ低いほど割安です。各指標について詳しく解説します。
PER(株価収益率)
PER(株価収益率)をチェックすれば、業績の割に安い株銘柄を探せます。
PERは、株価に対していくら儲けているかを示す指標で、一般的にはPER15倍なら割安とされています。
とはいえ、業種によってPERの目安は異なるため、競合他社同士で比較しましょう。日本取引所グループで紹介されている基準をまとめました。
PERの目安
セクター | 平均PER |
---|---|
水産・農林業 | 13 |
鉱業 | 5.6 |
建設業 | 17.9 |
食料品 | 24.8 |
繊維製品 | 20.9 |
パルプ・紙 | 28.2 |
化学 | 18.1 |
医薬品 | 22.3 |
石油・石炭製品 | 10.3 |
ゴム製品 | 12.5 |
ガラス・土石製品 | 28.7 |
鉄鋼 | 9.2 |
非鉄金属 | 14.7 |
金属製品 | 20.2 |
機械 | 21.6 |
電気機器 | 23.2 |
輸送用機器 | 21.1 |
精密機器 | 23.3 |
その他製品 | 17.1 |
電気・ガス業 | 38.3 |
陸運業 | 16.5 |
海運業 | 2.8 |
空運業 | 21.4 |
倉庫・運輸関連業 | 11.2 |
情報・通信業 | 24.8 |
卸売業 | 11.9 |
小売業 | 23.2 |
銀行業 | 10.5 |
証券、商品先物取引業 | 17.8 |
保険業 | 38.9 |
その他金融業 | 12.5 |
不動産業 | 13.9 |
サービス業 | 16.8 |
PBR(株価純資産倍率)
PBRをチェックすれば、保有資産の割に安い銘柄を探せます。PBRは保有している資産に対して株価がいくらかを示す指標で、一般的にはPBRが1倍未満なら割安とされています。
PERと同じくセクター別の比較が大切なので、日本取引所グループで公表されている基準をまとめました。
PERの目安
セクター | 平均PBR |
---|---|
水産・農林業 | 1 |
鉱業 | 0.8 |
建設業 | 1.2 |
食料品 | 1.3 |
繊維製品 | 1 |
パルプ・紙 | 0.6 |
化学 | 1.2 |
医薬品 | 1.4 |
石油・石炭製品 | 1 |
ゴム製品 | 1.1 |
ガラス・土石製品 | 1.5 |
鉄鋼 | 0.8 |
非鉄金属 | 0.9 |
金属製品 | 0.8 |
機械 | 1.8 |
電気機器 | 1.9 |
輸送用機器 | 1 |
精密機器 | 2 |
その他製品 | 1.5 |
電気・ガス業 | 0.9 |
陸運業 | 1.1 |
海運業 | 1 |
空運業 | 1.5 |
倉庫・運輸関連業 | 1 |
情報・通信業 | 2.3 |
卸売業 | 1.2 |
小売業 | 1.9 |
銀行業 | 0.5 |
証券、商品先物取引業 | 1.1 |
保険業 | 1.6 |
その他金融業 | 1 |
不動産業 | 1.6 |
サービス業 | 1.9 |
継続して成長を続けているか
企業の成長性を見るには、売上の伸びを数字でチェックしましょう。
いくら割安でも、将来的に事業が成長しなければ株価は伸びません。売上の増減要因は多種多様ですが、コロナショックなどの例外は除いて考えましょう。
成長性を図るには、過去5年間の売上高をチェックします。
具体的には「直近売上 ÷ 5年前の売上 × 100」で計算可能です。
参考までに、成長性が高い会社の例をまとめました。
株銘柄 | 売上成長率 |
---|---|
マネジメントソリューションズ(7033) | 641.86% |
GENOVA(9341) | 491.76% |
ARE HD(5857) | 335.11% |
営業利益率が高く稼げているか
営業利益率をチェックすれば収益性がわかります。
営業利益率とは、簡単にいうと「どのくらい利益を上げているのか」を示す指標です。業種によって異なりますが、10%以上なら良好とされています。
参考までに、営業利益率が高い会社の例をまとめました。
株銘柄 | 売上成長率 |
---|---|
INPEX(1605) | 55.56% |
SBI HD(8473) | 44.52% |
GENOVA(9341) | 25.19% |
ただし、あまりに営業利益率が高すぎるケースに注意しましょう。異様に利益率が高い企業は、法律を守っていない、または人件費や投資費用などを極端に削っているケースも少なくありません。
株主還元は十分か
高配当銘柄を選ぶ際は、利回りだけで選ばないことが大切です。
ランキングに掲載されているような高配当利回りの株銘柄は、減配されるリスクもあります。過去の配当推移を見て、減配している企業は避けるようにしましょう。
参考までに、直近では次のような株銘柄の配当利回りが高くなっていますが、いずれも財務には難ありです。
ミラースHD | 6.18% |
UNITED | 6.13% |
メイテックG | 6.12% |
たとえば「ミラースHD」を取り上げてみると、過去に複数回の減配履歴があり、キャッシュフローもあまり安定していません。
配当利回りだけで選んでしまうと、株価や配当利回りが不安定になるリスクがあるため、他の指標も合わせて判断しましょう。
値上がりする前に倒産しないか
長期的に保有できる株銘柄を探すには、財務の内容を詳しくチェックしましょう。
まずは自己資本比率が大切です。自己資本比率は、全資産のうち「返済する必要がない資産」の割合を示す指標で、基本的に30%以上が目安とされています。
もう一歩踏み込んで判断するには「流動資産」も大切です。流動資産とは、1年以内に現金化される資産のことで、あまりに流動資産が少ないと黒字倒産するリスクもあります。
流動資産は、決算書のバランスシートで確認しましょう。

特に現預金、有価証券などの換金性の高い資産が大切です。参考までに、財務健全な会社の例をまとめました。
株銘柄 | 自己資本比率 流動資産の割合 |
---|---|
マネジメントソリューションズ(7033) | 自己資本比率:59.8% 流動資産の割合:70.76% |
エスビー食品(2805) | 自己資本比率:51.8% 流動資産の割合率:56.8% |
大塚 HD(4578) | 自己資本比率:72.21% 流動資産の割合:39.47% |
“今買うべき安い株”の探し方3選
株銘柄を探す際は、ツールを使うのがおすすめです。
ツールを使えば、投資目的に合わせて条件を指定して銘柄を絞り込めます。ツール次第ではプロの意見がわかるため、より正確に判断できるようになるでしょう。
この項では、筆者が使っているおすすめのツールを3つまとめました。
- 日経CNBC
- 証券会社のスクリーニング機能
- 銘柄スカウター
日経CNBCを視聴する
日経CNBCは、初心者なら必聴のニュースサイトです。
動画コンテンツ豊富な経済チャンネルで、通勤中やランニング中でもオンデマンド視聴ができるため、好きな時間に学べます。
カテゴリー別にさまざまなチャンネルが用意されていますが、特に「投資のヒント」がおすすめです。アナリストが今日の注目銘柄などを紹介しているため、銘柄探しに役立つでしょう。


証券会社でスクリーニングする
株銘柄をさまざまな条件で絞り込んで探すなら、SBI証券がおすすめです。
各証券会社では「スクリーニングツール」は証券会社によって機能性が異なります。証券会社によっては機能性が乏しいケースも少なくありません。
SBI証券のスクリーニングでは、市場や規模、採用されている指数などで指定できます。さらに、株価指標や配当利回りなども自由に指定可能です。
参考までに、筆者の設定を紹介します。

スクリーニングツールの利用には口座開設が必須です。無料で使えるため、登録しておきましょう。
銘柄スカウターで比較する
銘柄同士の比較ならマネックス証券がおすすめです。
マネックス証券では、オリジナルツールの「銘柄スカウター」を利用できます。銘柄スカウターでは複数銘柄を設定して、さまざまな項目から比較できます。
特に、売上高などのチャートを比較できるのが魅力です。グラフなので視覚的で分かりやすいでしょう。

銘柄スカウターの利用には口座開設が必須です。取引したい銘柄が決まっているなら、マネックスで口座開設して他業種と比較してみましょう。
“今買うべき安い株”に関するよくある質問
明日上がる株を10銘柄選ぶなら?
明日上がるという基準で選ぶことはおすすめできません。
株価は誰にも予想ができず、明日上がる保証はないためです。それどころか、短期的な目線で投機的な取引をすると、大きな損失につながります。
10円以下で買えるボロ株のおすすめは?
ボロ株は問題が多くおすすめできません。
株価が異様に安くなっているボロ株は、企業として問題を抱えているケースが多いです。また、株価が安い銘柄は限られており、投資の選択肢も狭くなってしまいます。
少額投資ならミニ株がおすすめです。SBI証券ならミニ株手数料が無料なので、コストを抑えながら少額投資ができます。
最低でも買っておくべき日本株は?
投資目的によって異なります。
筆者が3銘柄だけ選ぶなら、次のような銘柄を選びます。
- NTT
- 住友倉庫
- 三菱UFJ FG
ただし、特定銘柄の購入を推奨しているわけではありません。当記事で紹介した投資基準を参考に、必ず自己責任で売買を行ってください。
配当金を月2万円もらうにはいくら必要ですか?
配当利回りによって異なります。
参考までに、配当利回りごとに2万円受け取るのに必要な金額をまとめました。
配当利回り | 必要金額 |
---|---|
3.0% | 約400万円 |
3.5% | 約343万円 |
4.0% | 約300万円 |
4.5% | 約267万円 |
5.0% | 約240万円 |
【まとめ】 今買うべき安い株銘柄は?優良株は「割安さ」と「健全性」で選ぶ
この記事のポイント
- 本当に今買うべきなのは「割安」な株銘柄
- 割安とは、企業の価値や業績に対して株価が安いことを指す
- 株価指標だけを見て選ぶと失敗しやすい
- 成長性や利益率、株主還元などをチェック
今買うべきなのは割安な銘柄です。ただし、割安さだけで選んでしまうと、将来的に株価が低迷したり倒産リスクを抱えたりするケースもあります。
業績や将来性、倒産しにくさなどをチェックして総合的に判断して「価値の割に安い銘柄」を選びましょう。