
この記事のポイント
- 中国ETFは中国企業に投資できるETF
- 中国ETFに投資するメリットは、米国を超える可能性がある国に投資できること
- 中国ETFに投資するデメリットは、政治状況によって株価が変動する傾向があること
- 中国ETFに投資できるおすすめ証券会社はSBI証券
中国ETFは、今後米国の経済規模を超える可能性がある中国のさまざまな企業や債券等に投資できるため、長期投資で大きなリターンに期待できます。
ただ、中国ETFは先進国ETFに比べるとボラティリティが高く、投資するETFや投資タイミングを誤ってしまうと5%以上の損失を被る可能性があります。
本記事では中国ETFの特徴やメリット・デメリットを解説し、おすすめの中国ETFを紹介します。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
目次 ー Contents
中国ETFとは?
中国ETFとは、中国株や中国ETFなど、中国に関する金融商品に投資できるETFです。
まず、中国の株式市場は以下の3つに分かれています。
中国本土市場 | 上海証券取引所 | A株市場 |
B株市場 | ||
深セン証券取引所 | A株市場 | |
B株市場 | ||
香港市場 | 香港証券取引所 | メインボード |
GEM(Growth Enterprise Market)市場 |
そしてそれぞれの市場の概要は以下の通りです。
- A市場:基本的に中国居住の投資家のみ投資できる市場
- B市場:外国人投資家も投資できる市場
- 香港市場:香港企業や海外企業が上場している市場
香港市場はメインボードとGEMに市場が分けられており、それぞれの概要は以下の通りです。
- メインボード:中国資本の香港企業であるレッドチップ銘柄と、中国資本の中国企業であるH株などが取引できる市場
- GEM:香港証券取引所が1999年11月に併設した新興企業向け市場
中国の株式市場はいくつにも分かれているため、市場選定→銘柄選定の順で投資対象を選定する必要がありますが、ETFであれば市場選定を行えば銘柄選定は連動する指数が行ってくれるので、手間が省けます。
また、A市場は中国に居住する投資家しか投資できませんが、ETFであればA市場に価格が連動している銘柄に投資できます。
中国ETFに投資するメリット3つ
中国ETFに投資するメリットは以下の3つです。
- 米国を超える国になる可能性がある
- 長期的なパフォーマンスが高い
- 中国の注目企業に一括投資できる
メリット① 米国を超える国になる可能性がある
世界経済に占める中国のGDPの割合は、以下のように拡大しています。
- 2002年:4.4%
- 2007年:6.3%
- 2012年:11.5%

2008〜2012年は、世界全体の成長率に対して中国は3分の1以上寄与しており、米国経済の成長性が停滞している一方で中国経済の成長性の高さが伺えます。
2023年第1四半期(1-3月期)の経済成長率は、実質で前年同期比4.5%増と安定して推移しており、人口増加の速度は低下しているもののウィズコロナ政策への移行でリベンジ消費が期待できるため、さまざまな産業がプラス材料を持っています。
参考:ニッセイ基礎研究所
メリット② 長期的なパフォーマンスが高い
中国経済は、以下の通り長期的なパフォーマンスが高くなっています。
- 香港ハンセン指数:約10倍
- 上海総合指数:約30倍
(平成の30年間で計算)
そのため、多くの投資家が実践している長期投資と相性が良いことで知られています。
ただ、反対に短期投資にはあまり向いていない傾向があります。
米国ETFよりボラティリティが高いため、短期的には5%以上の損失を被るリスクがあることに注意しましょう。
中国の注目企業に一括投資できる
ETFは複数の個別銘柄に一括投資できるため、種類によっては分散性を高めながら注目企業への一括投資が可能になります。
例えば、上場インデックスファンド中国A株E Fund CSI300(上場パンダ)と呼ばれるETFは、上海証券取引所・深セン証券取引所に上場しているA株のうち時価総額および流動性が高い300の銘柄に投資できるので、中国株式に万遍なく投資できます。
中国の注目企業には「BATH(バイドゥ・アリババ・テンセント・ファーウェイ)」などが含まれるので、中国経済に期待している方におすすめです。
中国ETFに投資するデメリット2つ
中国ETFに投資するデメリットは以下の2つです。
- 中国経済が今後も発展していくかは不透明な部分が多い
- 政治状況によって大きく価格が変動する場合がある
デメリット① 中国経済が今後も発展していくかは不透明な部分が多い
中国経済は良いデータが多く、米国経済を超える可能性は十分ありますが、今後の発展が約束されたわけではありません。
中国政府の今後の金融政策次第では景気が傾いてしまう可能性があり、これは中国に限らずどの国を見ても同じリスクを持っています。
そのため、中国経済の発展にかけて中国市場へ多くの割合の資金を割くのではなく、できるだけリスクが分散できる市場に資金を分けて投資しましょう。
デメリット② 政治状況によって大きく価格が変動する場合がある
中国は政治状況が頻繁に変わる傾向があり、それにより株式市場が大きく変動する可能性があります。
2021年のコロナウイルス感染拡大を受けて中国ではロックダウンが行われ、中国経済は停滞し株式市場も全面的に下落しました。
中国の国家権力は中国共産党の決定に基づき、中央人民政府である国務院と地方政府によって行使されているので、中国の政治状況を分析したい方は共産党の発言などをWatchしておくとよいでしょう。
長期投資で期待できる中国の代表的なETF5選
中国のETFで代表的なもの、長期投資でおすすめできそうなETFを5つ紹介します。
- 上場インデックスファンド中国A株E Fund CSI300(1322)
- NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信(1309)
- 中国グレーターベイエリア・イノベーション100(2629)
- iFreeETF 中国科創板50(2628)
- iシェアーズ・コアMSCI・チャイナETF(2801)
なお、2023年は中国ETFが全体的に下落しているため直近1年間におけるリターンは高くありませんが、本記事では長期投資において期待できる観点から紹介します。
上場インデックスファンド中国A株 E Fund CSI300(1322)

運用会社 | nikko am |
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1年トータルリターン | -10.34% |
経費率 | 0.5% |
上場インデックスファンド中国A株E Fund CSI300は、中国A株CSI300インデックスマザーファンドに価格が連動しているETFです。
そして中国A株CSI300インデックスマザーファンドは、中国A株市場の株価指数「CSI300指数」に連動しています。
直近1年のリターンは約-10%と大きく下落していますが、3年リターンは約6%、5年リターンは約7%と安定した利益を出せています。
CSI300指数は中国の時価総額が大きい企業に一括投資できるため、中国株投資を始めたい方にまずおすすめです。
NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信(1309)

運用会社 | 野村アセットマネジメント |
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1年トータルリターン | -8.08% |
経費率 | 0.95% |
NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信は、上海50指数に価格が連動しているETFです。
A株の中でも流動性が高い50銘柄で構成されており、東証市場に上場する中国ETFの中で
最も純資産額が大きい実績があります。
iFreeETF 中国グレーターベイエリア・イノベーション100(2629)

運用会社 | 大和アセットマネジメント |
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1年トータルリターン | -13.46% |
経費率 | 0.71% |
iFreeETF 中国グレーターベイエリア・イノベーション100は、GBA Innovation 100指数に価格が連動しているETFです。
GBA Innovation 100指数は香港・マカオ・中国広東省にある企業から選ばれた100銘柄で構成されており、これらの地域は自然環境、人文、経済など優れた成長基盤が多く備わっているので、中国地域の中でも優位性があります。
直近1年リターンはマイナスですが、中国ETFの中でも下げ幅は小さく、イノベーションを起こす可能性がある企業に投資したい方におすすめです。
iFreeETF 中国科創板50(2628)

運用会社 | 大和アセットマネジメント |
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1年トータルリターン | -22.27% |
経費率 | 0.96% |
iFreeETF 中国科創板50は、STAR50指数に価格が連動しているETFです。
STAR50は上海証券取引所の科創板市場に上場している50銘柄で構成された株価指数で、科創板市場はアメリカのNASDAQ市場のような、中国企業の中でも新興企業が多く含まれている市場です。
そのため他の中国ETFと比べるとボラティリティが大きく、直近1年の成績は約-22%と大きく下落しています。
中国市場が全体的に上昇相場に入れば逆に大きく上昇する可能性があるので、ETFの中でもハイリスク・ハイリターンと言えます。
iシェアーズ・コアMSCI・チャイナETF(2801)

運用会社 | BlackLock |
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1年トータルリターン | -26.88% |
経費率 | 0.2% |
iシェアーズ・コアMSCI・チャイナETFは、MSCI中国指数に価格が連動しているETFです。
MSCI中国指数は中国市場だけでなく、海外市場に上場している中国企業も対象としており、中国株式全体に投資できるETFと言えます。
経費率も0.2%と中国ETFの中ではトップクラスに低く、中国市場で高い分散性を保ちながら投資したい方におすすめです。
中国ETFに投資できるおすすめ証券会社
中国ETFに投資できるおすすめ証券会社は以下の3つです。
- SBI証券
- 楽天証券
- IG証券
SBI証券

SBI証券は、ネット証券の中でもユーザー数が最大規模の証券会社です。
株式投資以外にも様々な金融商品を取り扱っており、中国ETFは20種類以上を取り扱っています。
中国以外にも、韓国やシンガポールなどの新興国ETFも取り扱っているため、メイン口座として十分な機能を揃えているでしょう。
楽天証券

楽天証券は、SBI証券より銘柄数は劣りますが20種類以上の中国ETFを取り扱っている証券会社です。
楽天ポイントで投資できるため、SBI証券にはないメリットを兼ね備えています。
また、中国現地証券会社より提供されるアナリストレポートやウィークリーレポートなど、中国株式市場に関するレポートが読めるので、中国ETFの銘柄選定に迷っている方は投資判断がしやすくなるでしょう。
IG証券

IG証券はCFD取引に特化している証券会社です。1万種類以上の株式やETF、コモディティなど、幅広い金融商品の短期取引が行えます。
中国ETFの取り扱いには中国大型株ETFやiShares MSCI China A ETFなどがあり、CFD取引ができるので中国株式の短期取引をしたい方は口座開設を検討してみるとよいでしょう。
中国ETFについてよくある質問
中国ETFについてよくある質問をまとめました。
- 中国のハイテク株に投資できるおすすめETFはある?
- 中国ETFの手数料はいくら?
- 中国ETFはポートフォリオの何割にしておくべき?
中国のハイテク株に投資できるおすすめETFはある?
中国のハイテク株に投資できるETFは、iFreeETF 中国グレーターベイエリア・イノベーション100(2629)があります。
中国ETFの中でもイノベーションを起こす可能性が高い100銘柄に投資できるため、中国の経済成長が進めば大きく価格上昇するでしょう。
中国ETFの手数料はいくら?
中国ETFの手数料は証券会社によって異なり、例えばSBI証券では約定代金の0.26%が手数料になります。
また、手数料以外にもETFの経費率が発生するため、コストをなるべく抑えたい方は経費率が0.2%のiシェアーズ・コアMSCI・チャイナETFがおすすめです。
中国ETFはポートフォリオの何割にしておくべき?
中国ETFは、ポートフォリオの3割程度を上限にしておくのがよいと言われています。
成長性の高い国ではありますが、ボラティリティが激しいため大きな金額を投資していると一時的に大きな損失が発生する可能性があるからです。
もし中国ETFの割合を増やしたいときは、中国経済が軌道に乗ってきたのを確認してから行うのがよいでしょう。
【まとめ】中国ETF
この記事のポイント
- 中国ETFは中国企業に投資できるETF
- 中国ETFに投資するメリットは、米国を超える可能性がある国に投資できること
- 中国ETFに投資するデメリットは、政治状況によって株価が変動する傾向があること
- 中国ETFに投資できるおすすめ証券会社はSBI証券
中国ETFは、長期投資において米国ETFより高いパフォーマンスが得られる可能性があります。
ただ、景気後退局面ではボラティリティが高いため10%を超える損失が発生するETFもあり、ポートフォリオの3割以下にしておくのがリスク管理の上で重要になります。