この記事のポイント
- ブロックチェーンとは取引の管理を安全にできるシステム
- ブロックチェーンのアルゴリズムは2種類ある
- ブロックチェーンの活用事例は仮想通貨や認証サービスなどがある
- ブロックチェーン産業は2030年にかけて62%以上の年平均成長率で成長すると予想されている
ブロックチェーンは主に仮想通貨の基盤となっているシステムですが、どのような仕組みになっているかわからず、将来性があるのか判断に迷っている方も多いでしょう。
本記事では、ブロックチェーンの仕組みやメリット・デメリットを解説し、ブロックチェーン産業の将来予測も紹介します。
目次 ー Contents
ブロックチェーンとは【わかりやすく仕組みを解説】

ブロックチェーンとは、ネットワーク上でノード(情報通信のネットワークにおける「点」) の集まりから構成され、取引(トランザクション)が実行されると暗号技術を使用して取引の記録を処理するデータベースです。
ブロックチェーンで取引が行われる流れとしては、基本的に以下のプロセスが行われます。
- ブロックチェーン上で取引が発生
- ノードが取引を受け付ける
- 受け付けたノードが他のノードに取引の提案を行う
- 各ノードで取引の検証を行う
- 検証後、問題がなければブロックチェーンに組み込む
- 一定量の取引が溜まると、ブロックとしてまとめて直近のブロックに接続する
- ブロックの接続が連鎖することでチェーンになる
各ブロックには、直前のブロック内容を表すデータのハッシュ値が書き込まれています。
過去のブロックにあるデータを改ざんすると、ハッシュ値が直前のブロック内容と異なってしまうので、それ以降のブロックのハッシュ値をすべて変更しなくてはいけません。
すべてのブロックにおけるハッシュ値を変更するには莫大な量のコンピュータや技術力が必要になるため、不正行為が根本からできない仕組みになっているのです。
コンセンサスアルゴリズムの種類
ブロックチェーンが取引を承認する方法(コンセンサスアルゴリズム)はいくつかあり、多く使われているのは以下の2種類になります。
- PoW (Proof of Work)
- PoS (Proof of Stake)
PoWは直訳すると「仕事の証明」となり、仕事とはノードが取引を承認するために一定の難易度の暗号(n onseと呼ばれる)を解くことです。
PoWが使われている仮想通貨で代表的なものはビットコインです。
暗号を1番最初に解くと報酬が得られ、マイニングと呼ばれています。
1番早く暗号を解くと、他のノードに答えが合っているか確認が行われ、正しければ取引をブロックへ入れる権利が得られます。
取引を成立させるために複数のノードから承認を得なければならないので、PoWは取引の改ざんが難しい仕組みとなっています。
PoSは直訳すると「賭け金の証明」となり、ブロックチェーンに賭ける金額が多ければ多いほどブロックの接続が行いやすくなる仕組みです。
PoSが使われている仮想通貨で代表的なものはイーサリアムです。
賭け金とは、基本的にそのブロックチェーンの仮想通貨で、保有量が多かったり保有期間が長かったりするほど取引承認の役割が得られる確率が高くなります。
取引承認が完了すると、承認者に報酬として仮想通貨が付与されます。
ただ、PoSは保有量や保有期間に依存してしまうため、単純な仕組みだと1人の承認者に承認作業が偏ってしまう恐れがあるのです。
スマートコントラクトの有無
ブロックチェーンの機能としてスマートコントラクトがあります。
スマートコントラクトとは
スマートコントラクトとは、契約内容を自動で実行してくれるシステムです。
プログラミングによる技術で、契約内容と実行条件を設定すれば人の手を介さずに行えるため、人件費の削減や取引時間の短縮ができます。
スマートコントラクトはイーサリアムなどに採用されており、スマートコントラクトのおかげで新たな金融サービスの誕生や普及が期待されている注目の技術です。
ブロックチェーンの構造の違い
ブロックチェーンには構造の違いがあります。
大きく分けると、以下の構造があります。
- UTXO(Unspent Transaction Output)ベース
- Accountベース
UTXOベースはビットコインが採用しており、すべてのトランザクションのうち未使用のものをすべて把握すれば、どのアドレスにどれだけのコインが保管されているかわかる仕組みになっています。
UTXOが使用されるとすべて使用されるので、プロトコルやウォレットごとのアカウントが存在せず部分的にUTXOが消費されることはありません。
Accountベースはアカウント内の残高として仮想通貨が扱われ、UTXOとは違い残高の表現やトランザクションの生成に必要なデータサイズがUTXOベースのものより小さくなる特徴があります。
つまりUTXOベースとAccountベースでは仮想通貨の表現方法に違いがあるのです。
ブロックチェーンの種類
ブロックチェーンには3種類あります。
- パブリック型ブロックチェーン
- プライベート型ブロックチェーン
- コンソーシアム型ブロックチェーン
パブリック型ブロックチェーン
パブリック型ブロックチェーンとは、管理者が存在せず取引内容がすべて公開されており誰でも参加できるブロックチェーンです。
一般的な仮想通貨の多くがパブリック型を使用していて、取引がすべて公開されているため透明性が高く、管理者が存在しないので分散性が高いという特徴があります。
ただ、一方で取引の数が膨大になると、取引の承認(合意形成)に時間がかかってしまうデメリットもあり、処理速度を向上させる技術が日々開発されています。
プライベート型ブロックチェーン
プライベート型ブロックチェーンとは、パブリック型と逆で管理者が存在し、参加者が限定されているブロックチェーンです。
従来の企業や金融機関が利用している場合が多く、制限された環境で取引を行うため秘匿性の高い情報を扱えます。
しかし、管理者が存在するが故に中央集権的な構造になってしまい、データの改ざんが行いやすく、管理者を信用する必要があります。
また、プライベート型であればネットワークの維持を行うのは管理者になるので、パブリック型のように独自の仮想通貨を発行する必要はありません。
コンソーシアム型ブロックチェーン
コンソーシアム型ブロックチェーンとは、あらかじめ選出された信頼性の高い複数の管理主体のみで、取引の承認を行うブロックチェーンです。
管理者が存在し参加者が限定されている点ではパブリック型と同じですが、承認をする管理者が複数存在するので、プライベート型よりセキュリティは厳重になります。
従来の企業や金融機関が利用する場合が多く、相互のコミュニケーションを合理化したいときに導入される可能性があります。
ブロックチェーンのメリット
ブロックチェーンのメリットは以下の3つです。
- ブロックチェーンはデータの改ざんができない
- 透明性・安全性が高いシステムが作れる
- 業務効率化によるコスト削減効果を期待できる
ブロックチェーンはデータの改ざんができない
ブロックチェーンはデータの改ざんが難しい仕組みになっています。
コンセンサスアルゴリズムにもよりますが、例えばビットコインが採用しているPoWでデータの改ざんを行うとハッシュ値がすべて変更されてしまい、改ざんをしたことがすぐにばれてしまいます。
そして、改ざんを行うためには途方もない作業が必要となり、現在の技術力では難しくなっているのです。
複数のマイナーが手を組み全体の過半数を占めるほどの計算能力を持った場合は、理論上データの改ざんを行うことは可能になります。
しかし、現実的には電気代や技術力、時間などさまざまな障壁があり、結果的に実現は難しくなっています。
透明性・安全性が高いシステムが作れる
多くのプロトコルが採用しているパブリック型であれば、すべての取引が公開され管理者が分散しているため、透明性・安全性が高いシステムが作れます。
複数のノードによって運営されているので、どこか1つのノードがトラブルで停止してしまいマイニングができなくなったとしても、他にも多くのノードが存在するためシステム全体が停止することはありません。
実際、ビットコインは取引が始まった2009年から1度も停止したことはないことから、停止した場合に使用するサブシステムを用意するコストも削減できます。
業務効率化によるコスト削減効果を期待できる
ブロックチェーンは複数のノードによってデータが管理されているので、特定のサーバーで情報を管理する必要がなく、サーバー管理費や情報の保守費などを抑えられます。
業務効率化によるコスト削減ができれば、その分手数料を安く設定できたりサービス単価を改善できたりするので、利用者にとってもメリットがあります。
ブロックチェーンのデメリット
ブロックチェーンのデメリットは以下の2つです。
- 改ざん耐性の強化と処理速度の向上は両立できない
- ハッキング被害が多く起きている
改ざん耐性の強化と処理速度の向上は両立できない
ブロックチェーンは改ざん耐性の強化と取引承認の処理速度の向上の両立が難しい仕組みになっています。
ブロックチェーンの取引量が増加すると、1件あたりの取引承認に時間がかかる場合は処理速度が低下してしまい、さらに手数料も高騰してしまうのです。
処理速度が低下してしまう原因には、1つのブロックを生成するためのかかる時間の遅さが挙げられますが、現在は問題を改善するための新たな技術が開発され始めています。
例えばサイドチェーンと呼ばれる技術は、メインのブロックチェーンから分岐させて外側で取引を行い、最終的な記録だけをメインチェーンに記録する形を取ることで処理速度を向上させています。
ハッキング被害が多く起きている
ブロックチェーンは透明性・安全性が高いシステムとして利用されていますが、ハッキング被害が多く起きています。
ハッキングの原因としては、単一のブロックチェーンが攻撃されて被害に遭うのではなく、異なるブロックチェーン同士を接続して資産を移動させる技術である「ブリッジ」で頻発しています。
現時点でもブリッジの明確なセキュリティ対策が見つかっていない状況のため、ブリッジを行う際はリスクを伴うことを理解しておきましょう。
ブロックチェーンの活用事例
ブロックチェーンの活用事例としては、主に以下3つが挙げられます。
- 仮想通貨
- ブロックチェーンゲーム
- 認証サービス
仮想通貨
ブロックチェーンが活用されている例として最も代表的なのは、仮想通貨です。
ほぼすべての仮想通貨がブロックチェーンを活用しており、仮想通貨プロトコルの根幹を支えるインフラとして機能しています。
1番最初にブロックチェーンの利用を始めた仮想通貨はビットコインです。
ビットコインは、ブロックチェーンによって非中央集権的な仕組みが作られており、発行枚数も制限され希少性の高い通貨が実現できています。
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ブロックチェーンゲーム
ブロックチェーンゲームは、ブロックチェーンを使用することによってゲームデータの分散管理ができ、不正が行われにくい仕組みを実現させたゲームです。
従来のゲームで頻発しているチート行為が難しくなるだけでなく、ゲーム内で仮想通貨が使われる場合が多いので、ゲームで遊びながら利益を狙うこともできます。
ブロックチェーンゲームは、別の技術である「NFT」が活用されているケースも多く、遊びながら稼げるというキャッチコピーの強さから注目を集めています。
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認証サービス
ブロックチェーン上で個人情報を記録すれば、あらゆる認証が身分証明書を提出しなくとも行える可能性があります。
ブロックチェーンのメリットである透明性は認証や権利の保護との相性が良く、世の中のデジタル化が進んでいく今後は重宝されるでしょう。
ブロックチェーンの将来性
ブロックチェーンの今後の将来性は、以下2つの要素から期待できると考えられます。
- 2030年にかけて62%以上の年平均成長率で成長すると予想されている
- 政府や地方自治体も活用し始めている
2030年にかけて62%以上の年平均成長率で成長すると予想されている
大手データ分析会社GlobalDataのレポートによると、ブロックチェーン産業は2030年にかけて62%以上の年平均成長率で成長すると予測されています。
仮想通貨の普及やコスト・時間の節約、小売業での採用がブロックチェーン産業の主要な推進力になると見ているようです。
デジタル化が進んでいない産業であるほど、ブロックチェーンの導入メリットは大きくなります。
参考:GlobalData
政府や地方自治体も活用し始めている
ブロックチェーンはすでに政府や地方自治体も活用し始めています。
日本では自由民主党デジタル社会推進本部がWeb3プロジェクトチームを設置し、日本政府が今後の成長戦略にWeb3の環境整備を盛り込むことを閣議決定しました。
2023年には山形県西川町が日本で初めて自治体として、公式にデジタル住民票NFT「西川町デジタル住民票NFT」を販売しました。
デジタル資産による新たな地方創生を狙っており、政府機関だけでなく自治体規模でも導入が始まっていることは、今後のさらなる普及にも期待できます。
【まとめ】ブロックチェーンとは?
この記事のポイント
- ブロックチェーンとは取引の管理を安全にできるシステム
- ブロックチェーンのアルゴリズムは2種類ある
- ブロックチェーンの活用事例は仮想通貨や認証サービスなどがある
- ブロックチェーン産業は2030年にかけて62%以上の年平均成長率で成長すると予想されている
ブロックチェーンはシステムの透明性・安全性を高められる画期的な仕組みで、政府や企業にさまざまなメリットをもたらすことから将来性にも期待できます。
そして、ブロックチェーン産業が成長すれば、仮想通貨はおのずと普及が進む可能性が高いため、仮想通貨の価格上昇にも期待できるでしょう。
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