
この記事のポイント
- eMAXIS Slimシリーズはおすすめできる投資信託商品
- 運用コストが低いほうが基準価額が上がりやすい
- 米国株や海外の資産を組み込んでいる銘柄が人気
- eMAXIS Slimシリーズでも注意すべき銘柄はある
投資信託を利用していたら「eMAXIS Slim」という商品を目にすることがあると思います。
「イーマックススリム?」知らない人はこのように読んでしまうかもしれませんが、正しくは「イーマクシススリム」と読みます。
イーマクシススリム(eMAXIS Slim)は国内投資信託の中でも人気が高いシリーズで、人気が出るのには理由があります。この記事をみればeMAXIS Slimシリーズのすべての商品がわかります(2023年5月現在)
eMAXIS Slimシリーズは投資する国や地域・資産などが異なる様々なファンドがそろっているので、あなたの好みにあるファンドが見つかるはずです。
目次 ー Contents
eMAXIS Slim(イーマクシススリム)とは?おすすめできる3つのポイント

eMAXIS Slimは、三菱UFJ国際投信が運用している投資信託のシリーズで、国内投資信託の中でも屈指の人気を誇ります。
「投信ブロガーが選ぶ!FOUND OF THE YEAR」で数ある投資信託の中から20位以内にeMAXIS Slimシリーズの商品が6本も選ばれています。
ここではeMAXIS Slimシリーズが人気になる理由を、特徴的な3つのポイントから解説していきます。
- 業界最低水準の運用コスト
- 純資産が増加している
- ファンドの種類が豊富で選択肢が多い
2023年に信託報酬率引き下げ実施!業界最低水準の運用コスト
信託報酬は投資信託を保有している期間ずっとかかり続けるコストです。
投資信託の運用リターンを大きくするには信託報酬率が低いファンドを選ぶことが重要だといわれています。
eMAXIS Slimシリーズは2023年に多くのファンドの信託報酬が引き下げられ、業界最低水準の運用コストになりました。コスト面にすぐれるeMAXIS Slimシリーズは運用リターンも期待できる商品といえます。
■eMAXIS Slimシリーズの信託報酬手数料変更前後(税込・年率)
ファンド名 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968%以内 | 0.09372% |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.154%以内 | 0.143%以内 |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | ||
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | ||
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144%以内 | 0.1133%以内 |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | ||
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等) | ||
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1023%以内 | 0.09889%以内 |
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 0.1870%以内 | 0.1859%以内 |
■eMAXIS Slimシリーズの信託報酬率推移

純資産額3兆円突破。投資家にも人気
eMAXIS slimシリーズの純資産額合計は2022/8/8に3兆円を突破しました。
2019年に1,000憶円を突破したことを考えると、この数年で飛躍的に数字を伸ばしています。
eMAXIS Slimシリーズは「受益者還元型信託報酬率」という考え方を採用しています。
簡単に言うと、純資産額が大きくなるほど信託報酬率が下がるというものです。
eMAXIS Slimシリーズの人気がでるほど信託報酬がさらに下がる可能性があるのはうれしいポイントといえます。
また、先ほど紹介した『投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022』でeMAXIS Slimシリーズの多くのファンドがランクインしているのも、純資産総額が急上昇している裏付けになっています。
さらにその中でeMAXIS Slimシリーズの商品が5年連続1位となっているのは特筆に値します。
種類が豊富。投資可能な銘柄は10本以上
eMAXIS Slimシリーズのファンドは国内株式の投資信託だけではありません。
日本で大人気のオール・カントリー(オルカン)や、S&P500(米国株)、新興国に連動するファンドなど地域だけでも選択肢が豊富なうえに、債券やREITへ投資できるファンドもあります。
リターンを狙うだけでなく、eMAXIS Slimシリーズだけで資産も含めた分散投資まで完結できます。
さらに、eMAXIS Slimシリーズのうち、9つのファンドがつみたてNISA(新NISA制度ではつみたて投資枠)で投資することができ、税制面での優遇措置を受けることが可能です。
投資信託選びのポイント【初心者のギモン解決】
eMAXIS Slimシリーズの中でどのファンドを選ぶか考える前に、投資信託の基本についておさえておきましょう。
基準価額はどうやって決まる?分配金がでる投資信託がいいわけじゃない
投資信託の価格は基準価額と呼ばれています。株式でいう株価のようなものです。
基準価額は純資産額を口数で割って算出しますが、基準価額算出のもとになっている純資産額は信託報酬などのコストが引かれた数字です。
投資信託の運用で信託報酬率が重要だといわれているのは、信託報酬が大きいほど純資産額が減ってしまうため、投資信託の価格が上がりにくくなってしまうからです。

信託報酬だけでなく分配金などで投資家に還元することも純資産額が減る要因となります。
分配金がたくさん払われる投資信託が良い投資信託というわけではないということも覚えておきましょう。
同じインデックスに連動してるのに基準価額が違う商品があるのはなぜ?
国内外のインデックスを問わず、同じインデックス(例えばTOPIXやS&P500のような)に連動しているのに基準価額が違う商品があることは疑問に思いませんか?
同じインデックスなのに基準価額が違う理由は、投資信託の運用開始日(設定日)が異なるからです。
投資信託は開始タイミングでは必ず1万口当たり1万円であるため、運用開始からの日付が長いほど基準価額が高くなること(低くなることも)があります。
そのため、同じインデックスの場合、基準価額が高いほうがいいと思うかもしれませんがそんなことはありません。
分配金がなく、信託報酬などのコストが変わらない場合、原則として同じ動きをすることになります。
純資産額は大きいほうがいい?
純資産額の大きさも投資信託選びのポイントの1つです。
純資産額は各証券会社の投資信託検索情報や、交付目論見書などで確認することができます。
純資産額が重要な理由は、純資産額が小さくなると繰上償還(つまり運用終了)されてしまう可能性があるからです。
例えばeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の交付目論見書には以下の記載があります。
受益権の口数が10億口を下回ることとなった場合(pdf)
※上記以外にも条件あり
eMAXIS Slimシリーズの中で人気のファンドであればほぼ心配することはありませんが、実際に償還される投資信託もあるため、純資産額が小さい投資信託には注意が必要です。
eMAXIS Slimシリーズの人気銘柄紹介
それでは、実際にeMAXIS Slimシリーズにどんな商品があるのかを見ていきましょう。
■eMAXIS Slimシリーズファンド一覧
名称 | 種類 (地域・資産) | 基準価額 | 純資産額 (百万円) | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
★国内株式(TOPIX) | 国内・株式 | 16,060 | 72,410 | 0.143%以内 |
★国内株式(日経平均) | 国内・株式 | 14,392 | 27,073 | 0.143%以内 |
★先進国株式インデックス | 先進国・株式 | 21,475 | 449,778 | 0.09889%以内 |
★米国株式(S&P500) | 米国・株式 | 20,317 | 2,056,543 | 0.09372%以内 |
★新興国株式インデックス | 新興国・株式 | 12,666 | 108,159 | 0.1859%以内 |
★全世界株式(除く日本) | 日本以外の世界・株式 | 18,111 | 247,505 | 0.1133%以内 |
★全世界株式(オール・カントリー) | 世界・株式 | 17,998 | 1,078,392 | 0.1133%以内 |
★全世界株式(3地域均等型) | 世界・株式 | 15,139 | 7509 | 0.1133%以内 |
国内債券インデックス | 国内・債券 | 9,871 | 18,810 | 0.132%以内 |
先進国債券インデックス | 先進国・債券 | 12,062 | 68,404 | 0.154%以内 |
国内リートインデックス | 国内・REIT | 9,433 | 12,579 | 0.187%以内 |
先進国リートインデックス | 先進国・REIT | 11,750 | 21,496 | 0.22%以内 |
★バランス(8資産均等型) | 世界・バランス | 14,008 | 194,421 | 0.143%以内 |
※★がついているファンドはつみたてNISA対象(株式型およびバランス型)
この中でも特に純資産の大きい(=人気がある)ファンドをいくつか紹介します。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は米国の主要なインデックスであるS&P500に連動するファンドです。
S&P500は米国の主要な約500銘柄で構成されており、米国株式市場の約80%を網羅しています。
セクター(業種のようなグループ)の構成としては、情報技術、ヘルスケア、金融銘柄で50%超を占めています。組入比率が高い銘柄はアップル、マイクロソフト、アマゾンなど日本に住んでいても馴染みがある有名企業です。
分配金はなく、為替ヘッジもないため、為替が円安に動くと利益が大きくなりますが、円高になると利益が小さくなります。(損失が発生する可能性もある)
【ワンポイント】為替ヘッジとは
為替ヘッジとは為替の変動によって外貨資産の円ベースでの価値が変動しないようにする仕組みを指します。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)はeMAXIS Slimの中で最も人気のある商品で、先に紹介した「投信ブロガーが選ぶ!FOUND OF THE YEAR」で2019年から2022年まで4年連続1位になっており、「どの投資信託を選んでよいかわからない…」という方にも1本紹介するならこのファンドといえるような代表ファンドです。
米国株式市場が今後も好調を維持できるのかはわかりません。
それであれば、米国市場だけに投資できるS&P500よりもオール・カントリーでとりあえず世界中に投資しておくという判断は間違っていません。
(オール・カントリーのほうが運用成績が必ずよいというわけではありません)
オール・カントリーでは新興国を含む全世界の株式へ投資します。
最大の対象国は米国でおよそ60%を占めます。米国を含む先進国が約90%、新興国が10%という内訳です。
分配金、為替ヘッジは原則ありません。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは日本を除く先進国の株式に投資します。
中国、インド、台湾などは含まれません。
最大の投資先は他のファンドと同じく米国で約75%を占めています。
その他の組入れ上位国は比率がかなり下がりますが、英国、カナダ、フランス、スイスなどの欧米各国が3%〜5%程度となっています。
分配金、為替ヘッジは原則ありません。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、国内、先進国、新興国の3地域に対して、それぞれ株式、債券、リートの資産に投資します。
新興国かつリート以外の8つの組み合わせを均等(12.5%ずつ)の割合で組み入れています。
バランス型の特徴はこのファンド1つで資産と地域をまとめて分散投資できることです。
投資を行う上では1つの資産、1つの地域に投資を集中するよりも分散投資することでリスクを小さくすることが重要です。
分散投資でリスクヘッジができる半面、株式だけを組み入れているファンドよりも基準価額の大きな上昇はしにくいデメリットもあります。
分配金、為替ヘッジは原則ありません。
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は国内株式指標であるTOPIX(東証株価指数)に連動するファンドです。
TOPIXは国内株式指標としては日経平均と人気を二分する指標ですが、日経平均よりも株式市場全体を網羅しています。
2022年4月1日の東証再編により少し変わってしまいましたが、以前は東証1部上場の全銘柄を対象としていました。(日経平均は日経新聞社が選定する225社で構成)
国内株式指標のため、ここまで紹介してきたファンドとは異なり為替の影響を直接受けることがありません。
(為替の変動により国内銘柄の株価に影響することはあるので、間接的には為替も関係します)
「eMAXIS Slimはおすすめしない」といわれることがあるのはなぜ?
eMAXIS Slimシリーズでもすべてが順調に成長しているわけではありません。
上の一覧を見てもわかる通り、国内債券インデックスや国内リートインデックスの基準価額は運用開始時点を下回っています。
eMAXIS Slimシリーズは良い商品が多いですが、eMAXIS Slimならどれで運用しても大丈夫というわけではない点には注意してください。
eMAXIS Slimの投資信託はどこで買うのがおすすめ?
実際にeMAXIS Slimシリーズを購入するならどこで購入するのがいいのでしょうか?eMAXISシリーズでよくある質問についてお答えします。
大手ネット証券なら大きな違いはほとんどない
eMAXIS Slimシリーズの投資信託を購入する場合、SBI証券や楽天証券、マネックス証券などの大手ネット証券ならほとんど違いはありません。
すでに口座開設している証券会社があればそのまま利用しても基本的に問題ありません。
投資信託におすすめの大手ネット証券
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バランス型や債券型をつみたてNISA(つみたて投資枠)で買うのはおすすめしない
eMAXIS Slimシリーズでもバランス型や債券型のファンドは資産の分散の意味合いが強く、リターンを狙うよりもリスクヘッジを目的とします。
そのため、運用益が非課税になるつみたてNISAを利用するメリットは少なくなります。(メリットがゼロではありません)
どちらかを選ぶとすれば、オール・カントリーやS&P500のような基準価額の上昇を狙える可能性が高いファンドを選ぶほうがつみたてNISAのメリットを活かすことができます。
eMAXIS slimシリーズ以外の商品でもいいものはある
この記事ではeMAXIS Slimシリーズの紹介をしてきましたが、他にも良い商品はたくさんあります。
例えば、アセットマネジメントOneが提供する「たわらノーロード」シリーズも2023年に信託報酬率を引き下げ、eMAXIS Slimシリーズと同水準の低コストを実現しています。
また、バランス型のファンドの種類が多く、自分の好みに合った分散投資ができるファンドを選びやすいのも特徴的です。
SBI証券を利用していて、米国株へ投資したい方には、SBIアセットマネジメントが運用している「SBI・V 」シリーズもおすすめです。
信託報酬率はeMAXIS Slimシリーズと同水準で、S&P500に連動するファンドは、SBI証券の販売ランキングではeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を上回っています。(2023/5/18時点)

この他にもブラックロックの「iシェアーズ」シリーズなど信託報酬率が低い商品はあるので、探してみて下さい。
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eMAXIS Slimシリーズは初心者にもおすすめの投資信託
この記事のポイント
- eMAXIS Slimシリーズはおすすめできる投資信託商品
- 運用コストが低いほうが基準価額が上がりやすい
- 米国株や海外の資産を組み込んでいる銘柄が人気
- eMAXIS Slimシリーズでも注意すべき銘柄はある
投資信託は信託報酬率などのコストを下げることが運用のリターンを上げることにつながります。
その点においてeMAXIS Slimシリーズは現在の業界最低水準のコストに加えて、純資産が大きくなるほど信託報酬が下がるというメリットもあります。
eMAXIS Slimシリーズは人気があるので、今後も低いコストで運用できる可能性が高いということです。
また、投資可能な地域や資産クラスの組み合わせもたくさんの種類が用意されているので、自分の好みに合う1本が見つかるはずです。
これから投資を始めようと考えている方も、すでに運用をしている方もeMAXIS Slimシリーズを一度検討してみてはいかがでしょうか。