
この記事のポイント
- 「新NISAはデメリットしかない」と言われているが対処可能
- 新NISAを利用するメリットは非課税期間が無制限
- 余剰資金がある方は新NISAをフル活用すべき
2024年から新NISAが始まりましたが、新NISAはデメリットが多く始めない方が良いと考えている方も一定数います。
しかし、新NISAの最も大きなメリットである非課税制度を上回るほどのデメリットではなく、投資のやり方によってはデメリットをほとんど感じさせないことも可能です。
本記事では、新NISAがデメリットしかないと言われる理由や利用するメリット、どのような人が始めるべきなのかなどを解説します。
※この記事は2024年10月時点の情報をもとに作成しています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
目次 ー Contents
新NISAはデメリットしかないって本当?
「新NISAはデメリットしかない」と言われていることがありますが、本当にそうでしょうか? たしかにデメリットな面もありますが、新NISAの仕組みをよくよく見ていくと実はメリットの方が大きいです。
新NISAのメリットは後述し、まずは新NISAがなぜデメリットしかないと言われているのか、主な理由を解説します。
理由① 損益通算と繰越控除ができず税金対策が厳しい
新NISAは損益通算と繰越控除が行えません。
- 損益通算:損失が発生した際に、利益と相殺して課税金額を減らすこと
- 繰越控除:投資によって生じた損失を最大3年間繰り越せる
損益計算は例えば30万円の利益が発生し、同年に30万円の損失が発生すれば、差し引き0円となり課税金額もゼロになります。
繰越控除は例えば30万円の利益が発生し、同年に100万円の損失が発生すれば、控除できなかった70万円分の損失を翌年以降最大3年間控除でき、課税金額を減らせます。
新NISAはこの2つが行えませんが、そもそも非課税のため税金対策の必要性はないといえるでしょう。
理由② 1年間に買い付けできる金額が制限されている
新NISAの買付金額は、1年間にそれぞれ以下の決まりがあります。
- 成長投資枠:年間240万円
- つみたて投資枠:年間120万円
年間で見ると投資できる金額が少ないため物足りなく思う方もいるかもしれませんが、新NISAのような長期投資は大きな金額を一気に取引するのではなくコツコツと取引し平均取得単価をなるべく下げることが重要です。
そして、生涯非課税限度額では成長投資枠が1,200万円、つみたて投資枠が1,800万円と、最大で1,800万円分の非課税枠が用意されています。

1,800万円分の買い付けができれば、1年間の買付額が制限されていたとしても長期的には十分な金額を投資できるでしょう。
もし1,800万円以上の買い付けを行いたいと考えている方は、新NISAのほかに通常口座でETFや個別株を購入すればよいのです。
非課税の未使用枠を翌年に繰り越せない
先ほども解説したように、新NISAでは1年間の買付金額の上限が決められていますが、上限に達していない場合は非課税の未使用枠を翌年に繰り越せません。
翌年に繰り越せないともったいなく感じる方も多いと思いますが、生涯非課税限度額の合計1,800万円分はいつでも利用可能のため問題ないでしょう。
また、生涯非課税限度額は再利用も可能です。例えば10万円で買い付けした資産を20万円で売却した際、買い付けた際の取得価額分10万円が翌年に復活します。
非課税限度額の金額が大きく、再利用可能というメリットがあれば、繰り越せない問題はまったくデメリットとして考える必要はないでしょう。
新NISAを利用するメリット
新NISAを利用するメリットは以下の通りです。
- 非課税期間が無制限
- 新NISAは成長投資枠とつみたて投資枠がある
- 他の投資手法と比較して初心者でも始めやすい
非課税期間が無制限
新NISAは非課税期間が無制限です。以前のつみたてNISAのときは非課税期間が20年で、20年目以降は課税口座に変更されてしまうデメリットがありましたが、新NISAではそのような問題がなくなりました。
そのため、20年目以降も税金面を考慮する必要なく金融資産を保有でき、長期保有による大きなリターンを狙えます。
非課税期間の無制限化によって、20代〜30代の方でも新NISAをiDeCoのように60歳まで売却せず保有し続けられ、投資の幅も広がります。
新NISAは成長投資枠とつみたて投資枠がある
新NISAには、成長投資枠とつみたて投資枠の2つの枠があります。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額(総枠) | 1,200万円(内数) | 1,800万円 |
投資する銘柄 | 個別株や上場株 | 長期投資を前提とした積立ができる銘柄 |
もともと成長投資枠は一般NISAから引き継がれたもので、つみたて投資枠はつみたてNISAから引き継がれたものです。
総枠で1,800万円分の買い付けが行え、投資枠によって投資目的を変えられるので、管理もしやすい設計になっているでしょう。
他の投資手法と比較して初心者でも始めやすい
新NISAは他の投資手法と比較して、初心者でも始めやすいメリットがあります。
他の投資手法にはデイトレードや個別株投資などがありますが、テクニカル分析の知識や企業の財務諸表を読む能力などが必要となり、投資を始めたばかりの方にとっては参入障壁が高い手法です。
対して新NISAは基本的に長期投資を前提としており、個別株ではなくS&P500や日経平均株価など、いくつかの株式が集まっている指数(株価指数)の売買が多くなります。
購入タイミングもドルコスト平均法のような、簡単かつある程度効果が実証されている方法があるので、初心者でも始めやすいのです。
新NISAは始めた方が良い?
新NISAは投資で獲得した利益から税金が取られずすべて受け取れるためお得な制度ですが、すべての人に向いているかというとそうでもありません。
そこで、新NISAが向いている人とそうでない人を分け、特徴を解説します。
新NISAが向いている人
新NISAが向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 余剰資金がある人
- 長期的に入金できる人
- 長期間の投資に耐えられる人
そもそも投資は余剰資金があることが前提です。生活費を削って投資に回してしまうと、金銭的トラブルが発生した際に手元に資金がなく、生活が苦しくなってしまう可能性があります。
また、投資で大きな利益を得るにはある程度の入金力が必要になります。
1,000円しか投資していなければ、資産が10倍になっても1万円にしかなりませんが、100万円の投資ができれば、10倍になった時に資産は1,000万円になります。
そのため長期的に資金を入金できる人が向いており、長期間の投資に耐えられる人が向いていると考えられます。
新NISAが向いていない人
新NISAが向いていない人の特徴は、上記で解説した向いている人の真逆の特徴を持つ人です。
入金力によりますが、新NISAは長期投資のため投資を行ってもすぐに大きな利益を獲得できるわけではありません。仮に短期間で大きな利益を狙えるポートフォリオを構築する場合は、その分減る速度も速くなります。
そのため資金がない人はまず投資ではなく貯蓄をある程度作るべきで、その他にも継続的な入金ができなかったり自分のポートフォリオで含み損が発生している際に耐えられなかったりする人は、向いていないといえるでしょう。
新NISAでリスクを抑えるにはどうするべき?
新NISAでリスクを抑えるには、以下3つを行うと良いでしょう。
- さまざまな金融資産に資金を分散する
- 安易に個別株投資をしない
- 運用期間の長さを利用する
さまざまな金融資産に資金を分散する
ポートフォリオを構築する上で必要なのは、1つの資産に集中投資するのではなくさまざまな金融資産に分散投資することです。
極端な例ですが、ポートフォリオの内訳が米国株100%の場合は米国が大きなトラブルに巻き込まれたり景気が悪化したりすると、米国株は下落します。米国株にしか投資していないとその影響をモロに受けてしまい、資産が大きく減ってしまう可能性があるでしょう。
そのため、景気が悪化したときに価格が上昇しやすい資産を購入したり、他国の資産を購入しておくことで、米国株の下落をカバーする必要があるのです。
このように、ある資産を購入したらそれをカバーする資産をポートフォリオに含め、分散性を向上させることが重要になります。
安易に個別株投資をしない
個別株への投資は高いリターンが期待できますが、個別株の分析はその企業の財務諸表を読む能力やその業界の将来性、企業のビジネスモデルを考える能力など、さまざまな能力が必要になり簡単に行えるものではありません。
そのため、初心者の方は安易に個別株投資をするのではなく、まずはS&P500のような指数から投資し、徐々に勉強しながらチャレンジしてみるのが良いでしょう。
運用期間の長さを利用する
新NISAのメリットは非課税期間が無制限な点です。
投資においては運用期間が長いと分配金を再投資して入金力が上げられたり複利の効果を利用できたりなど、さまざまなメリットがあり新NISAと相性が良いといえます。
そのため、今後の将来性に期待できる銘柄に投資した際は少しの利益で利益確定するのではなく、10年以上の長期スパンで運用し、できるだけ大きな利益を獲得できるようにするのがおすすめです。
新NISAを始めるならつみたて投資枠と成長投資枠どちらがおすすめ?
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つありますが、まずはつみたて投資枠と成長投資枠の主な違いから理解しておきましょう。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資可能金額 | 120万 | 240万 |
非課税保有限度額(総枠) | 1,800万 | 1,200万(内枠) |
主な銘柄 | 長期の積立に適した投資信託など | ETF、個別株など |
つみたて投資枠は旧つみたてNISAを、成長投資枠は旧一般NISAを引き継いだものです。成長投資枠は個別株投資やレバレッジが適用された商品など、金融商品の中でもさまざまな銘柄を取引できますが、その分求められる知識も高くなります。
一方でつみたて投資枠はつみたてNISAを引き継いでいるため初心者の方でも理解しやすい商品が多くなっています。
投資経験のない投資デビュー組の方は、つみたて投資枠から始めることを検討してみてはいかがでしょうか。
新NISAを始めるのにおすすめの証券会社【3選】
新NISAを始めるのにおすすめの証券会社は以下の通りです。
- 楽天証券
- SBI証券
- 松井証券
楽天証券

投資信託 | 2,627本 |
新NISA(つみたて投資枠) | 239本 |
外国株 | 米国株(5,400銘柄超)、中国株含め5か国 |
NISA投資信託取引手数料 | 無料 |
最低積立金額 | 100円~ |
IPO実績 | 188社(2023年)、169社(2022年)、195社(2021年) |
取引ツール(PC) | マーケットスピードⅡ マーケットスピード マーケットスピード for Mac マーケットスピードⅡ RSS マーケットスピードFX 楽天MT4 |
スマホアプリ | iSPEED iSPEED 先物OP iSPEED FX |
ポイント付与 | 楽天ポイント |
ポイント投資 | 可能 |
その他のサービス | マネーブリッジ(楽天銀行との提携による金利優遇など)が便利 |
公式サイト | ![]() 公式サイトへ |
楽天証券のおすすめポイントは以下の通りです。
- 楽天ポイントを利用して投資できる
- 国内トップクラスの取扱銘柄数
楽天証券はNISA口座数や新規口座開設数が1位(2024年3月末時点)で、これから新NISAを始める方に最も選ばれている証券会社といえます。
楽天証券の最も大きな魅力は、楽天ポイントを利用して投資できたり楽天カード決済で購入すると楽天ポイントが1%還元されたりなど、ポイント投資が行える点。普段から楽天経済圏を利用している方にとっては最も付加価値の高い証券会社です。

SBI証券

投資信託 | 2,565本 |
新NISA(つみたて投資枠) | 248本 |
外国株 | 米国株(5,190銘柄超)、中国株含め9か国 |
NISA投資信託取引手数料 | 無料 |
最低積立金額 | 100円~ |
IPO実績 | 91社(2023年)、89社(2022年)、122社(2021年) |
取引ツール(PC) | HYPER SBI 2(国内株式版) HYPER SBI SBI CFDトレーダー |
スマホアプリ | SBI証券 株アプリ SBI証券 米国株アプリ かんたん積立 アプリ HYPER FXアプリ HYPER 先物・オプションアプリ HYPER CFDアプリ |
ポイント付与 | Tポイント Pontaポイント dポイント PayPayポイント Vポイント(クレカ積立時のみ) |
ポイント投資 | 可能(Tポイント / Pontaポイント / Vポイント) |
その他のサービス | 住信SBIネット銀行との連携が便利 |
公式サイト | ![]() 公式サイトへ |
SBI証券のおすすめポイントは以下の通りです。
- 国内トップクラスの取扱銘柄数
- 口座数1,100万超の人気を誇る
- さまざまな国の銘柄に投資できる
SBI証券は、新NISAの取扱銘柄数が国内トップクラスに多い証券会社。多くの銘柄の中から選びたい方に最もおすすめで、口座数も1,100万を超えるほど人気です。
また、投資信託を保有する場合は月間平均保有金額に応じてポイントが付与されるサービスがあり、ポイントを有効活用してお得に投資したい方にとっても有力な証券会社となるでしょう。

松井証券

投資信託 | 1,885本 |
新NISA(つみたて投資枠) | 244本 |
外国株 | 米国株(4,582銘柄超) |
NISA投資信託取引手数料 | 無料 |
最低積立金額 | 100円~ |
IPO実績 | 70社(2023年)、55社(2022年)、56社(2021年) |
取引ツール(PC) | マーケットラボ ネットストック・ハイスピード 株価教えて! by 松井証券 株価ボード チャートフォリオ フル板情報(BRiSK for 松井証券) QUICK情報 QUICKリサーチネット ネットストックトレーダー ネットストックトレーダー・プレミアム 松井FP~将来シミュレーター~ FXトレーダー・プラス |
スマホアプリ | 日本株アプリ 株touch フル板情報(BRiSK for 松井証券) 米国株アプリ 投信アプリ 松井FP~将来シミュレーター~ FXアプリ |
ポイント付与 | 松井証券ポイント (PayPayポイント・dポイント・Amazonギフトカード・3,000種類以上の商品に交換可能) |
ポイント投資 | 可能(松井証券が厳選した3種類の投資信託のみ) |
その他のサービス | ロボアドバイザー(簡単な8つの質問に回答すると、最適なポートフォリオを提案する機能)で初心者でも分散投資が可能 |
公式サイト | ![]() 公式サイトへ |
松井証券のおすすめポイントは以下の通りです。
- ポイント還元率がトップクラスに高い
- NISA以外の手数料も安い
- 取引ツールが豊富
松井証券は成長投資枠を利用する際におすすめの証券会社です。なぜなら他の証券会社よりも取引ツールが豊富でより精密な分析が行いやすく、そのような分析は成長投資枠に適しているからです。

新NISAをきっかけにトレードを勉強してみたいという方にも、取引ツールは役に立つのでおすすめといえるでしょう。
なお、松井証券は投資信託を保有しているだけで、投資信託の保有金額に応じて最大1%のポイントが付与(要エントリー)。ポイ活的なお得感も味わえます。
【まとめ】NISAはデメリットしかない?
この記事のポイント
- 「新NISAはデメリットしかない」と言われているが対処可能
- 新NISAを利用するメリットは非課税期間が無制限
- 余剰資金がある方は新NISAをフル活用すべき
新NISAはデメリットしかないといわれますが、実はデメリットはそこまで大きなものではなく、メリットの方が大きい制度です。
そのため、短期トレードやハイリスク投資を始める前にまず新NISAで投資を始め、非課税でお得に運用しながら他の商品も勉強してみるのがよいでしょう。