
この記事のポイント
- ロボアドバイザーはAIを活用した投資サービス
- ロボアドバイザーには投資一任型とアドバイス型の2種類がある
- 投資一任型は運用手数料がかかるが、運用を全て任せることができる
- 自分に適したポートフォリオを自動で運用してくれるため投資初心者におすすめ
AIを駆使した投資という新時代の投資商品であるロボアドバイザー。
CMや雑誌などでロボアドバイザーが取り上げられることも増えており、気になっている人も多いでしょう。
そこで、本記事ではロボアドバイザーとは何かといったことから、メリット・デメリット、おすすめのロボアドバイザーなどについてわかりやすく解説していきます。
本記事を読んでいただければ、初心者であってもロボアドバイザーの特徴や利点、運用で失敗しないためのコツを知ることができますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
目次 ー Contents
ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーとはAIつまり人工知能を利用した投資サービスです。その特徴はAIが投資のアドバイスや運用をしてくれる点にあります。
従来、投資に関する助言をもらいたい時は人間に相談するしかありませんでした。ただ、人から投資助言をもらう場合はその人がどういった人なのか、本当に投資の知識を豊富に持っているのかといったことに気をつけなくてはなりません。
また、相談する人によって答える内容が異なり混乱してしまうこともあるでしょう。
その点、AIであれば客観的なデータをもとにアドバイスや提案をしてくれるため、人と違い主観的な意見が入ることはありません。客観的なデータに基づいたアドバイスなどがロボアドバイザーの強みです。さて、そんなロボアドバイザーには2つのタイプが存在します。
- 投資一任型
- アドバイス型
それぞれの特徴を解説していきます。
投資一任型
投資一任型は、文字通り投資対象の選定や運用を全てお任せするタイプのロボアドバイザーのことです。といっても、勝手に投資されるわけではありません。
ロボアドバイザーが提案してきた運用プランを見て納得し了承すれば、後はその運用プラン通りにロボアドバイザーが運用を行ってくれます。
リバランスも自動で行ってくれますので、手間がかからないことがメリットです。
ただし、運用を全て任せることになるので、その分運用手数料がかかります。手数料はどのロボアドバイザーにするかで違いますが、おおよそ1%前後となっているものが多いです。
投資一任型サービスの代表的なサービスとして、WealthNavi(ウェルスナビ)があります。
ロボアドバイザー大手であり、リスク許容度が真ん中のプランでも約7年で資産が約1.6倍という実績を持っています。

簡単な質問に答えるだけで最適な投資対象を選んでくれるので、投資に詳しくない人でもそれほど悩まずに始められるでしょう。
アドバイス型
アドバイス型のロボアドバイザーが行うのは投資に対する「アドバイス」のみです。
投資一任型のように運用を行うことはないため、アドバイスをもとに運用するかどうかを決め実際に行動するのは投資家自身になります。
ただし、その代わり費用がかからないサービスも多いのが利点の一つ。無料で利用できるので、銘柄選びの参考にするために気軽に利用する、といった使い方もできます。

アドバイス型のロボアドバイザーには、SBIファンドロボなどがあります。
SBIファンドロボは無料で利用でき、SBI証券の取り扱っている約2,300本の投資信託の中から優秀な運用実績を持つファンドを選んでくれる点が特徴です。
質問に答えるだけでおすすめの投資信託を提案してくれますし、気に入らなければ買わなければいいだけですので、ロボアドバイザーを体験してみるのもアリかと思います。
ロボアドバイザーのメリット
ロボアドバイザーがどのようなサービスかわかったところで、つづいて具体的なメリットを確認していきましょう。
メリットを知ることでより効率的な運用ができるようになりますので、ぜひ読んでください。
メリット① 機械的に投資できるため心理的なミスを防げる
投資一任型のロボアドバイザーを利用した場合は、運用を全て任せることができます。
これにより手間がかからないというメリットがありますが、さらに心理的な原因での投資の失敗を防げるという点も大きなメリットです。
例えば、資産形成のために長期的な投資を行っていた時に株式市場が大暴落したと想像してください。資産が減っていくのを目のあたりにすると、怖くなって売却してしまう気がしないでしょうか?
実際、暴落した際に多くの方がその場の判断で株式などを売却してしまいます。
ただ、長期投資の場合は短期的な株価の変動にうろたえないことが大切です。コロナショックの時も株価は一時的に大きく下落しましたが、その後回復しました。
下落した局面で売却してしまっていたら、結果的に大きな損失を出すことになったでしょう。
このように、自分で運用を行っていると相場との距離感が近いが故に、相場の動向によっては心理的な要因で投資判断を誤ってしまう場合があります。
その点、ロボアドバイザーに運用を任せれば相場とは距離を保つことができるため、よい意味で相場をそれほど気にすることなく投資することが可能です。
それにより、心理的な投資の失敗を防ぐことができます。
メリット② 質問に答えるだけに自分にとって最適なポートフォリオが組める
投資において手間がかかり、難しいのが銘柄選びです。
どのような銘柄があるのかを調べて、候補を絞った後にそれぞれの銘柄を分析するのは、知識と時間と手間がかかります。
その点ロボアドバイザーを利用すると簡単な質問に答えるだけで、自分にとって最適な銘柄やポートフォリオを知ることが可能です。
時間をかけて銘柄を調べる必要や投資についての詳しい知識は必要ありません。
質問に答えるだけで、自分の年齢やリスク許容度に応じた最適なポートフォリオが組める点が大きなメリットです。
メリット③ 少額から投資できる
ポートフォリオの提案や運用を任せるというサービスにはほかにファンドラップというものがあります。
【ワンポイント】ファンドラップとは
ファンドラップとは金融機関が昔から提供しているサービスで、ロボアドバイザーと同様に顧客の状況に合わせた運用を行ってくれる点が魅力。ただし、大口顧客向けのサービスであるため、最低投資額が数百万円以上と高く設定されています。
その点、ロボアドバイザーでは1万円から利用できるサービスが多くあり、少額から始めることが可能です。
この点は特に資産形成をこれから行っていく若年層や資金に余裕のない方にとっては大きなメリットといえるでしょう。
メリット④ リバランスも自動で行われるため手間がかからない
ロボアドバイザーでは運用を全て任せることができますが、リバランスも自動的に行ってくれます。
複数の銘柄に投資している場合それぞれの値動きが異なるため、長期で投資していると当初に設計したポートフォリオのバランスが崩れることがほとんどです。
【例】
Aという商品を50%、B商品を50%というバランスで運用を開始。
↓
数か月後
↓
ポートフォリオのバランスがA70%・B30%、A30%・B70%となることがある。
このままでは当初の運用方針とリスクや期待リターンが変わってしまう可能性が高くなってしまうため、バランスを元に戻す「リバランス」が必要です。
運用を自分で行っているとリバランスも自分で行う必要がありますが、手間がかかりますし、上手く取引できない可能性も…。その点ロボアドバイザーならばリバランスも自動的に行ってくれるので、手間がかかりません。
ロボアドバイザーのデメリット
ロボアドバイザーには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
デメリットを知らずに投資していると損をすることもありますので、デメリットについてもしっかりと理解しておくことが重要です。
それでは、ロボアドバイザーのデメリットを確認していきましょう。
デメリット① 手数料がかかる
ロボアドバイザー最大のデメリットは手数料がかかるという点です。
投資一任型ロボアドバイザーは、運用を任せるため相応の手数料がかかります。多くのロボアドバイザーサービスでは年率1%程度の運用手数料がかかりますが、サービスによって差がありますので、注意してください。
手数料はリターンを減らします。
例えば、運用した結果5%のリターンがあったとしても、手数料で1%引かれれば手元に残る利益は4%です。また、利益が出ていなくても手数料は発生することも知っておきましょう。
ただ、ファンドラップの中には1%を大きく超える手数料がかかるものもあり、それらと比べるとロボアドバイザーの手数料は割安です。
デメリット② 元本割れのリスクがある
ロボアドバイザーは株式や債券、金などに投資し、リターンを得ることを目指しますが、これらの投資商品にはリスクがあり、場合によっては損をすることがあることは知っておきましょう。
元本割れする可能性は、ロボアドバイザーに限らず投資商品全てに共通することです。それ故に、投資は余裕資金で行うことが鉄則となります。
なくなっては困るお金、減っては困るお金では投資しないように心がけましょう。
また、資産が減少する可能性をできるだけ減らしたいという方は、低リスクなポートフォリオも用意されていますので、そちらを選ぶのも選択肢の一つです。
デメリット③ 短期的には大きな利益を得にくい
ロボアドバイザーは基本的に長期の資産形成を目的としており、投資対象が分散された投資信託やETFで運用を行います。
そのため、単一の株式であれば短期的に株価が数倍以上になることもありますが、ロボアドバイザーではそういった短期での大きな利益は得にくいです。
ただ、分散投資することでリスクを抑えることができています。
おすすめロボアドバイザー3選を徹底比較
ここまでロボアドバイザーの特徴やメリット・デメリットについて解説してきました。
ロボアドバイザーに興味を持った方も多いでしょう。
そこで、ここでは具体的なおすすめのロボアドバイザーを3つ紹介するとともに、それぞれの実績や特徴を解説していきます。
紹介するのは以下の3つです。
- ウェルスナビ(WealthNavi)
- フォリオ(FOLIO)
- サステン(SUSTEN)
各ロボアドバイザーの比較表は以下となっています。
![]() 公式サイト | ![]() 公式サイト | ![]() 公式サイト | |
ロボアドバイザー | ウェルスナビ(WealthNavi) | フォリオ(FOLIO) | サステン(SUSTEN) |
運用手数料 (税込) | 1.1% ※長期割制度有 最大0.99%まで割引 | 1.1% | 利益の1.1/6~1.1/9 |
最低投資額 | 1万円 | 10万円 | 1万円 |
プラン | 5タイプ | おまかせ投資 FOLIO ROBO PRO | 9タイプ |
それではそれぞれの特徴や実績を確認していきましょう。

ウェルスナビ(WealthNavi)は大手のロボアドバイザーサービスであり、預かり資産9,000億円を突破した(2023年7月時点)、国内No.1のロボアドバイザーです。
6つの質問に答えるだけで、リスク許容度に応じた5つのプランから適したものを選んでくれます。利用開始から2年目の時点で、約9割の方の資産がプラスになっている点も特徴です(2023年3月末時点)。
運用手数料は通常1.1%ですが、下記のように長期運用することで割引される仕組み。

サービス開始後の運用実績を確認すると、リスク許容度3のプランの場合2016年1月19日~2023年5月末時点のリターンは約1.5倍となっています。
フォリオ(FOLIO)の特徴と実績

フォリオ(FOLIO)には「おまかせ投資」と「FOLIO ROBO PRO」という2つのサービスがある点が特徴です。
(テーマ投資というサービスもありましたが、既にサービス終了を決定しており購入できません)
おまかせ投資では、リスク許容度に応じて安定運用型からチャレンジ運用型まで5つのタイプがあります。
簡単な診断を受けるだけで自分に適したプランを見つけることが可能です。
一方、FOLIO ROBO PROにはタイプの選択はなく、40種類以上のマーケットデータをもとに、AIがその時々で最適だと判断した運用を行います。
運用手数料や最低投資額は同じですが、この点は大きな違いです。
実績を確認してみると、2020年1月15日に開始したFOLIO ROBO PROは2023年4月末時点で運用から約+47.8%というリターンとなっています。

また、フォリオ(FOLIO)とSBI証券が共同開発した「SBIラップ」というサービスも人気。
フォリオ(FOLIO)のAI運用に関するノウハウを活用しつつ、FOLIO ROBO PROに比べてSBIラップはよりリスクをコントールした資産運用ができるサービスとなっています。
サステン(SUSTEN)の特徴と実績

サステン(SUSTEN)は日本初の完全成果報酬型資産運用サービス。
運用手数料が利益が出た時しか発生しないという仕組みになっています。通常、運用手数料は例え損が出ていたとしても発生しますので、この点は大きな違いです。
手数料の具体的な仕組みは、ハイ・ウォーター・マーク(以下HWM)とよばれる過去最高益の基準が設定され、HWMを更新した時のみ手数料がかかります。
イメージとしては以下の通りです。

運用タイプはリスク許容度などに応じて9タイプから自分に合ったものを選ぶことができます。
また、サステンは自社で3つのファンドを運用しており、リスク許容度に合わせてタイプごとに3つのファンドの割合を変えている点が特徴です。
主に株式に投資しているグローバル資産分散ポートフォリオというファンドの運用実績を確認してみると、2023年5月末時点のリターンは2020年の10月9日以来+20.25%となっています。
ロボアドバイザー投資で失敗しないためのコツ
運用を全て任せることができるため、投資知識がそれほどない初心者にもおすすめのロボアドバイザーですが、すべて手放しで何も考えずに放置していると失敗してしまうことは当然あります。
ここでは、ロボアドバイザー投資で失敗しないためのコツを解説していきますので、ぜひ読んでください。
コストを把握する
ロボアドバイザーには運用手数料がかかります。運用手数料はサービスによって変わりますので、必ず確認するようにしてください。また、運用手数料以外にも投資しているETFなどの信託報酬が別途かかります。
そのため、手数料の高いETFに投資している場合は実質的なコストが高くなってしまうので注意が必要です。
具体的な投資商品や運用実績とコストを比較しながら、自分が納得できるサービスを選ぶようにしましょう。
投資対象とリスクを理解する
ロボアドバイザー投資では提案されたポートフォリオを運用していくことになりますが、提案されたポートフォリオは必ず確認するようにしましょう。
投資対象によってリスクの大きさは異なります。
ロボアドバイザーは質問に答えるだけで自分に適したポートフォリオを提案してくれますが、例えば海外株式の割合が大きかった場合、海外株式の値動きは過去どのようなものだったか、最大の下落幅はどのくらいなのかなどは確認しておきたいところ。
実際に値動きを確認した上で、その変動に自分は耐えられそうか確認しておきましょう。
定期的に運用方針を見直す
ロボアドバイザーは運用を任せることができる便利なサービスではありますが、定期的に運用状況を確認し、場合によっては運用方針を見直すことも重要です。
例えば、実際にお金を使って投資してみると投資前は気にしていなかった値動きが気になって仕方なくなることがあります。
変動が考えていたよりも大きくて不安になるようなら、運用方針を変えるべきです。
リスク許容度は人によって違いますので、自分にとって最適なポートフォリオとなるように運用方針を定期的に見直すようにしましょう。
年齢や収入によって許容できるリスクも変わってきますので、自分の状況に応じた運用を行うことが大切です。
運用実績を確認する
ロボアドバイザー投資を始める際には、必ず運用実績を確認しましょう。
「誰かからすすめられた」とか「雑誌で見た」といった理由だけで投資をするのは大変危険です。過去のリターンやリスクをしっかりと自分の目で確認した上で、投資するかどうか判断してください。
また、いくら過去のリターンがよかったとしても、今後のリターンが約束されているわけではないことも理解しておきましょう。
投資に絶対はありません。過去のリターンを参考にしつつも、あくまでも余裕資金で投資をすることが忘れてはいけない要素です。
ロボアドバイザーに関するよくある質問
最後にロボアドバイザーに関するよくある質問を紹介していきます。
ロボアドバイザーはNISAで利用できる?
ロボアドバイザーはサービスによってはNISAでも利用可能です。ただし全てのロボアドバイザーがNISAに対応しているわけではありませんので注意しましょう。
おすすめロボアドバイザーとして紹介した「サステン(SUSTEN)」「ウェルスナビ(WealthNavi)」はNISAの利用が可能です。
ロボアドバイザーはやめとけって聞いたけど?
ロボアドバイザーについて調べていると「ロボアドバイザーはやめとけ」という意見や噂を見聞きすることがあります。
「やめとけ」と言われる理由として「運用手数料がかかること」を指摘しているケースが多く、心配になっている方もいるでしょう。
確かに、自分で運用するのに比べて手数料がかかることはデメリットといえます。
ただし、投資初心者にとって自分で銘柄を選んで投資して、ポートフォリオを持ちながら運用を続けることは簡単なことではありません。
自分に適したポートフォリオを提案してくれて、かつリバランスを含めた運用を全て行ってくれるということを考えれば一概に手数料がかかるからやめとけとはいえません。
手数料の金額と投資にかける労力を天秤にかけ、ロボアドバイザーを利用するか自分自身で決めましょう。
ロボアドバイザーと投資信託どっちがいい?
ロボアドバイザーと投資信託はどちらも分散投資を少額から行うことができるため、投資初心者におすすめの投資です。
ロボアドバイザーの特徴
手数料がかかる代わりに銘柄選びから運用まで全て任せることができる。
投資信託の特徴
銘柄選びを自分で行い、リバランスを含めた運用も自分で行う必要がある。
両者の特徴を考慮すると、ロボアドバイザーの方がより簡単に投資を始めることができるため、投資初心者に向いているといえるでしょう。
【まとめ】ロボアドバイザーは投資初心者におすすめ
この記事のポイント
- ロボアドバイザーはAIを活用した投資サービス
- 「投資一任型」と「アドバイス型」の2種類がある
- 投資一任型は運用手数料がかかるが、運用を全て任せることができる
- 自分に適したポートフォリオを自動で運用してくれるため投資初心者におすすめ
AIを活用した投資サービスであるロボアドバイザーは近年利用者が大きく増加しています。
データに基づいた顧客にとって最適な運用プランを提案・運用してくれますので、投資初心者にもおすすめです。
少額からでも利用できるため、本記事を読んでロボアドバイザーに興味を持った方は、ぜひ今回紹介しましたおすすめロボアドバイザーでの運用を検討してみてください。